デジュー・ラーンキ他 「バルトーク:ミクロコスモスより」他 LFJ2007

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 熱狂の日音楽祭2007
公演番号427

バルトーク 「ミクロコスモス」より 2台のピアノのための7つの小品
バルトーク 2台のピアノと打楽器のためのソナタ

ピアノ デジュー・ラーンキ、エディト・クルコン
パーカッション ゾルターン・ラーツ、アウレール・ホロ

2007/5/5 20:45 東京国際フォーラムホールB7(マラルメ)



コンサート通いをするようになってから何年もたちますが、同じ日に同じ曲を二度聴いたのは初めてです。(しっかりと中身も確認せずに、慌ててチケットを購入してしまったせいですが…。)この公演の1時間ほど前にムジーク・ファブリークで楽しんだバルトークの「2台のピアノ~」を、今度はラーンキ夫妻のピアノで聴いてきました。オール・バルトーク・プログラムです。

元々、練習曲集であるという「ミクロコスモス」は、その中の一部(5巻と6巻)を、バルトーク自身が夫人と共演するために2台のピアノ用に編曲したものなのだそうです。それを、今度はラーンキ夫妻が、まさに息の合ったコンビで華麗に弾きこなしていきます。ラーンキのピアノは、ピアニシモの繊細な美しさはもちろんのこと、ダイナミズムに満ちたフォルテの表現も変幻自在です。バルトークに特有な語法もそのまま提示しながら、さらに若干の叙情性も匂わせた、静謐な「小宇宙」を表現していました。

「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」は、当然ながらムジーク・ファブリークの演奏の趣きとは全く異なっています。ファブリークが曲からロマンティズムな部分を排した、それこそ純粋な音の広がりと羅列だけを表現していたとすれば、ラーンキのそれはもっと感傷的な美を押し出していた演奏と言えるかもしれません。キラキラ瞬くようなピアニシモは気品に溢れ、端正なパーカッションも終始ラーンキのサポートに徹していました。打楽器とピアノの激しいぶつかり合いと言うよりも、むしろ一つの調和したカルテットの醍醐味を楽しむような感覚です。スリリングな妙味はやや消えていましたが、こちらの方が音楽の美感を見るには優れていたと思いました。

ラーンキは是非ソロでも聴いてみたいと思います。期待通りの充実したピアニズムを楽しむことが出来ました。
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