浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「暴力」が力を持つ時代

2014-10-31 17:44:22 | 社会
 1930年代は、「戦争」へと進んで行く時代であった。そこでは、様々な暴力が力を持っていた。文字通りの暴力やテロだけではなく、言葉による暴力が様々な事態を引き起こしていた。学者は職を追われ、新聞は暴力にあわないように自粛を始め、人々は問題になりそうな発言を控えるようになった。

 そういう時代が、再び姿を現し始めた。以下は「共同」配信記事。

元朝日記者の講師契約打ち切りか 脅迫事件の北星学園大

(10/31 07:30、10/31 07:56 更新)

 札幌市厚別区の北星学園大に、元朝日新聞記者の非常勤講師の解雇を要求する脅迫状などが届いている問題で、教職員らで30日に結成した「大学の自治と学問の自由を考える北星有志の会」は、同大が来春、この講師との契約を更新しない方向で検討に入ったことを明らかにした。

 有志の会によると、田村信一学長が29日、学内の会議で初めて表明した。講師を雇用し続けるには、人的、財政的な負担が大きすぎ、来年度の入試も不安、との理由を挙げたという。学長は11月5日に予定している評議会に諮問し、理事会の意見を聞いた上で、学長として最終的に判断するとの考えを示したという。

 この講師は2012年からこれまで、1年ごとの契約を2回更新している。同大は北海道新聞の取材に、「内部の会議での話なので、内容は答えられない。(講師の契約については)学内手続きにのっとって進める」と話した。

 大学関係者によると、北星大は脅しの電話、メールに対応する職員や警備員を雇ったため、1500万円前後かかった。爆破予告により、授業や入試が妨害されることも心配している。

 攻撃されている非常勤講師は1991年、朝日新聞に韓国の元慰安婦の証言を韓国紙に先駆けて報じた。
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「そんなにひどいことはしないだろう」という予測

2014-10-31 15:59:54 | 政治
 多くの日本人は、誰が総理大臣になっても「そんなにひどいことはしないだろう」と思っているようだ。
 しかし、そういう安易な考え方は捨てるべき時が来ている。

 まず『東京新聞』の記事。

景気悪循環 鮮明 雇用悪化 しぼむ家計

2014年10月31日 夕刊

 景気回復の遅れが鮮明になってきた。政府が三十一日、発表した有効求人倍率(季節調整値)が三年四カ月ぶりに悪化したほか、完全失業率も上昇。物価上昇も続き、一世帯当たりの消費支出も大きく減った。物価上昇に賃上げが追いつかない中、消費が抑制される悪循環が強まる。安倍政権は十二月に消費税再増税するかが、厳しい判断を迫られそうだ。 

 厚生労働省が三十一日発表した九月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比〇・〇一ポイント低下の一・〇九倍で、三年四カ月ぶりに悪化した。

 総務省が三十一日発表した九月の完全失業率(季節調整値)も二カ月ぶりに悪化し、前月比0・1ポイント上昇の3・6%だった。

 これまで景気回復を背景に求人倍率は改善を続けてきたが、消費の落ち込みで採用意欲に陰りが出てきた可能性がある。

 厚労省によると、九月の新規求人状況を産業別にみると、労働者派遣業が前年同月比で約五千八百人減少した。製造や小売り、サービスなど幅広い産業に労働者を送り出している派遣業は、雇用情勢のバロメーターの一つ。

 総務省によると、失業率が悪化したのは、新たに職探しを始めたものの仕事が見つからない人が増えたためという。

 ◇ 

 総務省が三十一日発表した九月の二人以上世帯の家計調査によると、一世帯当たりの消費支出は二十七万五千二百二十六円で、物価変動を除いた実質で前年同月比5・6%減。消費税率が8%に引き上げられた四月以降、六カ月連続のマイナス。減少幅は八月(4・7%減)から拡大した。

 外食を含む「食料」や、電気代や上下水道料の「光熱・水道」など、幅広い分野で減少した。一方、自動車購入や自動車整備費の「交通・通信」は増加した。

 自営業などを除いたサラリーマン世帯の消費支出は7・3%減の三十万三千六百十四円で、六カ月連続で減少した。


 そして「日経」の速報を見ると、日銀はさらなる金融緩和を行うという。

日銀は31日に開いた金融政策決定会合で、追加金融緩和を賛成多数で決めた。年60兆~70兆円のペースで増やすとしていたマネタリーベース(資金供給量)を、約80兆円まで拡大する。中長期国債の買い入れペースを年約80兆円と、現状の約50兆円から約30兆円増やし、平均残存期間もこれまでの7年程度から、今回7~10年程度に最大3年程度延長することを決めた。

 すると、円安がもっと進んだ。

円急落、一時111円台 相場師「黒田総裁」本領発揮
2014/10/31 14:58
 31日の東京外国為替市場で円相場は急落した。一時1ドル=111円02銭近辺と、2008年1月2日以来、約6年10カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。


