今月号の『世界』の特集は、「旗印なき解散・総選挙」。その巻頭に山口二郎氏の論文がある。私はこの学者に対して、「政治改革」という名の小選挙区制度導入の時に旗振り役であったことを思い出すと、不信感を抱かざるを得ない。
政治権力や政治家から声がかかると、いそいそとはせ参じて行くという、そういう姿が、この「忘却の政治ではなく、理想を追求する政治を」という論文にもある。
山口氏は声をかけられると、かけてくれた人々に親近感を持ち、その人たちを「良きもの」として見たいという気持を持つようだ。社会科学者にとってそれはどうかと思うが、それもわからないではない。が、民主党を「中道左派政権」とみようとする姿勢には疑問を抱く。もちろん民主党の中の「中道左派」という書き方をしているから、民主党自体のすべてをそうみているわけではなかろうが、しかしその「中道左派」と呼ばれる人びとはほとんど民主党をでていったのではないか。またそれらしい政策で実際におこなわれたのは、高等学校授業料の無料化くらいだろう。
山口氏は、今回の選挙で自民党などが勝利することを予想している。「選挙後の政権の枠組みは、自民、公明による保守中道連立の復活と自民と維新の会の右翼連立という二つのシナリオが考えられる。最悪の場合、自民と維新の右翼連合が、野党時代の鬱憤を晴らすがごとく、戦後民主主義に対して乱暴狼藉の限りを尽くすということも覚悟しておかなければならない」と書いているからだ。
そこで山口氏は、「何より必要なのは、希望を棄てないことである」を繰り返す。おそらくこれは自分自身に語っているのだろう。希望を持てないような結果が予想されるから、よけいに自分自身を励まそうとしているかのようだ。
だがたとえ山口氏が予想するとおりになっても、彼らは議席数と同じくらいの得票率はとれない。小選挙区制は、民意を切り捨てることによって雪崩のような変化を引き起こす。一選挙区に独りしか当選者がでないということは、それ以外の民意を完全に無視することになる。
まさに山口氏の予想は、小選挙区制というもっとも悪質な選挙制度の結果として出現するのだ。その悪質な制度を導入したひとりは、山口氏である。
山口くん、この責任をどう考えるのだね・・と尋ねたくなる。
山口氏はさらに予想し、選挙民に行動を促す。
「今回の総選挙の意義は、野田、前原など民主党の保守化を推進した第二世代の指導者に退場を迫ることにあるのだろう。そして、社会正義に基礎を置くエネルギー政策や社会保障政策を柱に、中道左派勢力を集めることが選挙後の課題となる。民主党が大敗しても、そのような作業を担える第三世代の政治家が生き残れば、右派連合の政治に対抗し、これを転換することは可能になる。民主党再生の鍵となる政治家を選別し、彼ら、彼女らを支援することが市民にできる戦い方の一つである」と。
山口氏は、民主党がとにかく好きなのである。「民主党再生」にまだ期待を持っているからだ。民主党は、山口氏に声をかけてくれるからでもある。
おそらくこの論文を執筆する時点では、日本未来の党はできていなかったのだろう。しかし「国民の生活が第一」や社民党などは存在している。山口氏は、これらの党には言及しない。「中道左派」ということばからすれば、少しは言及してもよいだろう。でもしない。おそらく声がかからなかったから、無視したのだろう。
「民主党再生」は、おそらく、ない。山内氏が期待する「中道左派」は、ほとんど民主党内にはいない。私の選挙区の民主党は、自民党から出馬できなかったので民主党からでた、という者がほとんどだ。そういう輩は民主党内に残っている。
『世界』が山口二郎氏ではなく、ほかの政治学者に書かせるようになれば、もっと正鵠を得た政治分析ができるだろう。
今月号のこの「特集」は、選挙前であるのに、民主党議員へのインタビューが多い。
私は、『世界』の立ち位置に疑問を持った。
政治権力や政治家から声がかかると、いそいそとはせ参じて行くという、そういう姿が、この「忘却の政治ではなく、理想を追求する政治を」という論文にもある。
山口氏は声をかけられると、かけてくれた人々に親近感を持ち、その人たちを「良きもの」として見たいという気持を持つようだ。社会科学者にとってそれはどうかと思うが、それもわからないではない。が、民主党を「中道左派政権」とみようとする姿勢には疑問を抱く。もちろん民主党の中の「中道左派」という書き方をしているから、民主党自体のすべてをそうみているわけではなかろうが、しかしその「中道左派」と呼ばれる人びとはほとんど民主党をでていったのではないか。またそれらしい政策で実際におこなわれたのは、高等学校授業料の無料化くらいだろう。
山口氏は、今回の選挙で自民党などが勝利することを予想している。「選挙後の政権の枠組みは、自民、公明による保守中道連立の復活と自民と維新の会の右翼連立という二つのシナリオが考えられる。最悪の場合、自民と維新の右翼連合が、野党時代の鬱憤を晴らすがごとく、戦後民主主義に対して乱暴狼藉の限りを尽くすということも覚悟しておかなければならない」と書いているからだ。
そこで山口氏は、「何より必要なのは、希望を棄てないことである」を繰り返す。おそらくこれは自分自身に語っているのだろう。希望を持てないような結果が予想されるから、よけいに自分自身を励まそうとしているかのようだ。
だがたとえ山口氏が予想するとおりになっても、彼らは議席数と同じくらいの得票率はとれない。小選挙区制は、民意を切り捨てることによって雪崩のような変化を引き起こす。一選挙区に独りしか当選者がでないということは、それ以外の民意を完全に無視することになる。
まさに山口氏の予想は、小選挙区制というもっとも悪質な選挙制度の結果として出現するのだ。その悪質な制度を導入したひとりは、山口氏である。
山口くん、この責任をどう考えるのだね・・と尋ねたくなる。
山口氏はさらに予想し、選挙民に行動を促す。
「今回の総選挙の意義は、野田、前原など民主党の保守化を推進した第二世代の指導者に退場を迫ることにあるのだろう。そして、社会正義に基礎を置くエネルギー政策や社会保障政策を柱に、中道左派勢力を集めることが選挙後の課題となる。民主党が大敗しても、そのような作業を担える第三世代の政治家が生き残れば、右派連合の政治に対抗し、これを転換することは可能になる。民主党再生の鍵となる政治家を選別し、彼ら、彼女らを支援することが市民にできる戦い方の一つである」と。
山口氏は、民主党がとにかく好きなのである。「民主党再生」にまだ期待を持っているからだ。民主党は、山口氏に声をかけてくれるからでもある。
