今、『天皇と東大』第一巻(文春文庫)を読んでいるが、庶民が非理性的に何らかの動きに入り込んでいくとき、歴史は大きく転換するということがよくわかる。特に庶民は、「昔も今も、ナショナリズムはならず者の最後のより所といわれるように、ナショナリスティックな議論には杜撰な議論が多い。しかしそれが俗耳に入りやすい形で展開されるから、大衆からは妙にもてはやされる」(330頁)。
まさに今、無責任な言葉が、週刊誌や新聞で飛び交っている。「従軍慰安婦」に関して、吉田清治証言が虚偽だったからといって、「従軍慰安婦」は何の問題もないのだというようにしたがっている者どもが、攻勢を強めている。ボクが言う「一点突破・全面否定」という荒唐無稽の論理である。
とくに『朝日新聞』で、「従軍慰安婦」の記事を署名入りで書いた北星学園の教員が、そうしたナショナリスティックな攻撃にさらされている。まさに民主主義の危機であり、同時にボクは、そのあり方を過去の歴史で学んでいる。その後に、戦争の時代がやってきている。
北海道札幌市内の北星学園大学は、ある非常勤講師を辞めさせろとのメールや手紙、電話、街頭宣伝などで脅迫されています。
その非常勤講師は元朝日新聞記者の植村隆さん。戦後長い間沈黙してきた、元日本軍従軍慰安婦当事者の体験談を報じた記者です。植村さんは今春、神戸松蔭女子学院大学教授への就任を予定していましたが、大手週刊誌の記事をきっかけにした電話やメールの執拗な攻撃によって、辞退を余儀なくされました。
そして今、攻撃の矛先はかねて非常勤講師をしている北星学園大学へと向けられています。爆破予告や相次ぐ嫌がらせなどの脅迫によって、大学はその対応に疲弊し、植村さんの雇用継続を躊躇する動きも出てきているのです。
学内には「大学の自治、学問の自由を守れ」、「植村氏を辞めさせるな」という声もありますが、判断がどうなるのか、まったく分かりません。
万が一、植村さんの雇用が継続されないという事態になれば、ネット暴力はますます勢いを増すことでしょう。嫌がらせや脅迫への恐怖は社会を萎縮させ、民主主義の中心的原則の一つである言論、報道、学問の自由を失う道へ進む一歩となりかねません。
脅迫に負けるな北星学園大学 学問、言論への暴力を許すな
「負けるな北星!の会」(略称マケルナ会)
北海道札幌市の私立北星学園大学に「非常勤講師の植村隆をやめさせなければ爆破する。学生を痛い目に遭わせる」という脅迫状が届いています。大量の嫌がらせ電話やメール、街頭宣伝も続いています。
植村さんは、元朝日新聞記者で1991年、韓国の元日本軍慰安婦がつらい体験を告白した記事を書きました。一部の人たちは慰安婦問題の「火付け役」と批判しています。しかし、爆破予告は脅迫です。業務妨害です。
植村さんの高校生の長女は氏名、写真をネットでさらされ「自殺に追い込む」と脅されています。長男の高校の同窓生は、人違いでネットに写真と実名を載せられ「売国奴のガキ」「自殺しろ」と書かれました。ひどい人権侵害です。
植村さんの講座は留学生対象の「国際交流」で、慰安婦問題ではありません。学生が何を学ぶか、大学が誰を講師に何を教えるかは、学問の自由です。
こうした問題を放置することは、戦後日本が築いてきた自由にものが言える社会、議論でものごとを決めていく民主主義を破壊することです。
恐怖は連鎖します。今、暴力に屈したら、学問の世界だけでなく、社会のあらゆる分野で第二、第三の被害を生みます。今日起きている暴力に目を閉ざすことは、明日の暴力を認めることです。
日本の民主主義は正念場を迎えています。北星学園大学を孤立させてはいけません。大学を攻撃する卑劣な人たちにみんなで、告げましょう。
まさに今、無責任な言葉が、週刊誌や新聞で飛び交っている。「従軍慰安婦」に関して、吉田清治証言が虚偽だったからといって、「従軍慰安婦」は何の問題もないのだというようにしたがっている者どもが、攻勢を強めている。ボクが言う「一点突破・全面否定」という荒唐無稽の論理である。
とくに『朝日新聞』で、「従軍慰安婦」の記事を署名入りで書いた北星学園の教員が、そうしたナショナリスティックな攻撃にさらされている。まさに民主主義の危機であり、同時にボクは、そのあり方を過去の歴史で学んでいる。その後に、戦争の時代がやってきている。
北海道札幌市内の北星学園大学は、ある非常勤講師を辞めさせろとのメールや手紙、電話、街頭宣伝などで脅迫されています。
その非常勤講師は元朝日新聞記者の植村隆さん。戦後長い間沈黙してきた、元日本軍従軍慰安婦当事者の体験談を報じた記者です。植村さんは今春、神戸松蔭女子学院大学教授への就任を予定していましたが、大手週刊誌の記事をきっかけにした電話やメールの執拗な攻撃によって、辞退を余儀なくされました。
そして今、攻撃の矛先はかねて非常勤講師をしている北星学園大学へと向けられています。爆破予告や相次ぐ嫌がらせなどの脅迫によって、大学はその対応に疲弊し、植村さんの雇用継続を躊躇する動きも出てきているのです。
学内には「大学の自治、学問の自由を守れ」、「植村氏を辞めさせるな」という声もありますが、判断がどうなるのか、まったく分かりません。
万が一、植村さんの雇用が継続されないという事態になれば、ネット暴力はますます勢いを増すことでしょう。嫌がらせや脅迫への恐怖は社会を萎縮させ、民主主義の中心的原則の一つである言論、報道、学問の自由を失う道へ進む一歩となりかねません。
脅迫に負けるな北星学園大学 学問、言論への暴力を許すな
「負けるな北星!の会」(略称マケルナ会)
北海道札幌市の私立北星学園大学に「非常勤講師の植村隆をやめさせなければ爆破する。学生を痛い目に遭わせる」という脅迫状が届いています。大量の嫌がらせ電話やメール、街頭宣伝も続いています。
植村さんは、元朝日新聞記者で1991年、韓国の元日本軍慰安婦がつらい体験を告白した記事を書きました。一部の人たちは慰安婦問題の「火付け役」と批判しています。しかし、爆破予告は脅迫です。業務妨害です。
植村さんの高校生の長女は氏名、写真をネットでさらされ「自殺に追い込む」と脅されています。長男の高校の同窓生は、人違いでネットに写真と実名を載せられ「売国奴のガキ」「自殺しろ」と書かれました。ひどい人権侵害です。
植村さんの講座は留学生対象の「国際交流」で、慰安婦問題ではありません。学生が何を学ぶか、大学が誰を講師に何を教えるかは、学問の自由です。
こうした問題を放置することは、戦後日本が築いてきた自由にものが言える社会、議論でものごとを決めていく民主主義を破壊することです。
恐怖は連鎖します。今、暴力に屈したら、学問の世界だけでなく、社会のあらゆる分野で第二、第三の被害を生みます。今日起きている暴力に目を閉ざすことは、明日の暴力を認めることです。
日本の民主主義は正念場を迎えています。北星学園大学を孤立させてはいけません。大学を攻撃する卑劣な人たちにみんなで、告げましょう。