浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

暴言が席巻する時代

2014-06-13 09:36:15 | メディア
 ネットの世界は、暴言にあふれている。何か事件がある度に、その事件の原因を「韓国」や「中国」に求め、罵詈雑言を浴びせる。

 韓国で起きたフェリーの沈没事故。フェリーを運航していた金儲け主義の会社の経営者や船長らに対する責任追及の声は続いている。当たり前だ。こうした事故が起きると、韓国全体を批判する声がネットでは大きくなる。

 だが、日本でもJR西日本の事故、福島原発事故、基本的には金儲けのために安全を犠牲にしてきた結果である。韓国では、船長や経営者の責任追及が行われてるが、日本でのこれらの事故については、誰も責任をとらない。

 さて、長崎の原爆被災の語り部である森口貢さんへの中学生の暴言が問題となっている。残念ながら、なかには原爆被災をきちんと受け止められないそういう子どももいるのだろう。当然、長崎を訪問する前に、原爆にまつわる話を教えていただろうに、残念なことだ。

 今日の『中日新聞』特報欄は、この問題を扱っている。

 この記事の中に見過ごせないことが紹介されていた。テレビにもよく出演している「明治天皇の玄孫」として知られる竹田恒泰さんがツイッターでこう記したというのだ。

 被爆者を自称して一時間一万円で生徒に被爆体験を語るふりをし、実際は反日思想を植え付ける話をしていた模様。平和教育はもうやめたほうがよい。

 これも暴言である。森口さんは被爆者。子どもたちに被爆体験を語ることが何故に「反日思想を植え付ける」ということになるのであろうか。また一万円は、交通費を含めた謝礼である。時間を割いてこういう語り部をしていただくのだから、それに対して謝礼するのは当たり前だろう。竹田さんもテレビに出演して、出演料をもらっているだろうに。

 そして竹田さんは「平和教育はもうやめ」ろ、という。そうだろうか。

 こういう無責任な、事実と異なる暴言を吐く大人がいるから、子どもたちもそれを真似するのではないか。

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農地の破壊

2014-06-13 07:40:03 | 政治
 農業にとって、土はきわめて重要である。土が作物を作ると言っても過言ではない。

 今朝、NHKのニュースを見ていたら、福島県飯舘村の農地の除染を取り上げていた。飯舘村は、福島原発からの放射性物質に覆われた地域である。現在も住むことができない。しかし政府や村は、強引に住民を戻して生活させようとしている。そのためには、放射線量を減らさなければならない。

 放射性物質に汚染された表土をはぎとる、そしてそこに山砂を敷き詰める。それが除染のやり方だそうだ。

 しかし驚いたことに、すべての土地でそれを行っているのだ。田もその方法だ。水田に敷き詰められた山砂。これでは、たとえ放射線量が減ったとしても、農業で生きてきた人々の生活を再開させることはできない。

 農業に適した土をつくる、それは簡単にできるものではない。長い間の土作りが求められる。飯舘村は農業で生きてきた村だ、そこの農地はそれこそ長い長い時間でつくりだされてきたはずだ。

 それが原発事故による放射性物質によってけがされ、さらに除染という事業によって破壊される。農業に生きていた人々の絶望感はいかばかりだろうか。

 
 今ボクが耕作している畑は、数年前まで荒れていた。草が生い茂る、だから除草剤を散布する、すると土地が死ぬ。ミミズをはじめとした生き物たちが生活できなくなる。作物にとって死んだ土地となる。

 耕作し始めた頃、あまりにミミズがいないことに驚いていた。しかし今年になって掘り返すと、ミミズが顔を出すようになった。農地が農地として復活してきたのだ。

 除染を担当する環境省の官僚たちには、土づくりの苦労がわからない。ただひたすら放射線量を減らすことのみに集中する。そうした官僚の視野の狭い、「やればいいんだろう」という姿勢が、人々の生活を破壊してきた。

 おそらく、今後も破壊し続けることだろう。「官尊民卑」は「官損民否」だ。バカな官僚が民の生活を毀損して、民の生活を否定する。

 これからも続くだろう、民が声をあげない限りは。しかし福島県は、近世において百姓一揆が多発したところ、近代になっては自由民権運動もさかんだったところだ。そういう伝統が復活することはないのだろうか。

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