おそらくこの論文を執筆する時点では、日本未来の党はできていなかったのだろう。しかし「国民の生活が第一」や社民党などは存在している。山口氏は、これらの党には言及しない。「中道左派」ということばからすれば、少しは言及してもよいだろう。でもしない。おそらく声がかからなかったから、無視したのだろう。
「民主党再生」は、おそらく、ない。山内氏が期待する「中道左派」は、ほとんど民主党内にはいない。私の選挙区の民主党は、自民党から出馬できなかったので民主党からでた、という者がほとんどだ。そういう輩は民主党内に残っている。
『世界』が山口二郎氏ではなく、ほかの政治学者に書かせるようになれば、もっと正鵠を得た政治分析ができるだろう。
今月号のこの「特集」は、選挙前であるのに、民主党議員へのインタビューが多い。
私は、『世界』の立ち位置に疑問を持った。
昔、といっても15年ほど前までは、メディア関係者にも勉強家がいた。しかし今は、ほとんどいない。本を読まないし、取材対象に関わることをいろいろ調べて書くということがない。
以前、取材対象に関して驚くべき資料を集めて分析し、書いていた朝日新聞の記者は、退社して今は学者になっている。
領土問題についても、理性的な学問的な裏付けを持ち、決して感情的でないような議論は、新聞やテレビからも出てこない。どちらかというと、扇情的な取り上げ方になっている。
さて、12月号の『UP』という雑誌、東京大学出版会のPR誌であるが、これがなかなかいい。
まず中国研究者の毛里和子氏による「尖閣の衝突と現代中国研究」である。中国を研究するためには、中国人研究者との共同作業が必要であるから、日中の対立は学問研究の発展においても阻害要因になる。したがって、尖閣をめぐって、あのような対立がおきることを望まない立場から、この問題について、毛里氏がいくつか論じている。
ひとつは「愛国無罪」は間違っているということ。その通りである。「愛国」を理由としたものであっても、日本商店などへの暴力は当然「有罪」であるということだ。中国は、きちんと取り締まるべきなのである。
第二は「どちらがより悪いか」であるが、毛里氏は「衝突のきっかけは日本が作ったようである」とする。これも同意する。石原のパフォーマンス的な行動が、現在の「尖閣」をめぐる対立に「加油」したのである。石原の責任はきわめて大である。
毛里氏は、しかし中国側の「反撃」は「過剰である」とする。その背景には、2006年頃から変わり始めた中国の政策があり、「日本による「国有化」は「渡りに船」のチャンスだった」とする見方を指摘している。石原のパフォーマンスに始まる一連の動きは「利用」されたということになる。
第三は、第二の点、「2006年頃」からの中国の変化があることをもう一度別の角度から指摘している。
第四は、「反日」が「負の連鎖」を引き起こしているという指摘である。中国の行動が、まさに「日本の保守化と軍事化をもたらす」、さらに日本の「核武装」にもつながることを指摘している。「中国と友好的に」なりたいと考える日本を「反中国」へ、「軍事化」へ押しやっている、というのだ。
結果的にそうなるだろうが、しかし中国はそういうことまで考えて強硬な姿勢を示しているのだろうと、ボクは思う。外交は、日本国内の研究者の意向を、おそらく忖度しないだろう。
毛里氏らが刊行した『中国問題』(東大出版会)を読んで、勉強したいと思う。
次に須藤靖氏の「不ケータイという不見識」はとても面白い。ゲラゲラ笑いながら読んだ。須藤氏は断固とした「不ケータイ」派のようだが、ボクはケータイをもっている。ボクがもつきっかけは、戦後補償裁判を起こした時、弁護士と連絡をとるためであった。
また加藤陽子氏の「イギリスとイギリス人の存在感」も読み応えがある。『日英交流史』の4も読まなければ・・。
以前、取材対象に関して驚くべき資料を集めて分析し、書いていた朝日新聞の記者は、退社して今は学者になっている。
領土問題についても、理性的な学問的な裏付けを持ち、決して感情的でないような議論は、新聞やテレビからも出てこない。どちらかというと、扇情的な取り上げ方になっている。
さて、12月号の『UP』という雑誌、東京大学出版会のPR誌であるが、これがなかなかいい。
まず中国研究者の毛里和子氏による「尖閣の衝突と現代中国研究」である。中国を研究するためには、中国人研究者との共同作業が必要であるから、日中の対立は学問研究の発展においても阻害要因になる。したがって、尖閣をめぐって、あのような対立がおきることを望まない立場から、この問題について、毛里氏がいくつか論じている。
ひとつは「愛国無罪」は間違っているということ。その通りである。「愛国」を理由としたものであっても、日本商店などへの暴力は当然「有罪」であるということだ。中国は、きちんと取り締まるべきなのである。
第二は「どちらがより悪いか」であるが、毛里氏は「衝突のきっかけは日本が作ったようである」とする。これも同意する。石原のパフォーマンス的な行動が、現在の「尖閣」をめぐる対立に「加油」したのである。石原の責任はきわめて大である。
毛里氏は、しかし中国側の「反撃」は「過剰である」とする。その背景には、2006年頃から変わり始めた中国の政策があり、「日本による「国有化」は「渡りに船」のチャンスだった」とする見方を指摘している。石原のパフォーマンスに始まる一連の動きは「利用」されたということになる。
第三は、第二の点、「2006年頃」からの中国の変化があることをもう一度別の角度から指摘している。
第四は、「反日」が「負の連鎖」を引き起こしているという指摘である。中国の行動が、まさに「日本の保守化と軍事化をもたらす」、さらに日本の「核武装」にもつながることを指摘している。「中国と友好的に」なりたいと考える日本を「反中国」へ、「軍事化」へ押しやっている、というのだ。
結果的にそうなるだろうが、しかし中国はそういうことまで考えて強硬な姿勢を示しているのだろうと、ボクは思う。外交は、日本国内の研究者の意向を、おそらく忖度しないだろう。
毛里氏らが刊行した『中国問題』(東大出版会)を読んで、勉強したいと思う。
次に須藤靖氏の「不ケータイという不見識」はとても面白い。ゲラゲラ笑いながら読んだ。須藤氏は断固とした「不ケータイ」派のようだが、ボクはケータイをもっている。ボクがもつきっかけは、戦後補償裁判を起こした時、弁護士と連絡をとるためであった。
また加藤陽子氏の「イギリスとイギリス人の存在感」も読み応えがある。『日英交流史』の4も読まなければ・・。
「事実上のミサイル」って何?
