都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「夏目麻麦展」 ギャラリー椿
ギャラリー椿(中央区京橋3-3-10)
「夏目麻麦展」
7/18-31

全てが霧に包まれたように朧げでありながら、不思議と存在の重みも感じる女性のポートレートです。夏目麻麦の個展を見てきました。

透明感をたたえていながらも、重くのしかかるような色彩の海に、顔の表情を全く伺うことの出来ない一人の女性が立っています。それは時に深い紫を帯びた青や焦げ付くような朱色を背景にして、例えば手を前に組むようなポーズをとって佇んでいました。まずはその豊かなマチエールと、全体の雰囲気に圧倒されます。言わば、絵自体に確かな力強さを感じる作品です。
夏目の絵画を見ていると、つい先日にMOTで見たデュマスを思い出します。ただしその表現の方向性は、デュマスと全く異なる地点を指し示しているのかもしれません。ここにデュマスに見た悲しみや叫びなどの感情の露出はなく、ただただ存在しているだけの、言い換えればもはや自分が誰なのかさえ分からないようなある意味で「影」のような女性しか描かれていないのです。そしてそれが夏目の絵の持ち味なのだと思います。かつて一度きりだけ出会った女性を、記憶の奥底から辿ってつくり上げた一つの像という印象も受けました。
今月末までの開催です。おすすめします。(7/21)
「夏目麻麦展」
7/18-31

全てが霧に包まれたように朧げでありながら、不思議と存在の重みも感じる女性のポートレートです。夏目麻麦の個展を見てきました。

透明感をたたえていながらも、重くのしかかるような色彩の海に、顔の表情を全く伺うことの出来ない一人の女性が立っています。それは時に深い紫を帯びた青や焦げ付くような朱色を背景にして、例えば手を前に組むようなポーズをとって佇んでいました。まずはその豊かなマチエールと、全体の雰囲気に圧倒されます。言わば、絵自体に確かな力強さを感じる作品です。
夏目の絵画を見ていると、つい先日にMOTで見たデュマスを思い出します。ただしその表現の方向性は、デュマスと全く異なる地点を指し示しているのかもしれません。ここにデュマスに見た悲しみや叫びなどの感情の露出はなく、ただただ存在しているだけの、言い換えればもはや自分が誰なのかさえ分からないようなある意味で「影」のような女性しか描かれていないのです。そしてそれが夏目の絵の持ち味なのだと思います。かつて一度きりだけ出会った女性を、記憶の奥底から辿ってつくり上げた一つの像という印象も受けました。
今月末までの開催です。おすすめします。(7/21)
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