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20世紀少年 第1章 終わりの始まり

2013年03月03日 03時43分56秒 | 邦画2008年

 ◎本格科学冒険映画20世紀少年 第1章 終わりの始まり(2008年 日本 142分)

 英題 Twentieth Century Boys 1: Beginning of the End

 staff 原作/浦沢直樹 監督/堤幸彦 脚本/長崎尚志、福田靖、浦沢直樹、渡部雄介 

     撮影/唐沢悟 美術/相馬直樹 主題歌/T・レックス「20th Century Boy」

     音楽/白井良明、長谷部徹、Audio Highs、浦沢直樹

 cast 唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 佐々木蔵之介 宇梶剛士 生瀬勝久

 

 ◎1970年、大阪万博。

 新幹線ひかりに乗って、5月と8月に見学に行った。

 もうほとんど覚えてないんだけど、覚えてることのひとつが

「アメリカ館に行くときは、朝一番に行かないと何時間も並んじゃうぞ」

 っていわれてたことだ。

 映画の中でも、そんな台詞があった。

 台詞だけじゃなくて、当時、ぼくは映画の少年たちとほとんど同じことをしてた。

 家の前の空き地や、蔵元の瓶箱置き場や、電話局のドラム置き場や、銀行の廃屋に、

 やっぱり、大人の雑誌を持ち込んで秘密基地をつくった。

 あ、でも、映画に出てた「麻田奈美ブラジルで最後のヌード」はちょっと後の時代だ。

 神社やお寺で、くそったれのいじめっ子小僧を相手にケンカもした。

 BB弾のコルトで戦ったし、アトムや鉄人のどちらも好きでロボットの絵ばかり描いてた。

 みんなで、世界が悪人によって滅亡に追い込まれる漫画も描いた。

 Gペンに開明墨汁じゃなくて鉛筆に消しゴムで描いたんだけどね。

 夜の学校は怖かったし、鮒の解剖をした理科室は特に怖かった。

 学校の旧校舎や汲み取り式トイレには、決まって幽霊の噂が立って、

 荒れ放題の大きな空き屋敷に忍び込むと、たいがい不気味な絵が飾ってあった。

 アポロ11号が月面着陸したとき、

 横丁の串の屋台で、酔っ払いが「あんなもんはスタジオで撮っとるんだ!」と叫んでた。

 部屋の壁に貼った少年チャンピオン創刊のポスターも、ちょうどアポロ11号だった。

 ちょうど、付録で勝負してた少年や冒険王やぼくらが相次いで廃刊されてった時代。

 宇宙人襲来や氷河期突入や未来予想を特集していたのが、そうした月刊誌だ。

 ランニングシャツだけのガキはいっぱいいたし、シュミーズだけの女の子まで道端にいた。

 プロレスが好きで、メンコやコマ回しや草野球くらいしか遊びらしい遊びはなく、

 ボーリング場がぽつぽつと建てられ始めてたけど、そこはやっぱり大人の娯楽場で、

 雷魚を釣りに探検に出て、ウインカー付き自転車で駆け回り、

 校舎の窓から飛び降り、学校の北運動場の樹の下にタイムカプセルを埋めた。

 あのときのタイムカプセル、まだ埋まってんじゃないかな。

 中学生になって、給食の音楽がつまらないイージーリスニングだったもんだから、

 職員室のとなりの放送室を占拠して、好きな曲をかけまくり、進路指導室に連行された。

 初めて買ったギターはやっぱり情けなくもクラシックギターだったけど、でも嬉しかった。

 たぶん、日本中の男の子はみんな同じことをしてたんだろう。

 ぼくらにとってきらきら輝いていた忘れられない昭和40年代の夏は、

 まちがいなく常滑市や江南市や台東区とかでロケをしたこの20世紀少年の世界だった。

 とかいうことを考えながら見られる作品があっただけで、

 何十年も映画を見てきてよかったな~とおもえるんだよね。

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