北朝鮮が「事実上のミサイル」を打ち上げたという。それでマスメディアは、大騒ぎだ。嬉しくてたまらないようだ。特にNHK。
北朝鮮は、人工衛星打ち上げと言っているが、「人工衛星打ち上げ」と「事実上のミサイル」打ち上げとどう違うのだろうか。
日本でも、アメリカでも、ロシアでも、中国でも、人工衛星は打ち上げられる。打ち上げる時には、ミサイルのようなロケットで打ち上げるのだが、そのロケットは「事実上のミサイル」ではないのか。
アメリカは、衛星が軌道に到達したと報道している。以下は、「共同通信」の配信記事。
ミサイル「衛星周回」と北朝鮮 米韓、軌道進入を確認
北朝鮮の朝鮮中央通信は12日午後、事実上の長距離弾道ミサイル発射について、人工衛星「光明星3号」の打ち上げが完全に成功し「極軌道を周回している」と伝えた。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は「ミサイルの搭載物が軌道に到達したとみられる」との初期評価を発表した。
実際に衛星の軌道進入に成功したとすれば、北朝鮮が米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発能力を一定程度示したことを意味し、日米両国や韓国が分析を進めている。
韓国国防省報道官も12日、北朝鮮が発射したミサイルは1~3段目まで「正常に作動した」と判断していることを明らかにした。
北朝鮮は、食べるものもなく、国民が苦しんでいるという。にもかかわらず、こういう不要不急のものに多くの資金を投下していることそれ自体、非難されなければならない。
しかし日本でも、ホームレスや失業者がたくさんいても、不要なものに多くの金をつかっている。
どっちもどっち、だとボクは思う。北朝鮮と敵対関係にある日本も米国も、たくさんのミサイルを持っている。
北朝鮮が「事実上のミサイル」を打ち上げたという。それでマスメディアは、大騒ぎだ。嬉しくてたまらないようだ。特にNHK。
北朝鮮は、人工衛星打ち上げと言っているが、「人工衛星打ち上げ」と「事実上のミサイル」打ち上げとどう違うのだろうか。
日本でも、アメリカでも、ロシアでも、中国でも、人工衛星は打ち上げられる。打ち上げる時には、ミサイルのようなロケットで打ち上げるのだが、そのロケットは「事実上のミサイル」ではないのか。
アメリカは、衛星が軌道に到達したと報道している。以下は、「共同通信」の配信記事。
ミサイル「衛星周回」と北朝鮮 米韓、軌道進入を確認
北朝鮮の朝鮮中央通信は12日午後、事実上の長距離弾道ミサイル発射について、人工衛星「光明星3号」の打ち上げが完全に成功し「極軌道を周回している」と伝えた。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は「ミサイルの搭載物が軌道に到達したとみられる」との初期評価を発表した。
実際に衛星の軌道進入に成功したとすれば、北朝鮮が米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発能力を一定程度示したことを意味し、日米両国や韓国が分析を進めている。
韓国国防省報道官も12日、北朝鮮が発射したミサイルは1~3段目まで「正常に作動した」と判断していることを明らかにした。
北朝鮮は、食べるものもなく、国民が苦しんでいるという。にもかかわらず、こういう不要不急のものに多くの資金を投下していることそれ自体、非難されなければならない。
しかし日本でも、ホームレスや失業者がたくさんいても、不要なものに多くの金をつかっている。
どっちもどっち、だとボクは思う。北朝鮮と敵対関係にある日本も米国も、たくさんのミサイルを持っている。
瓦礫処理の問題で、環境省の役人や大阪府を論破した阪南大学教員下地真樹さんが、つまらないことで逮捕された。
国策を推進するうえで邪魔な人間を監獄に入れるということを行う国が、日本という国だ。
下地さんが論破する場面は下記。ただし、議論中に大きなヤジがなされるが、ボクはそういうのはあまり好きではない。
http://hibi-zakkan.net/archives/21064620.html
逮捕の詳細は、下記。
http://1tamachan.blog31.fc2.com/blog-entry-5458.html
日本という国は、けっして民主主義国家ではなく、こういう不法がまかり通る国なのだ。
国策を推進するうえで邪魔な人間を監獄に入れるということを行う国が、日本という国だ。
下地さんが論破する場面は下記。ただし、議論中に大きなヤジがなされるが、ボクはそういうのはあまり好きではない。
http://hibi-zakkan.net/archives/21064620.html
逮捕の詳細は、下記。
http://1tamachan.blog31.fc2.com/blog-entry-5458.html
日本という国は、けっして民主主義国家ではなく、こういう不法がまかり通る国なのだ。
大津でのいじめ事件の際、学校の管理職や教育委員会の記者会見を見ていて、教育職にある者とは思えないような官僚的な姿勢に驚いた人も多いだろう。
また彼らのいじめ事件の対応についても、もっと異なった対応もとれたのではないかなどと考えてしまう。
しかし、ボクは学校の管理職や教育委員会の人びとのあらわになった人間的資質に別に驚きもしない。
なぜか。管理職や教育委員会に入る人々は、決して教え方が上手いとか、人間的に良くできているとか、教養と識見に富むなどというようなところで評価されたわけではないからだ。
概して人脈と付け届けが管理職人事へとつながる。
教育界に力を持つ人と何らかのつながりがあり、さらにその人への付け届けをすると、管理職への途ができるのだ。
教え方がうまい、教養や知識がある、仕事を熱心にやっている、それだけでは決していわゆる「出世」はしない。もちろん、組合活動(といっても御用組合の場合は、一生懸命やれば「出世」する)なんかしてたら、決して「出世」なんかしない。
大津市の教育長の事件時の対応や人間的資質に疑問を持った人が多いようだが、まあ概してああいう人が「出世」していくのが教育界だ。
教育の世界は、決してきれいではないのだ。
