日経流通新聞(208年1月29日)初音ミク誕生10周年、それが音楽やイラストレーションなどの分野の素人クリエーター達を中心にビジネスが展開されていることを報じていた。
最初みたときは、なんとも非現実的な色気のないフィギャだと思ってみていたが、いまやバーチャルアイドルである。
アイドルだから稼ぐ。その収入が芸能プロモーターではなくクリエーター達の懐に入るのだから、素人クリエーター達が増殖する。そして素人クリエーター達が次のアイドルをつくりだしつつ、バーチャルアイドル達が活躍する場が継続されてゆく。クリエションの一つのビジネスモデルを示されているようだ。
初音ミクが誕生した調度2007年、私達研究室に在籍していたOBや大学院のゼミ生ら3人と3DCGの可能性を展開したのがセカンドライフで制作したグリフィン・リゾートアイランドであった。このブログの書き始めも2007年8月16日のこの3DCGカテゴリーのセカンドライフ制作記で始まっている。
当時私達は3DCGの世界である種の可能性を感じていたのであった。クリエイター達がコミュニケーションしながら作品を制作したり転売できるメディアマーケットとしてセカンドライフは存在できたし、今でも可能である。それは初音ミクよりは、もっとリアルな可能性を空間の中で体験できたはずだし、利用者がコミュニケーションしながら作品やコンテンツの売買ができるとするクリエイションの流通市場ができたわけであり、それがビジネスとして広がれば面白いと考えていた。
だからクリエーター達のアトリエビレッジとメディアマーケットセンターを制作したのだが、クライアントは3DCGゲームの延長ぐらいにしかみていなかったし、利用者から問い合わせがあったアトリエビレッジも貸し出すことなく終わり、3DCG自体の操作が一般的ではなかった上に、データの重さからスマホにものりそびれた。欠点はリアル通貨が使えず、バーチャル通貨の換金しかなかったこと、1シムで制作できる部材数も15,000プリムとする制約があったなどである。それは、まだセカンドライフが3DCGという特殊な世界にいたのだろう。
だから初音ミクのような支持はえられなかったし、その後マーケット的広がりもなく珍奇なゲームの場に変更され、やがて消滅した。今思うとボカロPを音源とする音楽のクリエイションが欲しかったな。
しかしゼミ生3人と共同制作したグリフィン・リゾートアイランドの考え方は、当時の他のシムにはみられないリアリティを持っていたし、セカンドライフ社のWEBサイトでも取り上げられ、一定の評価は得ていたのである。だから昨年出版した私の本(環境デザインのプロデュース・コンセプトクリエイション・イマジニアリンク、井上書院)にも1章設けて書いておいたのである。
そうしたサイトを今も続けていれば、私達は社会のメディアクリエイション・リーダーの一角にいたかもしれないなと苦笑いするのである。さて当時制作したシムの制作者達の画像でも貼っておこう。
セカンドライフ、マナティリゾートアイランド