goo blog サービス終了のお知らせ 

グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

4学会合同調査団 報告会(質疑応答編)

2014年05月29日 | 火山・ジオパーク
一昨日の4学会合同調査団報告会・講演編に続いて、質疑応答の報告です。
質問は青で、回答は黒で書いてあります。

Q 説明があった「家が崩壊して瓦礫が寄った家」がうちだと思う。なぜ周りが土砂に押しつぶされたのに、自分の家が残ったのか?泥流が先で、その後水が流れたのではないかという報告だったが、泥流を押さえれば大丈夫なのか?土砂は押さえても水が流れてくるのではないかという不安を抱えている。
A 土砂は既に流れて裸地化している状態なので土砂災害は軽減されるが、水に関しての心配はある、1日150ミリとか200ミリの雨でも注意すること。縦方向に道路が走っているところは、道路が水の道になる。道路にそって地表面を流れるものに注意して ほしい。道路が川になることは様々な場所で起こっている。丸塚橋の下の流路が狭くなっているが、流木がつまらなければ流れるだろう。

Q「流路工の許容量が追いつかないのでは?」と思う。表層地下水の排水土木を、早急にやらないといけないのではないか?
A  流路工に関して都は「水は流れる」と考えているが、どの位の雨を想定しているかは、都に確認した方が良いと思う。市街地に入ると川幅が狭まることはよくあり、川幅を広げるには下流の人にどいてもらわなければならないなど、時間がかかる。どこに設計の限界があるのか?どの位の雨なら大丈夫なのか、それをしっかり聞いていくべき。

Q 昼に現地で見学した際、崩れた所の木が浅く、見るからに崩れて来そうな気がして不安になった。大丈夫か?
A 木か傾いていたりする不安定土砂は流れる可能性はある。大規模な崩壊が起こるかどうかは分からない。

Q 流木は堆積工に流れる構造になっていると考えて良いか?
A 雨の規模によるが、一気に流れるわけではない。堆積工に入ってくれば、安全度は高いと考えている。堆積工は安全の資産である。

Q 地震計の振動と振動の間にエネルギー蓄積があったのか?
A 大きな振動は2時から3時までの1時間に15~20分の間隔をおいて4回あった。おそらく斜面崩壊を起こして土石流が流れていったと考えている。検証する方法はないが、斜面崩壊起こした土砂がどこかに溜まり、雨がまた押し流したという可能性はある。

Q 当日島にいなかったが、元町橋の人の証言では、午前2時台に橋が溢れて家が2件流されはじめた。土砂流より先に水が溢れた。立ち木は灌木が多く株立ちしていて枝が張れない、2~3mしかない細い木が多い。元町林道、野増林道は低い灌木で崩壊、一度詰まって土砂ダムになったのでは?
A その可能性もあるが、立証は難しい。

Q 崩壊のメカニズムはわかったが、崩壊の引き金は何か?馬やラクダを飼っていた牧場の下で崩れている。御神火スカイラインは6合目からはつづら折れ道路、に側溝がないなど道路の水の影響ではないか? 以前は牧草がジメジメしていたが、今は乾いている。水がそこを越えて、遷急(センキュウ)線=斜面の角度が急になるところ=を越えたのでは?
A 崩壊は、センキュウ線の下から崩れている。尾根には水が集まらないので、たぶん崩壊しない。残った集水地形、沢地形に集まる。

Q センキュウ線はどこでもあるのか?
A どこでもある。

Q 道路がない場合も、センキュウ線があるなら同じ状況になるのか?危険な場所に道路を作ってしまったのではないか?人間だけの便利さを、追求するものではないのでは?
A 表層崩壊は全国的なもので、日本は危険なところだらけ。景勝地は全部危険なところである。数100年間隔で同じ地域に土砂災害が起こる。表層崩壊が同じ所で起こるのは800年~1000年間隔が多い。道路を作らないといけない状況の時もあり、ソフト対策を行っていくことが必要である。

Q 堆積工が地下水の流れをとめ、水が斜面を上に向かって崩していったというとはなかったのか?
A 崩壊地はかなり上流なので、堆積工が地下水の流れを止めたことが原因とは、自然原理的に考えられない。

Q 元町以外でも、雨が降ったときのシミュレーションすることはできるのか?
A 詳しく調査すればできる

Q 土壌に穴をあけて水を浸透させるようなことはできないのか?
A 穴をあけることは原理的には可能かもしれないが、自然に悪い影響を与えるのではないか?
水を通すには、ものすごくたくさんの穴を掘らなければならない。

質疑応答は以上です。

最後に、今日の三原山の風景を…

雲海を数年ぶりに見ました!
普段は海が見える場所が、雲の海になっていて感激しました。

明日は今日の山の報告をまとめたいと思います。

(カナ)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする