営業所前ターミナルを出発して数分… ある交差点を定時よりも1分ほど遅れて右折、次のバス停を視界に捉えて乗客の有無を確認… すると、一つの人影が見えたのだが… バス停よりも50mほど手前を、バス停の方へ向かって坂を上っている車椅子の人を発見した。
私は「日傘を差しているし… 単なる通行人だろう」と思いながら、車椅子の人を追い抜いてバス停で止まり、待っていたお婆さん一人を乗せて… 念のため、左ミラーで後方を見て「まさか… 車椅子の人、乗るのかなぁ~?」と思っていたら… バスの近くまで来た電動車椅子の人が、手を上げて「すいませぇ~ん」と言った。
あぁ、まさかの駆け込み… 私はバスのエンジンを切って、運転席を立とうとしたのだが、車椅子の人が「あのぉ… ××に行きたいんだけど、どこで乗り換えればいい?」と言ったので、私は「××ですか… △△ならば行きますけど…」と答えながら「やっぱり乗らないのかな?」と思い始めていた。
しかし、その後も「このバスは何処へ行くの?」「このバスは何処から来たの?」「◇◇へは行かない?」「▼▼の交差点をどっちへ行くの?」「△△は、ここからバス停いくつ目?」などなど… 車椅子の人が次々と質問をしては「乗るか乗らないか」を考え込んでいたので、さすがに私も熱くなりかけたのだが…
その時! 私は“常温鉄仮面”に変身してしまった… 決して熱くならず、そうかと言って特に温かくもなく… 冷たいわけではないけれど、少し冷めた感じの表情… だから、「じゃあ、●●までお願いします」と言われても、まったく慌てることなくスロープを出して、普通に「シートベルトをしますね」などと話し掛けながら、淡々と車椅子の固定作業をやり… 5分以上遅れて発車した。
それから7~8分後… ●●に到着した時に、私の方から「こちらで降りられますか?」と尋ねると、車椅子の人が「次はどこに止まるの?」と言ったので、私は「○○です」と答えた。すると、車椅子の人が「その次は…」と言ったので、私は「◎◎、※※、★★…」とバス停の名前を読み上げ続けた。するとすると、車椅子の人が「※※でお願いします」と言った。
※※に到着して、スロープを出して、固定器具を外した時… 車椅子の人が「すいません、バッテリーの黄色いボタンを押して…(私は言われるままに操作して…) 外れましたか?(外れた!) それを、これと交換して欲しいんですけど…」と言いながら、車椅子の背もたれと背中の間にあるバッテリーを指差した。私は「あぁ、そういえば… バスに乗っている時に、バッテリーがどうのこうのって言ってたなぁ~」と思いながら交換して… 車椅子の人は「ありがとう、助かりましたぁ~」と言って降りて行った…
この路線は、私との相性が良いのか悪いのか… これまでにも、坂の途中でバスが動かなくなったり、大量の“カエルの鳴き声”を放出されたり、バス停で犬に乗ってこられたり… まぁ、すべてブログのネタになっているんだから、相性が良いということでしょう。今後、私自身が事故などの悪いことをやらない限りは…(どうせ、それだってネタにするんだろ? 要するに、どっちに転んでも相性は良いってことだよ! ハハハ…)