グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

昭和新山に登ってきました。

2011年09月28日 | 火山・ジオパーク
日本ジオパーク全国大会出席のため、正午過ぎに洞爺湖有珠山に到着し、
今日のために特別立ち入りを許可された“昭和新山ツアー”に参加してきました。

昭和新山は1943年から1945年にかけての噴火で、それまで畑だった平地が盛り上がって誕生した火山です。
緑に覆われた伊豆大島の火山と違い、人が暮らす町のすぐ目の前に、赤い岩の山がそびえたっています。

「わ~!すごい迫力!」
見ただけで荒々しい感じなのに「今日は山頂まで登ります。」と聞き、ちょっとドキドキ…。

高さは約250mなのだそうです。
下から見上げるとかなり切り立って見えますね~(^_^;)

どうやら今日のツアーの参加者は火山や地質の専門家の方が多かったらしく、みなさん平然と頂上を目指して歩いていきます。


道中時々、地温を図りながら進みます。
山頂の近くは99℃でした!

でも、火傷するほど熱いかというと、歩いている限り足元にそのような熱さは感じません。
高温なのは一部の場所のようで、少し離れるだけで全然違うんですね。

ガラガラの岩場を登りきった山頂は、抜群の眺めでした。

ツバメが気持ちよさそうに飛び回っていて、先日大島の割れ目噴火の火口上を気持ちよさそうに飛び回っていた、ツバメたちの姿を思い出しました。

眼下に見えるのは畑や街並み、そして静かな湖。
目の前の畑が250mも盛り上がるのを見たら、どんな思いにとらわれるのでしょう?

静かに水をたたえる洞爺湖も、11万年前の大噴火でできた窪地に水が溜まってできたそうです。
地球の動きってスゴイ…。

山頂近くでは、100℃の地温の中で調理をされた、ゆで卵とブロッコリーとソーセージもいただきました。

ものすご~くおいしかったです!
なんといっても、調理人が火山っていうのが凄いです。

調理場所はここ。

この昭和新山は、実は私有地です。
保全のために私財をなげうって一帯の土地を買い取った故・三松正夫氏は、いつもこの場所で調理をしながら火山を観察していたとのこと。

火山が自分のうちのオーブンだなんて、なんてすごい物語でしょう!
(三松正夫氏の感動的な物語をもっと詳しく知りたい方は、ぜひこの名前でインターネット検索してみてください)

そして雄大な景色を見下ろしながらゆで卵を頬張る私たちの足元では、小さなかわいい花がひっそりと咲いていました。


下山中の、噴火後約60年が経過した場所の植物たちの様子も、興味深いものでした。
イタドリが笹のような太さの茎を長く伸ばし、人間の背丈よりも高くなって森の木々の三層構造の、中層を占めていました。

大島ではこの高さはアオキ、シロダモなどの常緑の木が占領していますが、ここは木のようなサイズのイタドリ!
そして森の屋根を作る高木層はドロノキが占領していました。

大島では冬でも濃い緑の葉を広げる木々が、黒い溶岩の上に茂っているのに対し、昭和新山では白~赤の溶岩の上に、冬は枝から落ちる明るい緑の葉が茂っていました。
倒木がそのまま森の土壌を作っていて、植物たちの自然な移り変わりがそのまま見られる素敵な森でした!(^^)!

道すがら赤く熟したグミを頬張りながら、この山への思いを語ってくれた三松三郎氏(現三松正夫記念館館長)や地元ガイドの火山マイスターの方々。

日本にはたくさんの魅力的な火山と、魅力的な人々がいるのだな~と、そんなことを実感した1日でした。

(カナ)
コメント (4)
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