いじめをなくしていく方法の一つは、教員が生徒の渦の中に入り込んで生徒の間に信頼関係をもつことだ。そうすると、いろいろな情報がはいってくるはずだ。大きな問題になる前に、事件を未然に防ぐことが可能になる。
研修だとか、教員を減らして非常勤ばかりを増やすなど、教員から時間的ゆとりを奪えば、生徒の渦の中に入っていくことすらできない。教員を増やして学校の中にゆとりをつくりだす。それがあると、いじめはたとえあっても、大きな問題にはならないだろう。
企業でも、正社員には長時間・過酷な仕事を押しつけて、非正規労働者には安い給与しか払わないで部分的な仕事しかさせないという状況があるが、学校でも同じことが行われている。
こういうところを改めない限り、前進はありえない。
また彼らのいじめ事件の対応についても、もっと異なった対応もとれたのではないかなどと考えてしまう。
しかし、ボクは学校の管理職や教育委員会の人びとのあらわになった人間的資質に別に驚きもしない。
なぜか。管理職や教育委員会に入る人々は、決して教え方が上手いとか、人間的に良くできているとか、教養と識見に富むなどというようなところで評価されたわけではないからだ。
概して人脈と付け届けが管理職人事へとつながる。
教育界に力を持つ人と何らかのつながりがあり、さらにその人への付け届けをすると、管理職への途ができるのだ。
教え方がうまい、教養や知識がある、仕事を熱心にやっている、それだけでは決していわゆる「出世」はしない。もちろん、組合活動(といっても御用組合の場合は、一生懸命やれば「出世」する)なんかしてたら、決して「出世」なんかしない。
大津市の教育長の事件時の対応や人間的資質に疑問を持った人が多いようだが、まあ概してああいう人が「出世」していくのが教育界だ。
教育の世界は、決してきれいではないのだ。
いじめをなくしていく方法の一つは、教員が生徒の渦の中に入り込んで生徒の間に信頼関係をもつことだ。そうすると、いろいろな情報がはいってくるはずだ。大きな問題になる前に、事件を未然に防ぐことが可能になる。
研修だとか、教員を減らして非常勤ばかりを増やすなど、教員から時間的ゆとりを奪えば、生徒の渦の中に入っていくことすらできない。教員を増やして学校の中にゆとりをつくりだす。それがあると、いじめはたとえあっても、大きな問題にはならないだろう。
企業でも、正社員には長時間・過酷な仕事を押しつけて、非正規労働者には安い給与しか払わないで部分的な仕事しかさせないという状況があるが、学校でも同じことが行われている。
こういうところを改めない限り、前進はありえない。
攻め込んでいく、といっても、石原は行かない。戦争というのものは、常に弱者や若者に犠牲が出る。命令する奴は、死なない。
以下は、『東京新聞』の記事。
石原氏 自民と協力し改憲 拉致問題「戦争する、で解決」
2012年12月11日 朝刊
日本維新の会の石原慎太郎代表は十日、東京都内での街頭演説で、衆院選後に自民党が政権に復帰した場合は、同党に協力して九条を含めた憲法改正を目指す考えを示した。「自民党が(衆院選で)過半数を取りそうだ。そうしたら憲法を変えよう。私たちも賛成する」と述べた。
石原氏は北朝鮮による日本人拉致問題に触れ「二百人以上の日本人が拉致され、殺された証拠があったのに、九条のせいで日本は強い姿勢で北朝鮮に臨むことができなかった。九条が自分たちの同胞を見殺しにした」と現行憲法を批判。「あんなモノがなければ(拉致被害者を)返してくれなかったら『戦争するぞ』『攻めていくぞ』という姿勢で同胞を取り戻せた」と述べた。
以下は、『東京新聞』の記事。
石原氏 自民と協力し改憲 拉致問題「戦争する、で解決」
2012年12月11日 朝刊
日本維新の会の石原慎太郎代表は十日、東京都内での街頭演説で、衆院選後に自民党が政権に復帰した場合は、同党に協力して九条を含めた憲法改正を目指す考えを示した。「自民党が(衆院選で)過半数を取りそうだ。そうしたら憲法を変えよう。私たちも賛成する」と述べた。
石原氏は北朝鮮による日本人拉致問題に触れ「二百人以上の日本人が拉致され、殺された証拠があったのに、九条のせいで日本は強い姿勢で北朝鮮に臨むことができなかった。九条が自分たちの同胞を見殺しにした」と現行憲法を批判。「あんなモノがなければ(拉致被害者を)返してくれなかったら『戦争するぞ』『攻めていくぞ』という姿勢で同胞を取り戻せた」と述べた。
日本の自衛隊について、自民党は「国防軍」などといっているが、ボクは、「自衛隊」に自主性はないと思っている。実際の指揮権は、米軍が掌握しているはずだ。
日本の自衛隊がこういう事情であるから、在日米軍の動きなんかも、日本政府には決定を後から知らせるだけ。
http://www.amakiblog.com/archives/2012/12/11/#002458
また、在日米軍は、不用意にも、日本人にアメリカ国内法を示して守らせようとした、最近の沖縄のことである。
もちろん日本政府は、それについて抗議をしない。身も心も、対米隷従だからだ。自民党などは、選挙公約でもっとベッタリしようとしているのだから驚く。
http://www.asaho.com/jpn/
日本の自衛隊がこういう事情であるから、在日米軍の動きなんかも、日本政府には決定を後から知らせるだけ。
http://www.amakiblog.com/archives/2012/12/11/#002458
また、在日米軍は、不用意にも、日本人にアメリカ国内法を示して守らせようとした、最近の沖縄のことである。
もちろん日本政府は、それについて抗議をしない。身も心も、対米隷従だからだ。自民党などは、選挙公約でもっとベッタリしようとしているのだから驚く。
http://www.asaho.com/jpn/
今日、『最高裁の罠』という本がでたそうだ。その内容は、小沢裁判についてである。小沢一郎氏は完全無罪になったが、そもそも検察が起訴できなかった件を、検察審査会が強引に起訴に持ち込んだものである。
そしてその検察審査会が、まったく闇の中。権力は、楯突く者、気に食わぬ者(この場合は小沢氏)に対して、こんなことまでするのか、というような仕打ちであった。そういう事件は、各所で現れている。
たとえば選挙ビラを配布している人がしばしば警察に逮捕されるが、逮捕される人は、決して自民党、公明党、民主党、「維新」関係者ではない。共産党など、権力にとって煙たい人たちの関係者ばかりだ。
