「寺田真由美展」 高島屋東京店 美術画廊X

高島屋東京店6階 美術画廊X(中央区日本橋2-4-1
「寺田真由美展 - 光のモノローグ」
6/27-7/17(最終日は16時まで)

日本橋高島屋の現代アート専門画廊、「美術画廊X」の展覧会です。ニューヨーク在住の写真家、寺田真由美の個展を見てきました。

 

一見、例えばシンプルで飾り立てない室内をモノクロで捉えた写真に見えますが、実際は全て寺田自身の制作したミニチュアを撮影したものなのだそうです。確かに上に挙げた「傘と扉」(2005)でも、奥の窓はやや不自然に傾き、また水の滴る傘もどこか奇妙な形をして立てかけられています。さらにまるで祭壇のような「洗面台」(2001)も、その無機質なつくりは明らかに非日常的な空間を思わせていました。しばらく見ていると、現実と虚構の間から、後者だけが仄かに浮かび上がってくる。そんな雰囲気も感じられる作品です。

どれもこれらの虚構性、つまりはそれがミニチュアであることを決して隠そうとはしていません。ようはあえてミニチュアだと分からせること自体に、寺田の作品の独特な魅力があるようです。自然光による光とその影の溶け合う静謐な空間が、全くの非現実であることが理解された時、それはいつかの夢の記憶を呼び覚ますような懐かしさを感じます。ここにある幻想性は、おそらくミニチュアでなければ成り立たないのでしょう。

7月17日までの開催です。(6/30)
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