先日マサヒロ君とクロッキー教室に出かける時に話していた会話を思いだしていた。
「我々は、職業モデルを描いているからよいけど、なんで普通の女は恥ずかしいの一点張りで自分のボディを記録しないのだろうか。裸婦では女らしさじゃないのかなあー・・・」
マサヒロ「つまり綺麗じゃないとか・・・」
「あっ、言えてる。多分普通の女はモデルさんほどには身体が綺麗じゃないかもな。といってデッサンのモデルのように、肉体的な特徴とかがあるわけではないから記録価値なしかぁーー。写真のモデルのようにハーフェクとではないしさ・・・」
マサヒロ「ならば羞恥心が支配するかなぁー」
「羞恥心がなくなる年代になると、記録したがったりして・・・」
マサヒロ「そりゃ身体が崩れているから遅すぎるよ。せめて描く価値があるのは20代前半まででしょう」
「そうねぇ、それすぎると描く価値なし!」
マサヒロ「ゴーギャンが処女喪失を描いたモデルは十代後半じゃないかなぁー」
「一番綺麗な時ね」
マサヒロ「それで彼氏ができて結婚して、あっというまに子供ができて・・・。なんて慌ただしいライフスタイルだったら、気がついたら描く瞬間を通り過ぎて価値無しになっていたとか・・・」
「まあそれが一般的だな」
マサヒロ「あっ!、記録に残っているボディがある。ポンペイの遺跡だよ。突然火砕流が襲ったから、逃げる間もなく飲み込まれて埋没した。2千年後の発掘調査では遺体はなかったが石中が空洞になっていた。そこへ石膏を流し込んだら、当時の生活していた状態で人体が復元できた。これは二十歳の女性の身体だよ」
そういってマサヒロ君がスマホをつついて見せてくれた。二十歳ぐらいの女性が火砕流から身を守ろうとしてうつ伏せになった裸婦の石膏像だ。
「骨太で格好いいプロポーションだね」
マサヒロ「多分標準的な若い女の子の体型だった」
「本人が予期せぬところで裸体が歴史に記録されちゃった。しかも作り物の彫刻ではなく、当時の生きていた瞬間で記録されている。これってものすごくリアルだよね。作り物の彫刻なんかぶっ飛んでしまうぐらいに・・・」
マサヒロ「スタイルよかったはずだよ、このホディ」
「だもん裸体を研究し尽くして、イタリアビーナスができたんだもん」
そんな会話をしていた事を思い出していた。
・・・
小樽の空も晴天だ。
郊外へ絵を描きにゆこうか。
あっ!、絵画論って女を脱がして描くための論拠だったかぁー・・・。