小沢氏の事件はだれが仕組んだのか。その犯人を、最高裁だと断じた本がこれだ。
著者は、「一市民が斬る!」というブログを主宰している人だ。今まで政治にあまり関係しなかった人が、これはおかしい!と、主張している。
小沢氏の事件のおかしさの一部を、こう記している。
http://civilopinions.main.jp/2011/10/post_44.html
確かに検察審査会の平均年齢の公表は、二転三転し、きわめて怪しいものであった。それが詳しく検討されている。
著者は、選挙に行く前に、この本を読んで欲しいと言っている。少なくとも、著者のブログに酔って欲しい。
http://civilopinions.main.jp/
そしてその検察審査会が、まったく闇の中。権力は、楯突く者、気に食わぬ者(この場合は小沢氏)に対して、こんなことまでするのか、というような仕打ちであった。そういう事件は、各所で現れている。
たとえば選挙ビラを配布している人がしばしば警察に逮捕されるが、逮捕される人は、決して自民党、公明党、民主党、「維新」関係者ではない。共産党など、権力にとって煙たい人たちの関係者ばかりだ。
小沢氏の事件はだれが仕組んだのか。その犯人を、最高裁だと断じた本がこれだ。
著者は、「一市民が斬る!」というブログを主宰している人だ。今まで政治にあまり関係しなかった人が、これはおかしい!と、主張している。
小沢氏の事件のおかしさの一部を、こう記している。
http://civilopinions.main.jp/2011/10/post_44.html
確かに検察審査会の平均年齢の公表は、二転三転し、きわめて怪しいものであった。それが詳しく検討されている。
著者は、選挙に行く前に、この本を読んで欲しいと言っている。少なくとも、著者のブログに酔って欲しい。
http://civilopinions.main.jp/
欧米で、日本のことが記事になる回数が増えているという。最近は、日本の地位がどんどん下がり、どの統計を見ても日本は先進国のトップランナーではなくなっている。日本の地位が下がってきたのは、日本政府(自公政権)が新自由主義的政策を遂行する中であった。すなわち自公政権による格差拡大政策の中、多くの「中流」の所得が減り、国内需要がどんどん低下し、国民生活が苦しくなっていた時期であった。
それから日本の経済的な地位すら上昇することはなかった。その代わりに、経済面でも、政治面でも、中国への関心が増大した。
そんななか、石原老人が、日本の最大の貿易相手国であった中国を怒らせた。日本政府も、マスメディアの追い風に乗って、その怒りを増大させた。
日本が実効支配しているのだから、静かに支配し、逆に日本や中国、台湾の漁船のために避難用の港を、日本の主導権の下で協議しながら設置するなどのことをやれば、自然に日本の支配権も強化されたものを、あえて敵対関係にもっていく石原をはじめとした愚策の連鎖。
そういう勢力が、総選挙の結果権力を掌握すると、マスメディアは報道している。しかしそれを世界は心配している。そういう記事が、欧米で出ているというのだ。
以下の文章に、それが記されている。
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_560803?google_editors_picks=true
それから日本の経済的な地位すら上昇することはなかった。その代わりに、経済面でも、政治面でも、中国への関心が増大した。
そんななか、石原老人が、日本の最大の貿易相手国であった中国を怒らせた。日本政府も、マスメディアの追い風に乗って、その怒りを増大させた。
日本が実効支配しているのだから、静かに支配し、逆に日本や中国、台湾の漁船のために避難用の港を、日本の主導権の下で協議しながら設置するなどのことをやれば、自然に日本の支配権も強化されたものを、あえて敵対関係にもっていく石原をはじめとした愚策の連鎖。
そういう勢力が、総選挙の結果権力を掌握すると、マスメディアは報道している。しかしそれを世界は心配している。そういう記事が、欧米で出ているというのだ。
以下の文章に、それが記されている。
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_560803?google_editors_picks=true
どう変わるのか、「悪くなる」、その一言である。もし自民党や維新が勝利することがあったら、人類が築き上げてきた民主主義や平和主義は、どこかへ押しやられてしまう可能性がある。
その意味で、下記のブログは重要。
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2201.html
その意味で、下記のブログは重要。
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2201.html
自民党の総裁が安倍になったら、自民党内のリベラルな部分がそぎ落とされ、何と鎧がでてきた。まあ、勇ましいことを言うし、また非学問的、かつ非現実的な主張を次々と繰り広げる。
次のアドレスに行ってみよう。
http://togetter.com/li/419069
何と、自民党の西田昌司と片山さつきが、国民主権と基本的人権を否定しているという。特に京都の参議院議員である西田昌司がひどい。彼は、「今の憲法は憲法の資格さえない、主権は国民にはない日本が長年培った伝統と歴史に主権がある」というのだ。「伝統と歴史」がどうやって主権を行使するのか!
憲法の「け」の字も知らない、あるいは国家論の「こ」の字も知らない、この人、いったいどんな勉強をしてきたのか。京都府民もこういう人を当選させるのだから、東京、大阪、京都の都市に住む人びとの思考がわからん。
上記に記したアドレスの書き込みをじっくりと読んで欲しい。
次のアドレスに行ってみよう。
http://togetter.com/li/419069
何と、自民党の西田昌司と片山さつきが、国民主権と基本的人権を否定しているという。特に京都の参議院議員である西田昌司がひどい。彼は、「今の憲法は憲法の資格さえない、主権は国民にはない日本が長年培った伝統と歴史に主権がある」というのだ。「伝統と歴史」がどうやって主権を行使するのか!
