「時光 蔡國強と資生堂」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
「時光 蔡國強と資生堂」
6/23-8/12

中国の福建省出身で、火薬を使ったインスタレーションでも知られる蔡國強(1957~)の個展です。これまでに世界各地で手がけた「爆発インスタレーション」の映像作品とともに、火薬も用いた4点のドローイング、および宙に浮かぶ金の小舟のインスタレーションが紹介されています。



まず、はじめの大きな展示室を使った4点のドローイングが圧巻でした。1枚は和紙をそのままに、また他の3点は和紙とキャンバスを組み合わせたものに、それぞれほぼモノトーン調で火薬の焦げ跡も生々しい一見抽象のような絵画が、空間をぐるりと取り囲むように置かれています。そして上を見上げると、緩やかな曲線を描きながら下降するかのように連なる小さな金の木舟が浮いているのです。小舟というよりも、小さな葉や魚のイメージを感じさせますが、それらがスイスイと気持ちよく泳ぐかのようにして繋がっていました。ちなみにこの小舟は、全部で99点あるのだそうです。(「時の流れ」をイメージした小舟だそうです。)

ドローイングをよく見ると、無数に散らばるシミや焦げ跡から、具体的なモチーフ、例えば松の木や魚、さらには兎のような小動物が浮かび上がってきます。実際にもこれらは、それぞれに春夏秋冬の四季の光景が表現されているようです。(画面には漢字で書かれた春や夏の文字を確認することが出来ます。)つまりはこの四季を、「時の流れ」をイメージした上の小舟が繋いでいるというコンセプトなのかもしれません。

奥の部屋では火薬の爆音も轟く映像作品を見ることが出来ます。こちらはヨハネスブルクやヴェネツィアなどで行われた、大掛かりなインスタレーションの記録でした。かつて中国で発明され、今でも春節などで用いられる火薬が、まるで世界各地で示威行為をするかのように激しく迸ります。この勢いはとどまる所を知りません。

8月12日までの開催です。(6/30)
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