Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

私の小さな旅17. 住宅群のデザイン

2011年07月04日 | field work
 この建築群のデザインは、多分建築家スティーブン・ホールによるものだろう。この街の中では、少しばかり面白い空間が漂っている。
 幕張新都心自体には、30街区ほどに数十棟の建築群が立ち並ぶ大型団地であるが、そこには様々な建築家のデザインが登場する点は興味深い。特に幕張ベイタウンと呼んでいる住宅群のデザインは、多彩な個性がありながら、中庭型の住戸やスカイライン、コリドールといった建築要素がデザインガイドラインによってよく統一されて、どこかヨーロッパ的な落ち着きと感性を漂わせている。
 こうしたデザインオリエテンティッドな住宅開発の事例として、 幕張ベイタウンの双璧といってもよい福岡市のネクサスがある。こちらは、それぞれの建築家の個性を前面に押し出しているので、建築の個性はあるが、街全体の統一感は希薄だ。
 もう一つ住宅群開発の優れた例をあげておけば、多摩ニュータウン・ヴェルコリーヌ南大沢である。この3例が日本の優れた住宅群のトップクラスであり、あとはゴミと言ってよいものが多い。
 住宅群のデザインが優れているというのは、棲み手にとって多いに意味があり、日常の生活の風景の中に、居住者の意味や価値を発生させてくれる。私も新進の建築家がデザインした、アパートに2年ほど棲んだが、その体験自体今でも思い出となり、心地よい経験をしたと思っている。
 だから住宅群はよりよいデザインでつくられなければならないのだが、今でも相変わらず100年一律のごとく、平凡なデザインのマンションが建てられている。それはマンションメーカーの発想の貧困さか、居住者の保守性に依存するのであろう。
 だが、そうした貧困さと保守性は、いまの若い世代の感性には全く通用しない。いずれ日本の貧困な住宅地も、多いに変わり始めるだろう。

幕張新都心,2011年6月25日
OLYMPUS E-P2,LEICA DG MACRO ELEMARIT45mm,f/2.8.
ISO200,45mm,露出補正-1/3,f3.5,1/400,iFinish
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私の小さな旅16. 幕張新都心へ

2011年07月03日 | field work
 先週末は、デザイン学会の大会で、津田沼の千葉工大に出かけていた。論文発表につきあった後、2時間ほど時間があったので、幕張新都心へデジタル・ペンシステムを携えて出かけた。なによりもパナソニック・ライカのマクロエルマリートの実写だ。
 このレンズの撮影画像をみると、単焦点レンズだからシャープなのは当然としても、コントラストがよく、繊細さと上品さが漂うつるっと滑らかな写り方をするようだ。マクロレンズでありながら、接写は時間がないのでおあずけである。
 レンズの実写と、タウンデザインを見たいという二つの目的があると、この視察も面白い時間になる。
 私がプロデュース企業にいた頃、隣のディレクターがこの街づくりの計画段階の仕事に関わっていた。私の担当ではなかったので他山の石のように見ながら、頭の隅で彼は何を提案したのだろうと想像していた。中庭型の多彩な建築群、ポストモダン、スカイラインの統一、コリドール、一階の店舗群、街の中には、様々な建築言語が飛び交っているようだ。

幕張新都心,2011年6月25日
OLYMPUS E-P2,LEICA DG MACRO ELEMARIT45mm,f/2.8.
ISO200,120mm,露出補正-1/3,f4.1,1/200,iFinish
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番外編60. ハイブリッドシステム

2011年07月02日 | Kyoto city
 デジタル一眼レフを、フイルム時代のライカより大きいシステムにしてはならないと、 私はしきりにこのブログで書いている。デジタル・ペンシステムは確かに小さいが、それでもライカシステムより二回りぐらい小さい程度なのである。
 デジタルペンが小さいとプロモーションされるのも、いまのデジタル一眼レフシステムが、あまりにも肥大化している理由もあろう。
 二つの機材を並べた画像を見ていると、ライカにはモノクロームフィルムを積め て、デジタルペンと一緒に持ち歩いたらなかなか格好が良いと思わせるものがある。それにライツレンズは、マウントアダプターでデジタルペンと互換性がある。これは復古調ではなく、トヨタのプリウスのようなハイブリッド・システムなのであろうか。
 私自身、本格的に使用した最初の高級機材が、お下がりのキャノン6Lであり、レンジファインダーに慣れているといった、若い頃からのDNAがあるのだろう。だからデジタルペンのEVFも親近感を持って使っている。
 フィルムライカM4Pに、パナソニック・ライカ・マクロエルマリートを付けたE-P2、それに広角ズームレンズを付けたE-PL1を持ってゆけば、このハイブリッドシステムに不足はない。これがC社やN社の機材では、サイズからして似合わないし、むしろデザインは喧嘩するよね。それでは手に余るよな。

OLYMPUS E-PL1,M.ZUIKO DIGITAL 14-150mm,f:4-5.6
ISO800,42mm,露出補正+1/3,f5.4,1/100,iFinish
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私の小さな旅15.  ゆがんだ地域開発

2011年07月01日 | field work
 原子力発電所からの固定資産税が入る大飯町は、この地域には似つかわしくないウォーターフロント開発をしている。海を埋め立て、リーズナブルなリゾートホテルにヨットハーバー、こども家族館という公共施設、エルガイア大飯という関西電力のプロモーション施設、それに公園などが整備されていた。
 少し時間もあったのでエルガイア大飯へ出かけてみた。おそらく関西や東京の人間達によって企画制作されたであろう、ハイビジョン映像は実につまらなかった。こういう立地を無視した人工的な施設というのは、えてして共通するつまらなさが漂うのが日本の特徴である。PRはあっても、楽しませようとか、勉強になるといった、ホスピタリティや文化のクリエイションが全くないのだ。
 それに周辺は、地図で黄色で示されている未利用地が数多く残されている。一体なにをつくろうと目論んだのであろうか。そこでうみんぴあのHPをのぞいた。なるほど今は頓挫したリゾート法で、マリンリゾートを作ろうとしたのか。えっ!、送電塔がみえるこんな普通の場所でリゾートかい!?。ショッピンクセンターも逃げてしまったようだし、今は空地だけが茫漠とひろがっている。大飯町の町長が社長をつとめる典型的な三セクターだ。そしてリーズナブルなホテルとマリーナの収入源位しかないのだから、大きな負債をかかえているのだろう。それを原発の固定資産税で補填しているわけだ。
 日本のどこにでもある、事業に成功できない、ゆがんだ地域開発の現実をまのあたりにした。

大飯町,2011年6月12日
OLYMPUS E-P2,M.ZUIKO DIGITAL 14-150mm,f:4-5.6
ISO200,29mm,露出補正-1/3,f10,1/250,iFinish
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