◇オズ はじまりの戦い(2013年 アメリカ 130分)
原題 Oz: The Great and Powerful
staff 原作/ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』
監督/サム・ライミ 脚本/ミッチェル・カプナー デヴィッド・リンゼイ=アベアー
撮影/ピーター・デミング 美術/ロバート・ストロンバーグ 音楽/ダニー・エルフマン
視覚効果監修/スコット・ストクダイク
cast ジェームズ・フランコ ミシェル・ウィリアムズ レイチェル・ワイズ ミラ・キュニス
◇ハリウッドは童話ブーム?
ぼくはどうにも活字が苦手で、幼児期から少年期にかけて絵本すら読んだことがない。
だから、アンデルセンも知らなければ、グリムも知らないし、宮沢賢治も知らなかった。
当然『不思議の国のアリス』も『オズの魔法使い』も読んだことはなかった。
かろうじて、受験時代に英語の副読本で『アリス』の一部をテキストにしていたくらいだ。
だから、おとなになっても、ふたつの話の区別がつかなかったし、ごっちゃになってた。
もっといえば、なんとも恥ずかしい話ながら、いまもって読んだことがないため、
何度か映画化された作品で、おおまかな話の流れはなんとなくわかってるんだけど、
原作でどのような物語がどのように展開しているのか、まるで知らない。
つまり、この映画のように、オズの前日譚とかいわれても、
恥ずかしながら「ああ、そうなのか~」としか、いえない。
ただ、そんな人間でも、充分、あらすじはわかった。
続編も作られるらしいから、それで本来の『オズの魔法使い』の理解度も深まるかも。
にしても、この映画、200億円くらい製作費をかけたのだろうか、
どのシーンのどのカットを観ても、CGのオンパレードだ。
その一方で、たぶん、オープンセットの他に大ステージに巨大セットも組んだのかな?
なんだか、往年のミュージカル大作を観ているような気分になった。
セットがばればれなのは、CGとの並立を考慮したためで、
リアルな絵作りはかえって作品世界の邪魔になるとおもったんだろね。
ただ、ハリウッドのこの手の話は、
どうしてサーカスや見世物小屋や夜の遊園地とかが出だしになるんだろう?
『Dr.パルナサスの鏡』とかおもいだしちゃうのは、ぼくだけかな?
ま、そんなことはいいんだけど、最初のモノクロームの現実世界で、
いかに、このオズっていうにやけた若造が如何につまんない男なのかが語られるんだけど、
「現実世界でも運命の女性はパラレルワールドでも運命の糸で繋がってるんだよ」
てな、ロマンチックさがそれとなく入れられてたりして、こういうのは嫌いじゃない。
ケシの花畑が永遠の眠りを誘うとか、シャボン玉の中に入って空を飛ぶとか、
そういったメルヘンチックな世界の中でも、
やっぱり現実世界をひきずってる男が頼りにするのは、トーマス・エジソン。
動画撮影機キネトグラフを発明した「映画の父」に憧れる若造が、
オズの創造主のひとりになっていくなんて、
なんだかいいよね。