 ということは、石油(国際価格は下がってはいるが、その下落が国民生活に反映されないことになる)や天然ガス、食料など輸入価格が上昇することは明らかだ。国民生活や中小企業にはマイナスである。

 他方、株価が上昇した。『朝日新聞』の記事。


日経平均終値、7年ぶり高値 追加緩和受け755円上げ

2014年10月31日15時15分

 31日の東京株式市場は、日本銀行が追加の金融緩和を決めたことで、日経平均株価が大幅に値上がりした。終値は、前日より755円56銭(4・83%)高い1万6413円76銭で、2007年11月2日以来、7年ぶりの高値をつけた。上げ幅は今年最大だった。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は、54・74ポイント(4・28%)高い1333・64。出来高は40億1千万株。


株価をあげることばかり考えている。そのために、安定的な運用をしなければならない公的年金の株投資を増加しようとしている。きわめて危険な政策運用をしている。

公的年金運用、国内債券35%に下げ 日本株25%
2014/10/31 2:00
約130兆円の公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日にも、新しい運用比率の目安を発表する。現金など短期資産を除く運用資産のうち、国内債券を現行の約6割から中長期的に35%に下げる一方、国内株式を25%に上げる見通しだ。海外株式も積み増して、株式と債券との割合を半分ずつにする。市場の動向をにらみながら日本国債に偏った運用を改め、利回りを高める。


 近視眼的な、短期的な、しっかりと日本経済の状況を踏まえない経済政策がどういう結果を招くか、そういう事態が起きたときに人々は驚く。しかしいつものように誰も責任をとらない。黒田日銀総裁も、である。

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原発事故への想像力

2014-10-31 07:07:02 | その他
 福島で原発事故が起き、放射能が今も大量に漏れ出ている。すでに原発事故はいかなるものか、その実例を知っている。しかし、目の前にぶらさがったカネは、眼を曇らせる。再稼働へ向けて、国家も電力会社も邁進する。

 ボクは、福島の原発事故の収拾、溶けてしまった核燃料の取り出しは、30~40年で終わるとは考えられない。政府や東電は、「何もなかった」ことにしたいのだろう。罪深い国家である、つくづく日本という国家は。

核燃料取り出し遅れ 東電追認 実体なき「廃炉工程」鮮明

2014年10月31日 06時57分


 東京電力福島第一原発の廃炉をめぐり、東電は30日、早ければ2017年度前半にも始める予定だった1号機プールからの使用済み核燃料取り出しを、2年遅れの19年度に見直すことを明らかにした。原子炉内に溶け落ちた核燃料の取り出しも、早ければ20年度前半に始めるとしていたが、5年遅れの25年度開始に見直す。

 計画を前倒しにすることはあったが、遅らせるケースは初めて。

 原因の一つは、原子炉建屋を覆うカバーの解体作業が当初の計画より半年以上遅れているため。当初は既存のカバーを改造して使用済み核燃料を取り出す計画だったのを、カバーを撤去し、専用の骨組みを建屋上部に新設するよう変更したことも大きい。さらに、溶けた核燃料の取り出しに向けては、使用済み核燃料の取り出し用に造った骨組みを撤去し、別の専用の骨組みを設置し直すためという。

 東電の廃炉担当者は「デブリ(溶融した核燃料)の状況がよく分からない中、デブリの取り出し設備を設置するのは困難。手戻り(作業のやり直し)につながる。それぞれ専用の設備を造ると、当面は遅れるが、着実に作業を進められる」と強調した。

 三十~四十年間で廃炉を実現する方針は変わらないという。

◆日程偏重で現場しわ寄せ

 東京電力が、初めて時期の遅れを認める形で福島第一原発の廃炉工程を見直す。これまで工程表通りに作業を急げ急げの号令ばかりで、現場は違法な長時間労働をはじめ苦しめられてきた。「廃炉まで三十~四十年」の宣言にこだわらず、現実に合わせた見直しは当然といえる。

 実際のところ、廃炉への具体的な道筋は見えていない。炉がどう壊れ、溶けた核燃料はどんな状況なのかも分かっていない。

 特に溶けた核燃料の取り出しには、格納容器ごと水没させ、強烈な放射線を遮ることが不可欠だが、注水した冷却水は漏れ続けている。容器の補修のためロボットを使った調査が続けられているが、漏れ場所は特定できていない。取り出しの工法も決まっていない。

 国と東電が公表している工程表は、あたかも時期が来れば作業が進むような印象を与えるが、実際に根拠がある部分は少ない。検討中のものがほとんどだ。

 それにもかかわらず、現場には工程表通りにやることを最優先するよう指示が飛ぶ。福島第一の作業員の一人は「現場には、一日も工程から遅れるなと強いプレッシャーがかけられている。福島第一は初めての作業が多く、悪天候で遅れることも多い。工程を守れと言われても、現場が苦しくなるだけ」と訴えた。

 そんな現場の苦労にもかかわらず、三十日の国と東電の工程表をめぐる会合では、せっかく現実に合わせた見直しをしたのに、前倒しをするよう国側から注文がついた。(原発取材班)

(東京新聞)


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