おぢのニセコ山暮らし

山暮らしと世間のあれこれを書き綴ります

NHKスペシャル「ノモンハンの責任なき戦い」

2018年08月18日 | Weblog

午前6時の気温はプラス11度。

相も変わらず気温は低いのですが、きのう午後から晴れ間が広がりはじめ、そこからホッとしております。

きょうはこのあと曇り時々晴れのお天気で、日中の最高気温は22度に止まるそうだ。

ニセコはもうすっかり秋の気配です。

旭岳ではきのう、1ヶ月以上も早く初雪だそうな。

さて、

15日放送のNHKスペシャル「ノモンハンの責任なき闘い」はご覧になりましたでしょうか?

おぢは録画しておいたのをきのう拝見いたしましたです。

その前の「船乗りたちの戦争 ~海に消えた6万人の命~」にも驚いた。

漁師が戦争に駆り出され、物資運搬を担ってことごとく米潜水艦に撃沈され、6万人もの皆さんが亡くなった事実なんぞ、さっぱり知りませんでした。

わずか15歳の子どもまで乗船して亡くなっておったとか。

餓島と呼ばれた餓死の島、ガダルカナル島に物資を運びそこで餓死した漁師もいたそうな。

なんだかんだ、終戦記念日前後のNHKスペシャルは見逃せません。

話は「ノモンハン…」に戻りますけど、ノモンハン事件とは太平洋戦争に突入する2年ほど前のこと。

当時日本が占領しておった満州国とソ連、モンゴルの国境地帯で起きた日ソの国境紛争のことだ。

これがもうその後の太平洋戦争の顛末とまったくよく似た、デタラメな戦争なのでした。

まずはなんといっても情報の軽視。

ソ連軍は時速50キロの高速で走る大量の戦車を塹壕に隠し、兵士も5万人を超える大群で備えておった。

かたや関東軍は2万5000人ほどの守備隊で歩兵が中心。

しかも装備はというと、明治のころの「三八式歩兵銃」とクラクラするほどの時代錯誤状態だ。

国境周辺の大平原には数万ともいわれる塹壕が掘られ、凄惨な戦いが繰り広げられ、関東軍の部隊はその8割、2万人のも兵士が亡くなる。

事実上、この紛争を推し進めていたのは、若い参謀である「辻政信」といわれる。

一介の参謀にすぎないけど強気一辺倒の議論で関東軍を引きずり、国境紛争を一気に拡大させたのだ。

モスクワ駐在武官の大佐・土居明夫は「ソ連は国境に相当の兵力を輸送している」と報告したけど、辻は土井を別室に呼び出し「あんたがあんな恐怖症のような報告を東京でしたら、若い将校が『刺し殺す』と言っとる」と脅す。

それでも土井は東京で報告するが、ムニャムニャにされてしまう。

辻を部下として使った軍幹部が辻を擁護し、ソ連の兵力増強を事実上無視してしまうことになるのだから酷いものだ。

また番組では、戦後、当時の幹部から聞き取り調査した録音テープが公開されておった。

この中である参謀は「こんなにたくさんソ連兵が来ておると思わなかった」と発言しておるから、どんだけ見通しが甘かったかを物語る。

現地軍の大暴走で敗北し、国境線をソ連の主張する通りに後退させられた日本軍は、責任を現場に押し付ける。

200人もの死者を出しながら、フイ高地というところで奮戦した井置栄一中佐だったが「いつの日にか戦うことを期して生き残るため、残存兵力の消耗を防ぐ」として、260人の兵士とともにここを未明に脱出する。

実際には、水も食料もなく、フイ高地の兵士たちは餓死寸前だったとされる。

しかし、辻政信はこれを非難、軍の命令に背いたとされ、井置中佐は責任を取らされる。

責任を取らせるというなら、本来、軍法会議にかけるべきでしょう。

録音証言によれば、ある参謀が1週間、毎日1時間ほど、井置中佐のもとを訪れ自決を説得。

最後には銃を置いてきたという。

未明に井置中佐の部屋から銃声がしたのだという。

ひどい話ですわ。

さらに、飛行機が故障し捕虜となった幹部パイロットも、自決を強いられておる。

生きて帰って、また戦うならいざ知らず、生きて帰って自決ですからあまりに酷い。

こんなことから、2年後の太平洋戦争では、撤退などせず、あちこちで「玉砕」という美名の元に、全滅してしまったことが容易に想像される。

ニッポン軍のデタラメ、ムチャクチャの原点は、ノモンハン事件にあったようです。

作家の司馬遼太郎はこのノモンハン事件を小説にしようとしたけれど「一体こういう愚かなことをやる国はなんだろう」として、取材したけど嫌気がさして小説を断念したそうだ。

そして、この事件の首謀者だった辻政信は2年後には日本軍の中枢に返り咲き、日米開戦の原動力になったそうな。

強気一辺倒、イケイケドンドンに振り回されて、結果310万人のニッポン人が亡くなったのが、愚かな太平洋戦争だったということになる。

威勢のいい人たちの言うがままだと、いつか来た道を辿ることになりかねないのだと、改めて思ったりした好番組なのでした。