「小谷元彦 『SP2 New Born』」 山本現代

山本現代新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4階)
「小谷元彦 『SP2 New Born』」
6/30-7/25

原点に立ち戻って彫刻制作を再開させたという(画廊HPより一部引用。)小谷元彦の、約3年ぶりとなる新作彫刻展です。



暗がりの展示室にて並ぶのは、まるで生クリームを塗り立てたかのように滑らかで白く、また骨ともシダの葉とも言えるような細部の連なるオブジェの数々でした。それらは「pig」や「viper」、さらには「mouse」などの名前が与えられていますが、実際には何の生物なのかが分からないような、半ば抽象とも言える謎めいた形をしています。刺々しい触覚がのびるムカデやウロコの隆起する巨大な龍、さらには食虫植物の巨大な花なども連想させました。そのイメージは奇怪でかつ深淵です。

殆ど執拗なまでに精密に象られた細部、または全て白という統一感のある色の妙味、さらには一見シンプルでありながらも複雑怪奇のモチーフの面白さなどに見入りました。スポットライトに煌煌と照らされて浮き上がるオブジェを眺めていると、どこか太古の生物の化石を見ているような錯覚さえしてきます。

今月25日まで開催されています。これはおすすめです。(7/7)
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「高谷史郎 - photo-gene - 」 児玉画廊

児玉画廊新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル4階)
「高谷史郎 - photo-gene - 」
6/30-8/11

流れ行く雲の中へと誘われていくような感覚を味わいました。児玉画廊で開催中の高谷史郎の個展です。



真っ白な展示室の中で交互に並んでいるのは、ステンレスフレームへおさめられた約1メートル四方の写真と鏡です。写真には今にも雨粒が落ちてきそうな、軽やかでありながらもしっとりとしたグレーの雲が捉えられていますが、それが銀色にも照る鏡へと反射して美しいコントラストを描いています。その組み合わせは巧みです。

雲はシュワシュワと音を立てるかのように広がり、そして浮遊して流れているようにも見えました。また、その向こうにある見えそうで見えない青空が、仄かに滲み出しているように思えてきます。写真でありながら、不思議と雲を映した映像を見ているような気持ちにもさせられる作品です。

統一感のある色の力もあるのかもしれません。シルバープリントと鏡の質感が美しく調和していました。梅雨空の今の時候に見るのにピッタリな展覧会ではないでしょうか。

8月11日までの開催です。(7/7)
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