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オーシャン・オブ・ファイヤー

2013年03月26日 18時36分32秒 | 洋画2004年

 △オーシャン・オブ・ファイヤー(2004年 アメリカ 136分)

 原題 Hidalgo

 staff 監督/ジョー・ジョンストン 脚本/ジョン・フスコ 撮影/シェリー・ジョンソン

     美術/バリー・ロビソン 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード

 cast ヴィゴ・モーテンセン オマー・シャリフ ズレイカ・ロビンソン ルイーズ・ロンバート

 

 △19世紀末、アメリカ西部からアラビア砂漠

 混血とかハーフとかいう言い方はあまり好きじゃないけれど、

 ほかに表現する言葉を、ぼくは知らない。

 けど、この映画の場合、なにより重要な鍵になっているのが、この混血という単語だ。

 主人公のフランク・ホプキンスというカウボーイは、白人とスー族の混血だったらしい。

 また、フランクの愛馬のヒダルゴも、野生の中で育った雑種らしい。

 もともとはスペイン人が放牧していた小型の馬だったらしいけど、それが野生化したのかな。

 ともかく、この男と馬は純血ではなく、そのために差別され、

 さらに自分のせいでインディアンが虐殺されるという呪縛を抱えているんだけど、

 こういう設定が、事実だったのかどうかはわからない。

 けど、この男が、純血アラビア馬の長距離レースで勝利することで、

 呪縛から解放されるまでが主題になっているわけで、

 決して「オーシャン・オブ・ファイヤー」とかいう英語名のレースが主題じゃない。

 アメリカという人種の坩堝のようなところから、

 アラビアという人も馬も濃厚な血脈を伝えたところにやってきて、

 さまざまな不測の事態に遭遇しながらも、おのれの度胸と技術でそれを克服し、

 最後には混血という蔑視をのりこえて勝利と栄光をつかむ。

 単純な構成ながらも、それが、主題に直結してる。

 人にはいろんな呪縛があって、

 それから解き放たれたとき、ようやく、おもいのままに生きていくことができる。

 立つ位置が決まるというのか、なにものにも束縛されない人生を手に入れることができる。

 でも、大小の呪縛を抱えた身では、そんなに簡単なものじゃない。

 この映画は、レースに出て勝利をつかむという象徴によって、それを表現してる。

 だから、フランク・ホプキンスの実際の腕前や、

 劇中のレースがほんとうにあったものなのかどうかという議論は、瑣末なことだ。

 そんなことより、馬が好い。

 よく、走ってる。

 砂嵐はCGなんだろうけど、これもまた充分に迫力があったし、

 佳境、賞金によって土地を手に入れ、そこに無数のマスタングを解き放つ場面も圧巻だ。

 砂漠の撮影もこれまた美しく、酷暑の中に立つ陽炎も、たとえCGだとしても好かった。

 あ、それと、

 個人的には、オマー・シャリフが健在だったことがなんだか嬉しかった。

 旧い知人に再会したような嬉しさがあったけど、この人、ほんとにテントが似合う。

 ちょっと驚いたのは、ヒダルゴの演技だ。

 5頭ほど使い回したみたいで、モーテンセンも撮影の後で1頭買い取ったらしいけど、

 最後の別れの場面では、ヒダルゴがちゃんと演技をしてる。

「おれ、行っちゃうぞ。いいのか。ほんとに野生に帰っちゃうぞ。もう、レースとか出ないぞ」

 とかいう台詞が聞こえてきそうだった。

 ところで、ぼくは、競馬に行ったことがない。

 だから、馬が群れをなして疾走している光景を実際に観た事がない。

 当然、その際の蹄の響きとか、振動とか、体感したことがない。

 一度くらいは府中競馬場とかに足を運んでもいいんだけど、

 なかなか行けずにいるんだよね~。

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