喫茶去

徒然に、日々の生活を書き留めたいと思います。喫茶去、まあ、お茶でも飲んで、のんびりしていって。

人生の贈り物

2010-03-19 | 読後感



最近読んだ、柳田邦男さんの『新・がん50人の勇気』にも
彼女の最後の様子が載っていた。
1993年7月6日、胃がんで52歳という若さで亡くなっている。
子育てが山を越した37歳で、
わずか二週間で書いたという『情事』で作家デビュー。
池田満寿夫さんの『エーゲ海に捧ぐ』が
芥川賞を受賞したことに刺激されて書き始めたのだとか。

52歳で亡くなるまでの15年間という短い期間に、
小説・エッセイ・翻訳など100冊を超える著書があるそう。

イギリス人のご主人と、3人の娘さんたちを養うために、
小説を書いて稼いでいたとも、何かで読んだ。
それはそれでいい。

柳田邦男さんの前述の本を読んだばかりで、
『最後のエッセイ集』『絶筆“短銃”』というのが目に入って、
図書館で借りてきた。

彼女の本を読んだのはこれが初めて。
彼女はとても美意識の強い女性のようだ。
この『人生の贈り物』の中には、彼女が愛用していた
ランバンのアンティーク・ドレス、ベネチアン・グラス、ガラスの首飾りなど、
贅を尽くした品々がでてくる。
その品々との出合いや、思いを綴ったエッセイ集。
とても感受性が強く、その物が輝くのは、
服や宝石であれば身につけられて初めて、美しく輝くと。

そんな彼女も、『木箱の中のガラス瓶』で、
「ものが集まるというのは、ほんとうに不思議なことだと思うのだが、
それほどお金がなく、子育てに専念した時代、
ステキなものや心魅かれるものにあまり出逢わなかった。
それは、どうせ買えないのだからという頭から否定する思いがあるから、
ショーウィンドウの中など覗く気にもならなかった、という理由もあるだろう。
それと、子供達に食べさせ着せることに精一杯の時代には、
ガラス瓶の美しさよりも、トマトの真赤なものや、
お魚の方がよほど大事だったとも言える。」と書いている。

24歳で結婚され、小説を書き始める35歳までは
子育てに専念されたそう。
だから、ごもっともかなと思うが、
私は一生、この本に出てくるような物は買えないだろうと。

ふと、この本を真似て、
私のお気に入りの物は何だろうか・・・・・と思い浮かべてみた。
比較にならないほど、安物ばかり。
その物との出合いも、思いも鮮明には思い出せない。
1つの物に、あんなに話が書けるなんて、すごいと思った。

アッ!彼女、物書きだった。
書けて当然か・・・・・

私も彼女を真似て、
私のお気に入りの物達のエッセイを
いつか書いてみたいと思った。


『人生の贈り物』
著  者:森瑤子
出版社:Gakken





 







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