憲法の「け」の字も知らない、あるいは国家論の「こ」の字も知らない、この人、いったいどんな勉強をしてきたのか。京都府民もこういう人を当選させるのだから、東京、大阪、京都の都市に住む人びとの思考がわからん。
上記に記したアドレスの書き込みをじっくりと読んで欲しい。
今日、創価学会の人が来た。公明党への投票依頼にきたのだ。もちろん断った。この人は、選挙の前になると、必ず顔を出す。それ以外の時には、全く会うことはない。創価学会の選挙活動は、いつも活発である。
さて、マスメディアでは、自民党の圧勝を予想している。確かに小選挙区制では、自民党、民主党のような大きな政党に有利になっている。前回の選挙では民主党が、その前の小泉郵政選挙では自民党が圧勝した。しかし、得票率などをみると、決して両党は圧勝するほどの票を得ていない。
小選挙区制度は、圧倒的に民意を踏みにじる選挙制度なのである。
しかし、残念ながら、選挙制度は変わらずに、小選挙区制のもとで投票しなければならない。そこで、有権者には、ぜひ理性的な判断をしてもらいたいと思う。
消費税増税の政党、原発を存続させる政党、TPPに参加する政党、みずからつくったマニフェストをまったく守らなかった政党には投票しないようにしよう。
また経済政策についても、よく考えよう。そのために、下記のブログを参考にして欲しい。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/
さて、マスメディアでは、自民党の圧勝を予想している。確かに小選挙区制では、自民党、民主党のような大きな政党に有利になっている。前回の選挙では民主党が、その前の小泉郵政選挙では自民党が圧勝した。しかし、得票率などをみると、決して両党は圧勝するほどの票を得ていない。
小選挙区制度は、圧倒的に民意を踏みにじる選挙制度なのである。
しかし、残念ながら、選挙制度は変わらずに、小選挙区制のもとで投票しなければならない。そこで、有権者には、ぜひ理性的な判断をしてもらいたいと思う。
消費税増税の政党、原発を存続させる政党、TPPに参加する政党、みずからつくったマニフェストをまったく守らなかった政党には投票しないようにしよう。
また経済政策についても、よく考えよう。そのために、下記のブログを参考にして欲しい。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/
今度の総選挙。自民党は、きわめて威勢のいい政策を訴えている。少し前なら政策化できないようなことをいう。たとえば「国防軍」の創設とか。また集団的自衛権で、米国と共に軍事行動を共にしようなどと。
米国隷従政策をいつまで続かせようとするのか。その政策により、沖縄は塗炭の苦しみを強いられている。沖縄のことは、今度の選挙ではあまり語られない。
集団的自衛権の問題は、日本国憲法の平和主義に関わる。平和主義をもし捨てるとなったら、アジア太平洋戦争中、日本軍が蛮行を働き、その被害をみずからの体内に刻んでいるアジア諸国の民が、一斉に不信の声を日本に向けてくるだろう。
経済的にも、政治的にも、そして地政学的にも、日本はアジアの一員であり、アジア諸地域と共にある。
威勢のいいことばに騙されてはなるまい。
今日の『東京新聞』社説。
週のはじめに考える 憲法改正のマジック 2012年12月9日
憲法で禁じた集団的自衛権の行使を法律によって可能にする、こんなからくりが国会で進みつつあります。実現すれば平和憲法はなし崩しになります。
十六日投開票の衆院選挙で集団的自衛権の行使容認を訴えているのは自民党、日本維新の会、国民新党など複数あります。
公約には掲げていないものの、野田佳彦首相が「見直す議論を詰めていきたい」と述べるなど民主党の中にも容認派はいるようです。尖閣諸島などの問題や国内の行き詰まった状況がナショナリズムを高めているのでしょうか。
◆集団的自衛権行使へ
集団的自衛権とは何なのか。あらためておさらいします。一九八一年、政府は答弁書で、集団的自衛権について「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利」と定義したうえで、「わが国が主権国家である以上、集団的自衛権を有しているが、憲法九条で許容される必要最小限の範囲を超え、行使は許されない」としています。
政府見解は定着しており、憲法改正を経なければ、集団的自衛権行使は認められないはずですが、「国家安全保障基本法」の制定によって行使が可能になるとの見方が政党間で急浮上しています。
例えば、自民党は七月の総務会で国家安全保障基本法の制定を決めました。まだ法案の概要しかありませんが、次に政務調査会が詳細な中身を定めていきます。
法案の概要をみると、第一○条「国連憲章に定められた自衛権の行使」は、国連憲章五一条の規定を根拠に集団的自衛権の行使を認めています。第一一条「国連憲章上の安全保障措置への参加」は、国連安保理決議があれば、海外における武力行使を認める内容となっています。
◆憲法解釈変える法律
どちらも憲法九条の解釈に明らかに反します。憲法違反の法案は国会提出さえできないのでは、そんな疑問が浮かびます。
一面はその通りです。行政府の中央省庁が法案をつくる内閣立法なら、憲法との関係を審査する内閣法制局の段階でストップがかかり、国会提出には至りません。
国会議員が法案をつくる議員立法となれば話は別です。衆院、参院それぞれの法制局が審査して意見を述べますが、提出を決めるのは立法権のある国会議員。国会で法案を説明するのは提出議員のため、答弁に窮するような問題のある法案が提出に至ることはまずないのですが、前例があります。
二〇一〇年五月、中谷元・元防衛庁長官ら五人の議員が「国際平和協力法案」を衆院に提出しました。先月の衆院解散により審議未了で廃案となりましたが、海外での武力行使が不可避な自衛隊の活動が三項目含まれ、憲法違反が疑われる内容でした。
