浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

太陽

2015-07-31 23:37:18 | 日記
 今日は静岡に車で行った。帰途、西の空に浮かぶ太陽を見ながら西進した。海からのしめった空気が流れてきていたためか、太陽からの強い光線が消され、太陽だけが薄曇りの空に浮かんでいた。その太陽の色は、橙とピンクの混ざったようで、左上が雲で消されていた。

 この太陽は見覚えがあった。香月泰男の、シベリア抑留のことを描いた絵の太陽。

 もちろん香月の絵にみられる空の色と同じではない。数年前、沼津の海岸で、少し暗くなった夕方、海と空の境界線がなくなったあのときの色、そのなかに香月の描く太陽が浮かんでいた。

 
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「戦後70年」

2015-07-31 23:14:31 | 読書
 今月号の『現代思想』の特集は、「戦後70年」である。『現代思想』は特集によって買わないこともあるが、ほとんど購入し、頭の体操と挑発的な記述によりみずからの問題意識を鮮明化するために読んでいる。

 樋口陽一氏と杉田敦氏の対談は、なかなか啓発的で、現時点で考えなければならない「憲法の前提」に関する「知」をもたらしてくれる。樋口氏は「立憲主義」に関する論考をかなり以前から発表されていたが、その「立憲主義」が今やきわめて重要な概念となっている。

 樋口氏の発言。

 立憲主義というのは権力の抑制で、軍事権力というのはその権力の最たるものですから、(18世紀のアメリカやフランスでも)軍事権力をどうするかが大きな問題として認識されていた

 ところが、安倍政権がだしてきた「参戦法案」であるが、国会の答弁を聞いていても、軍事権力をどのように抑制しながら行使するのか、それがまったく語られない、逆に安倍政権は軍事権力にフリーハンドを与えるような発言をしている。安倍政権の行っていることは、あらゆる意味で立憲主義の無視としかいいようがない。

 杉田氏は、この討論の最後にこう語っている。

立憲主義の重要性や人権の意義といった基本的な前提を共有していない人びととは、憲法改正をともに語ることはできない。

 残念ながら、歴史学においても、「基本的な前提」をまったくもたないままでの罵詈雑言がネットを中心に飛び交っている。

 学問の軽視、知に対する蔑視。安倍政権の大学政策にもそれは現れているし、育鵬社の教科書にもそれがある。
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これがアメリカという国家だ

2015-07-31 21:22:45 | 政治
 アメリカという国家の歴史は、独善的であること、これ一筋である。国益のためには、何でもやる、それがアメリカなのだ。NHKの報道。


ウィキリークス「米機関 日本政府など盗聴」
7月31日 19時17分


内部告発サイト「ウィキリークス」はアメリカの情報機関NSA=国家安全保障局が2006年の第1次安倍政権のころから日本政府や日本企業を対象に盗聴を行っていたと発表しました。

これは各国政府の内部文書などをインターネット上で公表しているウィキリークスが日本時間の31日夕方、ホームページで発表したものです。
この中でウィキリークスはアメリカの情報機関NSA=国家安全保障局が少なくとも2006年の第1次安倍政権のころから日本政府や日本企業を対象に盗聴していたとしています。
そのうえで盗聴の対象にされていたとする35の電話番号のリストを一部を伏せた状態で掲載し、内閣官房や日本銀行、財務省、経済産業大臣、三菱商事や三井物産の天然資源関係の部門などの番号だとしています。
さらにホームページには盗聴の結果を基にNSAがまとめたとされる日米の通商交渉や日本の地球温暖化対策に関する報告書が公表されています。
こうした報告書の中にはイギリスやオーストラリアなどに提供されたものもあったとしていて、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ代表は「日本への教訓は世界を監視する超大国が礼節や敬意をもってふるまってくれるとは期待するなということだ」とコメントしています。
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米政府の極秘報告書も公開

ウィキリークスは、アメリカ政府が盗聴の結果をもとに作成したとする5つの報告書をホームページ上に公開しました。
このうち、NSA=国家安全保障局が2009年にまとめたとする極秘扱いの報告書では、日本政府が農薬を噴射するくん蒸処理をしていないアメリカ産さくらんぼの輸入解禁日を延期したことで、日米関係に悪影響が及ぶのを防ごうと、日本側が苦心した様子を伝えています。
具体的には、日本の農林水産省が日本国内の政治的な圧力で解禁日を延期せざるを得なかったことをアメリカ側に認めてもらうことなどを検討していたとしていて、「日本政府はこの問題が政府高官レベルで政治問題化することをもっとも恐れている」と報告しています。
また、2007年にまとめたとされる別の報告書では、安倍総理大臣の2007年4月の訪米に際し、日本政府は地球温暖化対策を巡りアメリカ側に何らかのメッセージを示したかった反面、外務省は温室効果ガスの排出量を2050年までに当時の半分に削減させたいとする数値目標については、アメリカに伝えない方向で検討を進めていたと報告しています。
その理由について、「外務省はそれまでのアメリカ政府の気候変動に対する反応から、日本の目標は認めてもらえないと判断している」と記しています。
ウィキリークスはいずれの報告書からも、日本政府はアメリカ政府の反応を気にかけながらアメリカ側に伝達すべき内容を検討していたことがうかがえるとしています。また、報告書の中には互いに諜報活動を行わないという取り決めを結んでいる「ファイブ・アイズ」と呼ばれるイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの4か国に提供されたものもあったとしています。
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アベの野望

2015-07-31 07:45:36 | 政治
 最近、必要があって、日米安保条約の締結や岸による1960年の安保改定について調べているが、今安倍政権がやろうとしていることは、岸信介がやり得なかったこと、岸が教訓として遺したことをふまえて、それを実現しようとしているのではないかと思うようになった。いわば、岸の亡霊がアベに乗り移ったかたちだ。

 たとえば、今回は逆になるが、アベはアメリカに行って「参戦法案」の今夏の実現をアメリカに約束してきた。岸は、1960年6月19日に予定されていたアイゼンハワー大統領の訪日に、安保条約改定のおみやげをあげようとして5月19日に強行採決に及んだ。いずれも、日本国民にではなく、アメリカに向けた政治を行っている。これは今までの日本の権力者と共通するところであるが、しかし、今度のアベのやっていることは、安保条約をも実質的に改定する内容である。そしてその内容は、岸が望んだことでもある。

 しかし忘れてはならないことは、アベによって「戦後レジーム」として悪の象徴にされている日本国憲法だけではなく、日米安全保障条約も、占領下に締結されたことなのだ。自衛隊の前身である警察予備隊も然り。日本が形式的に「独立」した1952年4月28日以前に、これらは存在しているのである。

 いま私たちに要請されていることは、「戦後史」を読み直すということである。なぜなら日本の「属国」化が今度の「参戦法案」やTPPで完成するのであるが、日本の支配層はそのことによってアメリカとの関係が「やっと対等になった」と考えているフシがあるからだ。

 そうした支配層のなかに流れている思想をえぐり出すことが求められている。

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