goo blog サービス終了のお知らせ 

グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

2回目の火山観測

2014年05月30日 | 火山・ジオパーク
昨日、気象庁の火山観測に同行させてもらいました。

ジオパーク活動の防災のとりくみの一環で、私たちガイドが2人ずつ火山観測の現場を見せてもらえるようになってから、2年以上が経ちます。私は昨日で2回目の参加でした。

三原新山のふもとで、地温の測定。

数10mしか離れていないようでも、場所によって温度が違います。

この日は2カ所で測り、最初の場所は30.2℃。
噴気が出ている場所は…

でした。

観測機器が一カ所おかしいので点検するとのことでしたが、何とソーラーパネルが1枚、壊れていました。何かが強い力でぶつかったような割れ方です。

今までにこういう割れ方をしたことはなかったそうですが…誰かがイタズラで割ったのではないことを祈りたいです。

何を修理すれば良いかのチェックをすませ、先へ…。

火口では“放射温度計”と“赤外熱映像装置”という2種類の観測機器を使って、火口底の温度を測りました。

こちらは“赤外線熱映像装置”

カメラの液晶に、数字で温度が出てきます。
この日の温度は55℃とのことでした。

「剣が峰」という火口1周コースの中で一番高いところでは、ものすご~く精密な時間が計れる機械で、レーザー光線が“離れた所にあるミラーから跳ね返ってくる時間”を測っていました。(正確にはパルスの位相差を検知しているもののようです。)

気象庁の加冶屋氏の説明によると「レーザー光線は1秒で30万キロ飛ぶと言われていますが、ここでは2kmから500mの距離で跳ね返ってくる光を測っています。そんな時計の精度は、たぶん10の11乗分の1秒」

…は?
なんですか、その単位??

計算すると0.00000~秒?!(もはや理解不能)
瞬きする時間もないのですね!
人間って、そんな精度の時計を作れるのですね~!!

機械をのぞかせてもらったら、ミラーの位置に焦点を合わせられるようになっていました。

この観測結果によると、大島は全体が膨らんでいるが、火口は縮んでいるのがわかっているのだそうです。

これは、「地下のマグマだまりにマグマが溜まってきているが、上の方までは上がっていないこと」を示しているようです。噴火が近づき、マグマが上がってくると、火口が開いてくるだろうと考えられているとのこと。

火口1周コースから内側に入り、普段は見下ろしている凹みの中から写真をとります。

いつも同じ場所から写真を撮って、地形の変化を見ているのだそうです。

この位置からも、写真を撮っていました。

見ている方が怖いです…。

そして行く先々で、このようにお掃除。
「けっこう汚れているなぁ」と加治屋氏。

「あのう掃除をしないと観測結果に差が出るんですか?」←疑問に思ったので聞いてみました。
回答は…「いや、単に性格の問題です。」とのことでした!

私たちは途中で帰りましたが、火山観測は、ほぼ1日続いていたようです。こうやって最先端の技術を使って、次の噴火を予知しようとする努力が続けられているのですね。

私たちが、火山とともに暮らすために…。
なんだか感動です。

ところで、普段立ち入らない火口付近では、様々な“噴火のスゴさ”を連想させる景色がみつかりました。例えば、ドロドロの流れ…。


噴火で火口から飛んで来た岩の上に、流れて来た溶岩(たぶん)。


こちらは溶岩が上から飛んで来て、帽子のようになったのかも?

キノコにも見えますが…。

火山弾の横に立って火口を眺めると「あの穴から出て来たんだね。」と語りかけたくなります。


ちょっと大きめの火山弾に寄り添うように咲いていた、鮮やかなツツジの花にも出会いました。(三原新山の下で)

周りが荒涼とした風景だからか、ひときわ美しく感じました。

火山も人も植物も、みんな素敵です。
知れば知るほど、そう思います。

ジオパークを通して、火山観測の現場を見られるようになったことも本当に嬉しいです。

噴火や地震や雨は人間の力では止められないけれど、でも人間は、その中で生きぬく方法を探し続けていけるはず…そんなふうに感じられた、火山観測でした。

(カナ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする