浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

倫理とカネ

2014-06-16 15:50:22 | 政治
 政治倫理ということばがある。しかし安倍政権には、まったく無関係のようだ。財界の要望に積極的に応え、武器輸出を解禁し、それで儲けられるようにさせるというのだ。カネのためなら、人が殺されようがそんなことにはかまっていられない、という思考。

 日本は、理想や道義も完全にかなぐり捨てようとしている。
 日本国憲法の前文である、

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 
 そして、『東京新聞』の半田氏の記事。

武器輸出歯止め策の正体

2014年6月16日


 安倍晋三政権は四月、武器輸出三原則を廃止し、防衛装備移転三原則の名称で武器輸出を解禁した。とはいえ、政府は「歯止め三原則」があると説明している。

 「わが国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合」がそのひとつだ。本当に歯止めだろうか。

 日本は一九九八年、農業従事者や子どもが犠牲になる対人地雷の禁止条約を締結し、自衛隊の対人地雷を廃棄した。条約には百六十一カ国が加盟しているが、米国、中国、ロシアなどの軍事大国は締結していない。

 また日本は二〇〇九年、親弾に入った子弾の多くが不発弾となって住民に被害を与えるクラスター爆弾の禁止条約に加盟した。米国、中国、ロシアはやはり締結していない。

 すると先の原則によって、これらの国へは武器輸出できないのだろうか。防衛省装備政策課は「条約を締結しても違反する国へは輸出しないという意味です」。最初から締結する考えのない米国などへは輸出できるのだ。

 現に米国へは迎撃ミサイルの基幹部品の輸出が検討され、対人地雷禁止条約を締結していないインドへは救難飛行艇の輸出へ向けた作業部会が設置されている。

 「歯止め」は武器輸出の障害にならないよう巧みにつくられている。「必要最小限」も巧みな解釈によって集団的自衛権行使の「歯止め」とはならないのだろう。 (半田滋)

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