国家安全保障基本法案も、議員立法の手続きが予定されています。自民党はこの法律とともに集団自衛事態法、前出の国際平和協力法を制定し、自衛隊法を改定するとしています。
これらの法律が成立すれば、集団的自衛権行使や海外の武力行使が解禁されることになります。法律が憲法違反か審査する憲法裁判所のような規定がわが国にはないため、法律によって憲法解釈が変更され、「国のかたち」を変えるのです。やがて憲法が自衛隊活動の実態に合わないとの批判が起こり新たな憲法が制定に至ると見込んでいるのではないでしょうか。まるでマジックです。
国会で過半数を占めさえすれば、国家安全保障基本法は成立します。三分の二の国会議員の賛成や国民投票が必要な憲法改正と比べ、なんとお手軽なことか。与党であっても党内で反対され、この裏ワザはとらなかったのですが…。
○七年、自民党の安倍晋三総裁は首相だった当時、自衛艦と並走する米軍艦艇の防御、米国を狙った弾道ミサイルの迎撃など四類型を示し、集団的自衛権行使の容認を目指しました。いったいどの国が世界一の軍事力を誇る米国に対して正規戦を挑むというのでしょうか。
◆海外の武力行使が可能に
起こりそうなのは、米国による海外の戦争に参加して武力行使することではないでしょうか。第二次世界大戦後、各地で起きた戦争や紛争の多くは、米国や旧ソ連が介入して始まりました。「大量破壊兵器を隠し持っている」と言いがかりをつけて米国が始めたイラク戦争に英国は集団的自衛権を行使して参戦しました。イラクへは陸上自衛隊も派遣されましたが、憲法の規定から人道復興支援にとどまりました。
日本の平和を守り、国民の安全を守ってきた憲法を法律でひっくり返す「法の下克上」は断じて認めるわけにはいかないのです。
米国隷従政策をいつまで続かせようとするのか。その政策により、沖縄は塗炭の苦しみを強いられている。沖縄のことは、今度の選挙ではあまり語られない。
集団的自衛権の問題は、日本国憲法の平和主義に関わる。平和主義をもし捨てるとなったら、アジア太平洋戦争中、日本軍が蛮行を働き、その被害をみずからの体内に刻んでいるアジア諸国の民が、一斉に不信の声を日本に向けてくるだろう。
経済的にも、政治的にも、そして地政学的にも、日本はアジアの一員であり、アジア諸地域と共にある。
威勢のいいことばに騙されてはなるまい。
今日の『東京新聞』社説。
週のはじめに考える 憲法改正のマジック 2012年12月9日
憲法で禁じた集団的自衛権の行使を法律によって可能にする、こんなからくりが国会で進みつつあります。実現すれば平和憲法はなし崩しになります。
十六日投開票の衆院選挙で集団的自衛権の行使容認を訴えているのは自民党、日本維新の会、国民新党など複数あります。
公約には掲げていないものの、野田佳彦首相が「見直す議論を詰めていきたい」と述べるなど民主党の中にも容認派はいるようです。尖閣諸島などの問題や国内の行き詰まった状況がナショナリズムを高めているのでしょうか。
◆集団的自衛権行使へ
集団的自衛権とは何なのか。あらためておさらいします。一九八一年、政府は答弁書で、集団的自衛権について「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利」と定義したうえで、「わが国が主権国家である以上、集団的自衛権を有しているが、憲法九条で許容される必要最小限の範囲を超え、行使は許されない」としています。
政府見解は定着しており、憲法改正を経なければ、集団的自衛権行使は認められないはずですが、「国家安全保障基本法」の制定によって行使が可能になるとの見方が政党間で急浮上しています。
例えば、自民党は七月の総務会で国家安全保障基本法の制定を決めました。まだ法案の概要しかありませんが、次に政務調査会が詳細な中身を定めていきます。
法案の概要をみると、第一○条「国連憲章に定められた自衛権の行使」は、国連憲章五一条の規定を根拠に集団的自衛権の行使を認めています。第一一条「国連憲章上の安全保障措置への参加」は、国連安保理決議があれば、海外における武力行使を認める内容となっています。
◆憲法解釈変える法律
どちらも憲法九条の解釈に明らかに反します。憲法違反の法案は国会提出さえできないのでは、そんな疑問が浮かびます。
一面はその通りです。行政府の中央省庁が法案をつくる内閣立法なら、憲法との関係を審査する内閣法制局の段階でストップがかかり、国会提出には至りません。
国会議員が法案をつくる議員立法となれば話は別です。衆院、参院それぞれの法制局が審査して意見を述べますが、提出を決めるのは立法権のある国会議員。国会で法案を説明するのは提出議員のため、答弁に窮するような問題のある法案が提出に至ることはまずないのですが、前例があります。
二〇一〇年五月、中谷元・元防衛庁長官ら五人の議員が「国際平和協力法案」を衆院に提出しました。先月の衆院解散により審議未了で廃案となりましたが、海外での武力行使が不可避な自衛隊の活動が三項目含まれ、憲法違反が疑われる内容でした。
国家安全保障基本法案も、議員立法の手続きが予定されています。自民党はこの法律とともに集団自衛事態法、前出の国際平和協力法を制定し、自衛隊法を改定するとしています。
これらの法律が成立すれば、集団的自衛権行使や海外の武力行使が解禁されることになります。法律が憲法違反か審査する憲法裁判所のような規定がわが国にはないため、法律によって憲法解釈が変更され、「国のかたち」を変えるのです。やがて憲法が自衛隊活動の実態に合わないとの批判が起こり新たな憲法が制定に至ると見込んでいるのではないでしょうか。まるでマジックです。
国会で過半数を占めさえすれば、国家安全保障基本法は成立します。三分の二の国会議員の賛成や国民投票が必要な憲法改正と比べ、なんとお手軽なことか。与党であっても党内で反対され、この裏ワザはとらなかったのですが…。
○七年、自民党の安倍晋三総裁は首相だった当時、自衛艦と並走する米軍艦艇の防御、米国を狙った弾道ミサイルの迎撃など四類型を示し、集団的自衛権行使の容認を目指しました。いったいどの国が世界一の軍事力を誇る米国に対して正規戦を挑むというのでしょうか。
