福祉用具、住宅改修や介護サービス、施設などサービス個別にも議論があった「介護保険制度の見直しに関する意見」だが、議論を網羅的に記述した傾向がある。多くの人が小規模な改定と評価している今回の部会審議だが、それは財源確保未確定と調査の遅滞が原因か。
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要介護状態になると本人には介護自体が負担となり、サービスを利用すると利用料金がかかる。そして要介護認定者が増えると市町村全体で介護保険料が上がり年金受給額が減る。
これら負担を減らすには市町村、事業者そして高齢者自身もそれぞれ応分に応じて役割を果たすことが欠かせない。
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平成26年成立の「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」によって介護保険法が改定された際に、居宅介護支援事業所の指定権限を市町村に移譲することが決まっている。今回の「意見」では指定権限だけを委譲して、指導などの権限は委譲しないという。指定権限と指導は一体、むしろ指導権限を市町村が持ちたいから指定権限を委譲するのでは、と思う。
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居宅介護支援に関して「介護保険制度の見直しに関する意見」は、管理者の役割明確化、特定事業所集中減算見直しを含めた公正中立なケアマネジメントの確保、入退院時の連携強化等のために、運営基準等の見直しを平成30年度介護報酬改定時に行うべきと。
主眼は次改定時に運営基準を改定する、その項目は上記の事柄だと理解される。
「意見」でも認知症対策を取り上げている。成年後年にも触れていて、いくつかのキーワードがある。いわく「市民後見人」「法人後見」など。
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ほかに「後見等の実施前から継続的に支援が提供される体制」の整備をいう。
どれも実現には難しいことが多い。
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ほかに「後見等の実施前から継続的に支援が提供される体制」の整備をいう。
どれも実現には難しいことが多い。
「意見」では地域包括支援センターについて、改めて定義をし、業務について介護支援専門員への支援から地域の住民やサービス事業所全体を含めた視点に移っている。つまり「地域全体をターゲットとする支援」へ拡大することを述べている。この意味することは重要だ。
「介護保険制度の見直しに関する意見」は市町村の果たすべきことに期待を寄せる。中でも「地方財政に占める介護保険事業歳出のボリュームが増大していることも意識しつつ、各市町村において、保険者機能を機能するという強い認識を持ち、介護保険に係る行政分野への人材投入等を行うべき」と、いままでにないメッセージだ。