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世界にひとつのプレイブック

2013年03月20日 01時01分20秒 | 洋画2012年

 ◇世界にひとつのプレイブック(2012年 アメリカ 122分)

 原題 Silver Linings Playbook

 staff 原作/マシュー・クイック『Silver Linings Playbook』

     監督・脚本/デヴィッド・O・ラッセル

     撮影/マサノブ・タカヤナギ 美術/ジュディ・ベッカー 音楽/ダニー・エルフマン

 cast ブラッドレイ・クーパー ジェニファー・ローレンス ロバート・デ・ニーロ

 

 ◇心って壊れても治るんだよね

 単純な好みの問題かもしれないけど、

 どうしても心が壊れてしまうほど繊細な人間の方に、ぼくは惹かれてしまうところがある。

 けど、この映画のように、

 健気に明るく、哀れなほど傷つきやすく、それでいておもいきりキレることのできる人間は、

 奈落の底に落ち込んでゆく人間よりも、あるいは癒されやすいのかもしれない。

 おそらくだけど、少なくない人が、心が壊れてしまうほど傷ついたことがあって、

 だから、この映画を見つけたときに、ふと、足を運んでしまうのかもしれないけど、

 もちろん、劇場を出たときに「ああ、癒されたわ~」とかいえるほど現実は単純じゃない。

 けど、まあ、ぼくもそうだけど、ぼろぼろになってもなんだか生きてる。

 映画の中でおもしろかったのは、ふたつ。

 ひとつは、

 妻が、浮気相手とシャワーブースで乳繰り合っていたことでブチ切れ、

 心に傷を負ったブラッドレイ・クーパーが、ゴミ袋を着てランニング中、

 虎視眈々と狙っていたかのように、いきなりジェニファー・ローレンスが追い駆けてきて、

 なんだかんだとあった末、ようやくシリアルと紅茶とディナーを取ることになったとき、

 ジェニファーが夫と死に別れたショックで会社の社員全員とセックスし、

 さらにレズも体験した後、そうした過激な奔放さが原因で職を失ったことを知ったとき、

「そんな話は聞きたくないからもうやめよう」といい、ありがとうとお礼をいわれてすぐに、

「ちなみに、何人としたの?」と聞き、さらにジェニファーも悪びれず「11人」と答える場面。

 もうひとつは、

 同じくブラッドレイ・クーパーがヘミングウェイの『武器よ さらば』を徹夜で読み終え、

「なんだ、こりゃ」

 といって小説のラストに激怒し、その怒りを親父のロバート・デ・ニーロに叩きつけるところ。

 この原作、実は2009年の『ベン・ヘミングウェイ賞』の最終候補らしい。

 こういう秀逸なギャグが、アメリカなんだな~とおもえたりするんですよ。

 日本でこんなことすると、カドが立つんだよね。

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