浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】大野更紗『さらさらさん』(ポプラ社)

2014-10-01 15:32:14 | 
 本を読むということは、知らない世界を知るということ。難病に突然見舞われた更紗さんは、難病を抱えるという客観的な状況を主体的に把捉すべく、猛勉強している。その片鱗が、本書ではわかる。

 いろいろな分野の人と対談し、その対談の中で、みずからの学びの成果を惜しげもなくさらけだしている。先ほど書いた宮本太郎は、対談者の中でも質が悪い学者。それ以外の人びとは、ふつうの感覚をもつ。だから更紗さんの発言と共鳴しながら話が進んでいく。

 宮本を除いた対談者が書いた本なんか、読みたくなるし、いままで障がい者の問題などあまりかじってこなかったボクとしては、大いに知的関心をかき立てられた。

 なかでも、猪飼周平氏の『病院の世紀の理論』(有斐閣)は読みたくなった。また『逝かない身体』(医学書院)の著者・川口有美子さんの「死ぬまで人は発展しうる」ということばは胸に響いた。

 よい本である。更紗さんの精進を期待します。

 読んでいて思ったことは、『現代思想』に更紗さんは時々書いていた。購読しているボクは、見逃していた。
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学者たち

2014-10-01 09:19:05 | 政治
 大野更紗さんの『さらさらさん』(ポプラ社)を読んでいる。本書は、本の紹介と対談などで構成されている。

 なかでも宮本太郎との対談は、大野さんの妥協のない主張で、「よくやった」と感動した。

 宮本太郎は、以前NHKの「クローズアップ現代」で、貧困問題を取り上げていた。そこでは、取材された貧困の生々しい現実が盛り込まれていたが、宮本はその現実にほとんど関心を示さず、制度論や政策論を、ひたすら話していた。彼は政府の審議会の委員などを歴任しているが、彼は立場としてはほとんど政府側の発言をしていた記憶がある。つまり彼には、貧困に苦しむ人びとへの愛情や同情はなかった。

 今回の対談でも、大野さんは自らが難病患者の一人として、福祉の現実と政策の乖離を指摘しているのだが、その発想が宮本には伝わらないのだ。

 宮本太郎は、かつて日本共産党のボスとして君臨していた宮本顕治の息子である。親と本人とは異なるのは当然だが、人間的な感覚は似るのではないかと思う。宮本顕治はもう亡くなっているが、彼には人間としての温もりが感じられなかった。

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やっと九月が終わった

2014-10-01 06:59:10 | 日記
 今年の九月は、ほんとうに忙しかった。読書はしたが、何かを話すため、何かを書くための読書であった。

 静岡には5回行った。

 頼まれていた責任ある仕事については、昨日終わって届けてきた。

 某氏の論文の校正は、某氏が過去に書かれたものを読み込んでの作業であった。

 歴史の講座が最後のひとつ、そして「非暴力による平和」という講演。2回人びとのまえで話した。ボクは、人の前で話す場合は、最善を尽くす。だから、そのための準備に厖大な時間をつかうから、その精神的重圧はなかなかたいへん。それに、レジメとプレゼンのふたつを作成しなければならなかったので、二重にたいへんだった。来年は、歴史の講座が6回ある。

 そして親戚の子どもの家庭教師。

 今月は、参加している研究会の総会だけだから、本を読めるだろう。大野更紗さんが関わった未読の本が、3冊ある。まずそれを読まなければ。

 重い精神労働を緩和してくれるのが、農作業だ。10月は、サツマイモ掘り。農作業は頭を使わなくてよいから楽だ。
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