グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ところ変われば…。

2014年05月22日 | 植物
4月に式根島へ行った後、確認しなければ…と思っていたことがあります。
2つの島に共通の植物、オオシマハイネズについてです。

式根島の神引展望台(標高99m)の周辺を這っていた、オオシマハイネズをひっくり返して観察した時「あれ?」と思いました。

裏側に細かい砂が、ビッシリついていたからです。

砂は、しっかりハイネズにくっついていました。

細かいヒゲ根でものびて、砂を固定しているのでしょうか?
(もっと良く見てくればよかった…)

一方、大島のハイネズは…

何もつけず、枝だけで伸びていきます。

たまたまかもしれませんが、“這い方”も少し違う気がします。
式根島では1本の枝が太く長くなっていくのに対して…


大島の海岸ではアメーバのように広がっています。


そして、住んでいる環境も微妙に違うようです。
式根島では、神引展望台周辺で広範囲に広がっていました。

ガラガラした白っぽい溶岩地帯で、クロマツと並んで天下をとっているように見えました。

大島では…海蝕崖の縁の近くでしか、見られないような気がします。

崖の縁を覆い尽くすように広がってはいますが、少し陸側に入ると姿が見えなくなります。

こちらは、違う海岸ですが…

やはり海岸ギリギリの場所で生きています。

崖の縁では丈夫な枝を垂れ下げて、光を独占していますが…


崖上では他の植物達の勢力に押され、かなり形勢不利なようです。

トベラ、クロマツ、マルバアキグミ、マルバシャリンバイ、ススキ、サルトリイバラ、ラセイタソウ、イソギク、ガクアジサイ等がひしめきあっているので、ここで競争に打ち勝つのは、相当大変そうです。
 
ここも…かなり競争が激しそうです。

ススキ、スイカズラ、ハマボッス、イソギク、ボタンボウフウなどに埋もれるようにして、ひっそりと生きています。

「これだけ他の植物に覆われると、背の低いオオシマハイネズは大変だなぁ」と思っていたら…
足もとに、こんな光景を見つけました。

オオシマハイネズがイソギクの下から脱出し、光のある場所へ這い出ています!
頑張るなぁ~。

オオシマハイネズの目線(?)で周囲を見回してみたら、彼らが激しい戦いの中で生きているのが良くわかりました。

「ウワ~押すなよ!負けないぞ~!」という声が聞こえてきそうな気も…(笑)。

ところで、式根島と大島のオオシマハイネズの違いは、なぜ生じたのでしょうか?

もしかしたら…式根島の「火山灰のまざる溶岩地帯」という環境の方が、植物が生きるにはキビシイのかもしれません。

火山灰は軽いから、風が吹くと舞い上がり地面が安定しない。でもゴツゴツ溶岩は風が吹いてもあまり動かないから、植物達が生きやすい…ということはないでしょうか?

式根島のハイネズたちは、火山灰をつかまえて少しでも体を重く安定させる術を身につけ、他の植物との競争が激しい大島のハイネズ達は、とにかく戦いの場を抜け出して、先へ先へ伸びる能力を身につけたとか…?

謎を解くためには、もっときちんと調べなくてはならないのでしょうが、あれこれ想像するのは面白いです。

火山の違いが動植物の生き方にも違いを作っていく…ジオ物語、楽しんでます!

(カナ)
コメント
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