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推理作家ポー 最期の5日間

2013年03月29日 10時45分04秒 | 洋画2012年

 ◇推理作家ポー 最期の5日間(2012年 アメリカ 110分)

 原題 The Raven

 staff 監督/ジェームズ・マクティーグ 脚本/ハンナ・シェイクスピア ベン・リヴィングストン

     撮影/ダニー・ルールマン 美術/ロジャー・フォード 音楽/ルーカス・ヴィダール

 cast ジョン・キューザック ルーク・エヴァンズ アリス・イヴ ブレンダン・グリーソン

 

 ◇1849年10月7日午前5時、アメリカ、ボルティモア

 そこのワシントン・カレッジ病院で謎の死を遂げるまで、

 エドガー・アラン・ポーは4日間も昏睡状態が続いていたそうだ。

 ポーが発見されたのは、グース・サージャンツっていう酒場で、

 泥酔状態になっていたところ、知り合いの文学者によって病院へ担ぎ込まれた。

 ポーの死が謎めいているのは、その不可解な泥酔状態ということもあるけど、

 死ぬ前の日に繰り返していた言葉「レイノルズ」っていう単語らしい。

 人の名前のようにおもえるけど、ほんとのところは誰にもわからない。

 けど、翌月に結婚式を控えていたっていうんだから、

 死ぬほど酒をあおるというのは、納得がいかない。

「なにか、とてつもないことが起こったんだろう」

 と、素人のぼくだってそうおもう。

 いわんや、推理作家の始祖といわれる人物の謎の死について、

 天下のハリウッドが映画化しないはずはない。

 てゆうか、すこしばかり遅すぎたくらいだ。

 他人が呆れるくらい本を読まないぼくですら、ポーの作品はちょっとだけ読んでいる。

『モルグ街の殺人』『アッシャー家の崩壊』『赤き死の仮面』『黒猫』『大鴉』…。

 けど、実をいえば、それを読んだのは中学2年生のときで、

 それも校内の平屋建ての薄暗い木造図書館でのことで、中身はほとんど忘れてる。

 ひどい読者もあったものだが、

 このポーに憧れて、江戸川乱歩が筆名にしたのは有名な話だし、

 枚挙に暇がないほど、大勢の作家がその影響を受けているらしい。

 でも、そんなにすごい作家なんだから、映画化もありだよな~とはおもうものの、

 万事怠惰にできているぼくに、この機会に読み返してみようとかいう根性はない。

 だから、映画を観ちゃうんだけどね。

 映画は、上手に出来ている。

 筋もぶれないし、実際に死んだ日がもはや歴史上の事実だから、

 その日にいたるまでのタイムリミットもあったりして、余計にスリリングではある。

 連続殺人の方法がすべてポーの本に則しているってんだから、なおさらだ。

 一連のポーの作品が小道具になっている以上、

 犯人像としては、

 ポーの作品を好きで好きでたまらないのに、

 新作を書こうともしないで貧窮をかこち、酔いどれの日々を送っているポーに対して、

 尊敬と憎悪とがごっちゃになった殺意を抱いていくやつなんだろうな~、

 というのは、物語の前半あたりで知れてしまうのだけど、

 でも、さすがに陸軍士官学校の生徒だったポーは拳銃を握ってもさまになるし、

 小説っていうか殺人を猟奇的ながらも美しく映像化してみせる手腕は、

 やっぱり、ハリウッドだな~。

 あ、ちなみに、原題の『The Raven』は、ポーの代表詩『大鴉』のことね。

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