最近読んだ、柳田邦男さんの『新・がん50人の勇気』にも
彼女の最後の様子が載っていた。
1993年7月6日、胃がんで52歳という若さで亡くなっている。
子育てが山を越した37歳で、
わずか二週間で書いたという『情事』で作家デビュー。
池田満寿夫さんの『エーゲ海に捧ぐ』が
芥川賞を受賞したことに刺激されて書き始めたのだとか。
52歳で亡くなるまでの15年間という短い期間に、
小説・エッセイ・翻訳など100冊を超える著書があるそう。
イギリス人のご主人と、3人の娘さんたちを養うために、
小説を書いて稼いでいたとも、何かで読んだ。
それはそれでいい。
柳田邦男さんの前述の本を読んだばかりで、
『最後のエッセイ集』『絶筆“短銃”』というのが目に入って、
図書館で借りてきた。
彼女の本を読んだのはこれが初めて。
彼女はとても美意識の強い女性のようだ。
この『人生の贈り物』の中には、彼女が愛用していた
ランバンのアンティーク・ドレス、ベネチアン・グラス、ガラスの首飾りなど、
贅を尽くした品々がでてくる。
その品々との出合いや、思いを綴ったエッセイ集。
とても感受性が強く、その物が輝くのは、
服や宝石であれば身につけられて初めて、美しく輝くと。
そんな彼女も、『木箱の中のガラス瓶』で、
「ものが集まるというのは、ほんとうに不思議なことだと思うのだが、
それほどお金がなく、子育てに専念した時代、
ステキなものや心魅かれるものにあまり出逢わなかった。
それは、どうせ買えないのだからという頭から否定する思いがあるから、
ショーウィンドウの中など覗く気にもならなかった、という理由もあるだろう。
それと、子供達に食べさせ着せることに精一杯の時代には、
ガラス瓶の美しさよりも、トマトの真赤なものや、
お魚の方がよほど大事だったとも言える。」と書いている。
24歳で結婚され、小説を書き始める35歳までは
子育てに専念されたそう。
だから、ごもっともかなと思うが、
私は一生、この本に出てくるような物は買えないだろうと。
ふと、この本を真似て、
私のお気に入りの物は何だろうか・・・・・と思い浮かべてみた。
比較にならないほど、安物ばかり。
その物との出合いも、思いも鮮明には思い出せない。
1つの物に、あんなに話が書けるなんて、すごいと思った。
アッ!彼女、物書きだった。
書けて当然か・・・・・
私も彼女を真似て、
私のお気に入りの物達のエッセイを
いつか書いてみたいと思った。
『人生の贈り物』
著 者:森瑤子
出版社:Gakken