『現代思想』9月号は「医者の世界」が特集だ。テレ朝系列で「ドクターX」という番組があって、ボクもそれを見ている。今まで医者や医療についての関心はほとんどなかった。ただ、ハンセン病の問題を「差別」の視点から捉え、静岡県のハンセン病を歴史的に明らかにすることはしたいとずっと考えていて、一応それには着手はしているのだが、継続していない。
さて巻頭は、大野更紗さんの文であるが、刺激を受けるような文ではなかった。もうボクは大野さんの本は読んでいるから。
次の早川一光さんと立岩真也さんの対談は、とても興味深いものであった。早川さんは1924年生まれ、なかなかのご高齢であるが、医師として現役で活躍されている。
早川さんは、戦争が終わって、「自治」に目ざめる。「セルフ・コントロ-ル、自ら治める、これはもう眩いばかりの輝きを僕らに放っていた」という。ここにも戦争直後の解放された気分がほとばしり出ている。こうした「感激」をもう一度確かめることが大切だと、ボクは考えている。
早川さんは、「まず学生が自ら学ぼうという意欲が民主主義の第一歩であり、そういう意味での自治ができるということがデモクラシーの第一歩」であって、「民主主義者とは何かと言えば、参加すること、発言すること、それから情報を公開すること、閉じた部屋の中で閉じたことをするのではなく、みんながわかるところでわかるようなものをすること。そのかわりみんなはこれに向かって意見を言うからそれを聞く耳を持つということ」と語る。戦後の民主主義は、こういう精神で開始されたのだ。
このような視点で医療活動に従事する早川さんは、「健康を守るにしても、「自分の身体は自分で守る」という自主の考え方を、どれだけたくさんの人たちに持たせるかということが、福祉、保健、疫学である」という。民主主義に不可欠の自主、自律が必要であるという。早川さんは、「ナトゥーラ・サナート、メディクス・クラート」、「自然が治すのであって、医者はそれを下から支えるだけ」、それが「医療」なんだという考えをもっておられる。
その考えは、対談の中で各所に表現されている。「医療」というものをとても謙虚に把握されている。
「治らない、治せない、ではどうするかといったら、一緒に泣こうよ、一緒に語ろうよ、一緒に悩もうよ、つねにあなたの側にいるよ、と、住民と一緒に歩いて行くことしか僕らにはできないのではないか」
そして「とことんまで生きること」を提唱する。民衆と共にある医療活動はどうあるべきかをずっと考え続けてきた早川さん。
ここに引用しなかったが、何カ所かでなるほどと教えられたところがあった。
ボクは、医療従事者をうらやましく思ったことがあった。仕事そのものが、即自的に人のためになるからだ。しかしボクは医者になろうなんて少しも考えたことがない。ちょっと血が出たりするだけで、もうボクはふつうじゃなくなってしまうからだ。
さて巻頭は、大野更紗さんの文であるが、刺激を受けるような文ではなかった。もうボクは大野さんの本は読んでいるから。
次の早川一光さんと立岩真也さんの対談は、とても興味深いものであった。早川さんは1924年生まれ、なかなかのご高齢であるが、医師として現役で活躍されている。
早川さんは、戦争が終わって、「自治」に目ざめる。「セルフ・コントロ-ル、自ら治める、これはもう眩いばかりの輝きを僕らに放っていた」という。ここにも戦争直後の解放された気分がほとばしり出ている。こうした「感激」をもう一度確かめることが大切だと、ボクは考えている。
早川さんは、「まず学生が自ら学ぼうという意欲が民主主義の第一歩であり、そういう意味での自治ができるということがデモクラシーの第一歩」であって、「民主主義者とは何かと言えば、参加すること、発言すること、それから情報を公開すること、閉じた部屋の中で閉じたことをするのではなく、みんながわかるところでわかるようなものをすること。そのかわりみんなはこれに向かって意見を言うからそれを聞く耳を持つということ」と語る。戦後の民主主義は、こういう精神で開始されたのだ。
このような視点で医療活動に従事する早川さんは、「健康を守るにしても、「自分の身体は自分で守る」という自主の考え方を、どれだけたくさんの人たちに持たせるかということが、福祉、保健、疫学である」という。民主主義に不可欠の自主、自律が必要であるという。早川さんは、「ナトゥーラ・サナート、メディクス・クラート」、「自然が治すのであって、医者はそれを下から支えるだけ」、それが「医療」なんだという考えをもっておられる。
その考えは、対談の中で各所に表現されている。「医療」というものをとても謙虚に把握されている。
「治らない、治せない、ではどうするかといったら、一緒に泣こうよ、一緒に語ろうよ、一緒に悩もうよ、つねにあなたの側にいるよ、と、住民と一緒に歩いて行くことしか僕らにはできないのではないか」
そして「とことんまで生きること」を提唱する。民衆と共にある医療活動はどうあるべきかをずっと考え続けてきた早川さん。
ここに引用しなかったが、何カ所かでなるほどと教えられたところがあった。
ボクは、医療従事者をうらやましく思ったことがあった。仕事そのものが、即自的に人のためになるからだ。しかしボクは医者になろうなんて少しも考えたことがない。ちょっと血が出たりするだけで、もうボクはふつうじゃなくなってしまうからだ。