△紙の月(2014年 日本 126分)
監督 吉田大八
出演 宮沢りえ、小林聡美、大島優子、池松壮亮、田辺誠一、石橋蓮司
△貢ぐのではなくて
新聞やら雑誌のようなありきたりな褒め方はしたくない。
お金を介在にしてしか恋愛ができない女っていうのが原作者の主題だったみたいだけど、この作品はそうではないんだよね。そうではなくて、鬱陶しくてたまらないくらいに抑圧された生活から開放されてゆく切っ掛けとなるための恋愛がたまたま横領だったという世界観だったんじゃないかと。銀行に勤めてるから預貯金の横領になっただけの話で主人公の置かれている状況が別なところだったらそれなりの事件が起こったはずなんだけど、あ、それじゃ貢げないか。ま、いずれにせよ、抑圧された状況からの解放っていう吉田大八の得意な世界が広がってるようにおもったよ。
けど、おっそろしいことに、この映画、封切りで観てたらしい。
いやまあ僕もあかんな。すっかり内容を忘れてて佳境にいたったとき、なにもかもおもいだしたわ。
でもさ、なんだか『禁じられた遊び』のラストみたいな終わり方なんだけど、あのバンコクってのはつまりは自由だけれども混沌とした別な世界の入り口っていう捉え方でいいのかしら?