△マリと子犬の物語(2007年 日本 124分)
英題 A tale of Mari and three puppies
staff 桑原眞二、大野一興『山古志村のマリと三匹の子犬』
監督/猪股隆一 特撮監督/清水俊文 脚本/山田耕大、清本由紀、高橋亜子
撮影/北信康 美術/部谷京子 音楽/久石譲
cast 船越英一郎 宇津井健 小野武彦 高嶋政伸 松本明子 小林麻央 梨本謙次郎
△平成16年(2004)10月23日17時56分、新潟県中越地震
山古志村、震度6強。
その翌年、中学を卒業して初めての同窓会があった。
ぼくの通っていた小中学校はマンモス校で、小学校で6組、中学校で8組あった。
中学を出るときの卒業生の数は320名だったから、
幼稚園からずうっと一緒に通った同級生の中にも、知らない子はたくさんいる。
で、その中に、小学校4年生のときだけ同じクラスになった女の子がいるんだけど、
中学を出てからのことはまるで知らずにいた。
ところが、同窓会の幹事会が立ち上がったとき、おもいもよらないことを聞いた。
「山古志村に嫁いで地震に遭って、いま、仮設住宅にいるらしい」
いきなり、災害が身近になった。
それからはまあいろいろあった。
お見舞いを集めたり、故郷の同窓会に子供さんと来てもらったりしたんだけど、
なんだか慌ただしい再会になってしまって、
結局、ほとんど話すこともできなかった。
いまはおそらく村へ戻って頑張っているんだろうけど、
ときどき、昔馴染みを集めて山古志村まで行きたいものだとおもうことがある。
でも、たぶん迷惑をかけるだけなんだろうなと勝手な想像をし、
いつも二の足を踏んでしまうんだ。
山古志村で闘牛が再開されたのは、前にドキュメンタリーで知ったけど、
その復興について、その後はよく知らない。
地震や津波でもって甚大な災禍をこうむった土地が全国にあり、
被害を受けた日になると、報道その他で「ああ、もう何年に…」と気づかされる。
距離感というのは、時間にせよ、地理にせよ、残酷なものだ。
被災地の人達は毎日が復旧と復興の日々で、
日本のいたるところで、それは今も確実に続けられているのに、
ぼくらは日々の忙しさに翻弄され、ふとしたときにおもいだすことしかできない。
そういう意味において、被災地が舞台となった映画はそれなりの意義を持つ。
この映画も、そうだろう。
にしても、よくわからないけれど、どうして犬の映画ばかりなんだろう?
そりゃあ、犬は、日本人にとって最も身近な動物かもしれないし、
愛らしい眼をうるませて、健気に生きているのをまのあたりにすれば、
おもわず涙ぐんでしまい、劇場にすすり泣きが聞こえるかもしれないけれど、
たとえば、山古志村だったら、牛を助けに行って山越えした話、なかったっけ?
いろんな角度からのアプローチがあっていいし、動物を扱った物でなくてもいい。
てなことを考えつつも、
置き去りにされてしまったマリが3匹の子犬を連れてくる予定調和な展開に、
ほうほうとおもって観続けてる僕がいるんだけどね。