◆海外の武力行使が可能に
起こりそうなのは、米国による海外の戦争に参加して武力行使することではないでしょうか。第二次世界大戦後、各地で起きた戦争や紛争の多くは、米国や旧ソ連が介入して始まりました。「大量破壊兵器を隠し持っている」と言いがかりをつけて米国が始めたイラク戦争に英国は集団的自衛権を行使して参戦しました。イラクへは陸上自衛隊も派遣されましたが、憲法の規定から人道復興支援にとどまりました。
日本の平和を守り、国民の安全を守ってきた憲法を法律でひっくり返す「法の下克上」は断じて認めるわけにはいかないのです。
以下に紹介するのは、『琉球新報』の社説である。
1941年12月8日、マレー半島のコタバルに奇襲をかけ英軍との戦闘を開始し、さらに真珠湾を攻撃し無謀な「アジア太平洋戦争」へと突き進んだ。戦時下には、「鬼畜米英」などと叫んだ政治家の末裔が、「日米同盟の強化」を訴え、そして憲法改悪を進めようとしている。
私は平和憲法擁護論を強固に持っている。断固、改悪を阻止したい。沖縄戦という唯一地上戦を経験した沖縄の新聞の主張を考えて欲しい。
憲法12衆院選 戦争の教訓踏まえているか2012年12月8日
戦後行われた国政選挙で、今衆院選ほど憲法改定が主要争点となった選挙はないのではないか。
竹島、尖閣諸島の領有権問題などをめぐり、主要各党で集団的自衛権の発動を可能とするための改憲論議が活発化。国内にいつになく不穏な空気が漂い始めている。
勢いを増す改憲の流れに対し、護憲を掲げる政党の声はかき消されがちだ。「平和憲法」を守り「平和国家」として国際社会の信を得てきた日本は、「戦争可能な国」へと転換していくのか。有権者は重大な選択を迫られている。
自民党は政権公約に憲法改正を盛り込み、自衛隊を「国防軍」とし、集団的自衛権の発動を可能としている。安倍晋三総裁は、憲法改正による「国防軍」保持に関し、自衛隊を国防軍に位置付ける場合は交戦規定の整備が必要になるとの認識を示した。
報道各社の世論調査では、自民党が単独過半数をうかがう情勢だ。保守色を前面に打ち出した自民党中心の政権が誕生すれば、改憲の流れはさらに加速しよう。それは憲法の平和主義を変質させずにはおかないだろう。
石原慎太郎、橋下徹の両氏率いる日本維新の会も、「自主憲法制定」を主張。外交・防衛政策では、集団的自衛権行使を容認し自衛隊の海外派遣時の武器使用基準を緩和するとしている。自民党との連立も取りざたされているが、そうなればタカ派路線が鮮明となる。
民主党は「積極的に憲法論議を進める」立場だが、明確な方針を示していない。ただ、共同通信の衆院選立候補予定者アンケートでは9条改正派が約25%を占めている。公約発表で野田佳彦首相は「憲法改正は衆院選の争点でない」と述べたが、その姿勢は疑問だ。改正の是非を明確に国民に示すべきだ。
一方、公明党は、環境権などを追加する「加憲」の立場だ。共産党、社民党は「憲法改悪阻止」を訴えている。
71年前のきょう、日本軍のハワイ真珠湾攻撃で日米が開戦し、その後沖縄は地獄絵図のような地上戦が繰り広げられた。戦争がもたらした犠牲は、今も多くの国民の記憶に刻まれ、語り継がれてきたはずだ。作家の城山三郎氏は「戦争で得られたものは憲法だけ」と述べたという。不戦を誓った「平和憲法」をどうするのか、国民全体で考える時ではないか。
1941年12月8日、マレー半島のコタバルに奇襲をかけ英軍との戦闘を開始し、さらに真珠湾を攻撃し無謀な「アジア太平洋戦争」へと突き進んだ。戦時下には、「鬼畜米英」などと叫んだ政治家の末裔が、「日米同盟の強化」を訴え、そして憲法改悪を進めようとしている。
私は平和憲法擁護論を強固に持っている。断固、改悪を阻止したい。沖縄戦という唯一地上戦を経験した沖縄の新聞の主張を考えて欲しい。
憲法12衆院選 戦争の教訓踏まえているか2012年12月8日
戦後行われた国政選挙で、今衆院選ほど憲法改定が主要争点となった選挙はないのではないか。
竹島、尖閣諸島の領有権問題などをめぐり、主要各党で集団的自衛権の発動を可能とするための改憲論議が活発化。国内にいつになく不穏な空気が漂い始めている。
勢いを増す改憲の流れに対し、護憲を掲げる政党の声はかき消されがちだ。「平和憲法」を守り「平和国家」として国際社会の信を得てきた日本は、「戦争可能な国」へと転換していくのか。有権者は重大な選択を迫られている。
自民党は政権公約に憲法改正を盛り込み、自衛隊を「国防軍」とし、集団的自衛権の発動を可能としている。安倍晋三総裁は、憲法改正による「国防軍」保持に関し、自衛隊を国防軍に位置付ける場合は交戦規定の整備が必要になるとの認識を示した。
報道各社の世論調査では、自民党が単独過半数をうかがう情勢だ。保守色を前面に打ち出した自民党中心の政権が誕生すれば、改憲の流れはさらに加速しよう。それは憲法の平和主義を変質させずにはおかないだろう。
石原慎太郎、橋下徹の両氏率いる日本維新の会も、「自主憲法制定」を主張。外交・防衛政策では、集団的自衛権行使を容認し自衛隊の海外派遣時の武器使用基準を緩和するとしている。自民党との連立も取りざたされているが、そうなればタカ派路線が鮮明となる。
民主党は「積極的に憲法論議を進める」立場だが、明確な方針を示していない。ただ、共同通信の衆院選立候補予定者アンケートでは9条改正派が約25%を占めている。公約発表で野田佳彦首相は「憲法改正は衆院選の争点でない」と述べたが、その姿勢は疑問だ。改正の是非を明確に国民に示すべきだ。
一方、公明党は、環境権などを追加する「加憲」の立場だ。共産党、社民党は「憲法改悪阻止」を訴えている。
71年前のきょう、日本軍のハワイ真珠湾攻撃で日米が開戦し、その後沖縄は地獄絵図のような地上戦が繰り広げられた。戦争がもたらした犠牲は、今も多くの国民の記憶に刻まれ、語り継がれてきたはずだ。作家の城山三郎氏は「戦争で得られたものは憲法だけ」と述べたという。不戦を誓った「平和憲法」をどうするのか、国民全体で考える時ではないか。