「インカ マヤ アステカ展」 国立科学博物館

国立科学博物館台東区上野公園7-20
「インカ マヤ アステカ展」
7/14-9/24



テレビでの露出の機会も多かったかと思います。会期末の、しかも三連休中の初日ということで大変な混雑を予想しましたが、意外にもせいぜい20分程度の待ち時間で入場することが出来ました。国立科学博物館での「インカ マヤ アステカ展」です。



中南米の三文明を一挙に紹介してしまうという、やや大雑把過ぎる嫌いもある展覧会ですが、その内容は思っていたよりも遥かに充実していました。この手の企画展にありがちなレプリカの展示も殆どなく、パネル、映像も必要以上に並ぶことはありません。もちろんどこかのテーマパークのような雰囲気は漂っていましたが、各文明の貴重な文物を見るだけでもかなり楽しめました。特にミイラ、ヒスイの仮面、そして金の装飾具などは人気です。それぞれの展示ブースには人だかりが出来ています。



成立した地域も異なる三文明を客観的に比較するのはそもそも無理な話ですが、各文明には当然ながら固有の文化が存在しています。まずその時代がマヤでは何と紀元前4世紀頃から15世紀頃に渡って長く続いたのに対し、インカ、及びアステカはそれぞれ15世紀から16世紀頃に起り、せいぜい1世紀程度で滅亡しているのです。(だだし全ての文明が、メキシコ人の侵入によって滅亡することは共通しています。)またマヤでは石造りのピラミッド、アステカでは人口20万を越えたという湖上の大都市テノチティトラン、そしてインカでは有名な天空の都マチュピチュなど、その居住形態、建築のあり方も全く異なっていました。それにマヤはいわゆる中世になっても金属器を用いることがなく、またインカにはそもそも文字がないなど、一般的な発展史観より逸脱した文化形態がとても興味深く感じられます。

ところで会場は第1と第2に分かれていましたが、後者はほぼ完全なる物販スペースです。もちろんそれも会場であるのは事実ですが、さも展示品があるような雰囲気でそちらへ誘導するのはどうなのでしょうか。「この先、映像、物販コーナー。」など、端的で分かり易い表記が欲しいものです。

明日までの企画をおすすめするのも今更感がありますが、今後、以下の会場へも巡回します。「科博の企画展はちょっと…。」と敬遠する方にも楽しめるような展覧会です。また中学生以下は無料です。こういう姿勢はとても評価出来ます。(9/22)

*巡回会場
2007/10/3~12/24 神戸市立博物館
2008/1/11~3/16 岡山市デジタルミュージアム
2008/3/25~6/8 福岡市博物館
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