▽シークレット・オブ・モンスター(2015年 イギリス、フランス、ハンガリー 116分)
原題 The Childhood of a Leader
監督 ブラディ・コーベット
出演 ベレニス・ベジョ、ステイシー・マーティン、リアム・カニンガム
▽一指導者の幼年時代
ラスト数分で独裁者になっているとはいえ、それまではもう延々と単にわがままな癇癪持ちのくそ生意気で悪賢いだけの小僧の日常を追いかけてるだけで、こいつが成長して一国を手に入れることになるとはとてもおもえないんだよな。
もちろん、ヴェルサイユ条約締結の頃というから世界史的に観ても不安定この上ない時代で、父親はいないわ、母親は不倫してるわで、家庭はなかば崩壊してるし、妙にまわりがエロい世界だったりもするんだけど、そんなものは独裁者になっていく上では必須のことではないし、こんな金持ちの家は履いて捨てるほどあったはずで、つまり、核心から遠いんだよね。
で、もともとは原作があってサルトルの「一指導者の幼年時代」だそうで、つまりはヒトラーを匂わせてるわけなんだけど、だったらそのままヒトラーの幼年時代をまっこうから描いた方が良かったんじゃないかっておもうわ。そんなことないのかしら?