都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「混沌から躍り出る星たち 2009」 スパイラルガーデン
スパイラルガーデン(港区南青山5-6-23)
「混沌から躍り出る星たち 2009 - 『京都造形芸術大学2008年度卒業・終了制作選抜展』選抜展 - 」
7/31-8/8
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今年で9回目を迎えました。京都造形芸術大学(大学院)の卒業・終了展より選抜された26組のアーティスト(卒業生のゲストアーティストを含む。)を紹介します。スパイラルガーデンで開催中の「混沌から躍り出る星たち 2009」へ行ってきました。
まずは本年の出品作家です。公式HPより転載します。
招待作家(卒業生):西村郁子
2008年度卒業制作展から選定された作家:井階麻未、大場英理子、川上幸子、極並佑、坂本いづみ、佐藤允、小路由希子、神馬啓佑、高木仁美、TOPPI(高砂光・夫馬洋輔)、武田あずみ、寺村利規、土手茉莉、橋本美香、番場文章、藤居典子、藤井秀全、藤井まり子、松浦宏美、松本高志、村林由貴、目良真弓、森山蘭子、山岡千紗、若松堅太郎
昨年同様、大学を終えたばかりの作家による、オブジェ、インスタレーション、そして平面に映像ありのバリエーション豊かな展覧会です。特段のテーマを設けないことで、それぞれの新鮮な表現を自由に受け止めることを可能としています。早速、以下に印象に残った作家を挙げてみました。
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西村郁子「untitled」
スパイラルのメイン、円筒状の空間を用いての大掛かりなインスタレーション。天井から網状になった白と紫の布が円錐を描いて垂れ下がる。スポットライトを浴びて出来た影も効果的だった。
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坂本いづみ「ivy.」
植物のツタを意味するというタイトル名。チェック柄の洋服が数着ほどハンガーにぶら下がり、その下部の全てが解かれ、紐状になって他と結びついている。まるで洋服同士が手を取り合っているようだ。
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極並佑「modern people」
4×3mの大作ペインティング。都会の街角にある何気ない光景を、アメリカのポップアート風に描く。それ自体が色面となった太い輪郭線は、絵画を巨大な塗り絵のように象った。絵からはみ出た男女のすれ違う構図も面白い。
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土手茉莉「grow」
数十個ほど吊るされた直径20センチほどの透明カプセルの中に、金魚をモチーフとしたコラージュが入っている。ちょうど半球のカプセルの重なり合う面に金魚を描いているのが興味深い。ビース、糸などで出来たその姿はとても可愛らしかった。
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大場英理子「composition A-192」
入口すぐ、受付カウンター横の床面に並ぶリンゴのオブジェ。一見、紙製のようにも思えるが、実際には粘土で出来ていた。手前から奥に向かって白から青のグラデーションを描く姿も印象深い。
目良真弓「人はそれを絶望と呼んでしまうのか(自画像)」
作家自身が普段、身につけている衣装をモチーフとして描いたという自画像群。とは言え、闇に覆われた画面に洋服などが浮かび上がる姿は、おおよそ一般的な自画像のイメージとはほど遠い。(それが非常に面白い。)メゾチントの深い質感には驚かされた。ただならぬ雰囲気を感じる。
高木仁美「日々を繋ぐ」
買い物などで得られたレシートをそのまま壁に貼っただけかと思いきや、それ自体に作家の手が加えられた作品、つまりは刺繍だった。生活の記録でもあるレシートへ能動的に働きかけることで、より日々の記憶と経験を呼び覚まそうとしているのかもしれない。コンセプチュアルな要素と手仕事的な部分がうまく釣り合っている。
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小路由希子「蓮歩」
金属を思わせる黒い板の上に並ぶ皿のような陶のオブジェ。表面に皺の入り、また重なり合って並ぶ様は、まさに池に浮かぶ蓮の花のイメージだった。白地にうっすらと青みを帯びた色彩感も美しい。
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また上記の他、この春に東京駅の行幸ギャラリーで開催された「アート アワード トーキョー」に展示のあった数名の作家も登場していました。(なお作品は同一です。)その際に賞を得た神馬啓佑、寺村利規の作品も出ているので、見逃された方は本展で確認するのも良いかもしれません。
「アート アワード トーキョー 丸の内2009」 行幸地下ギャラリー
9日間限定の愉しいグループショーです。8日の土曜日まで開催されています。
「混沌から躍り出る星たち 2009 - 『京都造形芸術大学2008年度卒業・終了制作選抜展』選抜展 - 」
7/31-8/8
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今年で9回目を迎えました。京都造形芸術大学(大学院)の卒業・終了展より選抜された26組のアーティスト(卒業生のゲストアーティストを含む。)を紹介します。スパイラルガーデンで開催中の「混沌から躍り出る星たち 2009」へ行ってきました。
まずは本年の出品作家です。公式HPより転載します。
招待作家(卒業生):西村郁子
2008年度卒業制作展から選定された作家:井階麻未、大場英理子、川上幸子、極並佑、坂本いづみ、佐藤允、小路由希子、神馬啓佑、高木仁美、TOPPI(高砂光・夫馬洋輔)、武田あずみ、寺村利規、土手茉莉、橋本美香、番場文章、藤居典子、藤井秀全、藤井まり子、松浦宏美、松本高志、村林由貴、目良真弓、森山蘭子、山岡千紗、若松堅太郎
昨年同様、大学を終えたばかりの作家による、オブジェ、インスタレーション、そして平面に映像ありのバリエーション豊かな展覧会です。特段のテーマを設けないことで、それぞれの新鮮な表現を自由に受け止めることを可能としています。早速、以下に印象に残った作家を挙げてみました。
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西村郁子「untitled」
スパイラルのメイン、円筒状の空間を用いての大掛かりなインスタレーション。天井から網状になった白と紫の布が円錐を描いて垂れ下がる。スポットライトを浴びて出来た影も効果的だった。
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坂本いづみ「ivy.」
植物のツタを意味するというタイトル名。チェック柄の洋服が数着ほどハンガーにぶら下がり、その下部の全てが解かれ、紐状になって他と結びついている。まるで洋服同士が手を取り合っているようだ。
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極並佑「modern people」
4×3mの大作ペインティング。都会の街角にある何気ない光景を、アメリカのポップアート風に描く。それ自体が色面となった太い輪郭線は、絵画を巨大な塗り絵のように象った。絵からはみ出た男女のすれ違う構図も面白い。
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土手茉莉「grow」
数十個ほど吊るされた直径20センチほどの透明カプセルの中に、金魚をモチーフとしたコラージュが入っている。ちょうど半球のカプセルの重なり合う面に金魚を描いているのが興味深い。ビース、糸などで出来たその姿はとても可愛らしかった。
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大場英理子「composition A-192」
入口すぐ、受付カウンター横の床面に並ぶリンゴのオブジェ。一見、紙製のようにも思えるが、実際には粘土で出来ていた。手前から奥に向かって白から青のグラデーションを描く姿も印象深い。
目良真弓「人はそれを絶望と呼んでしまうのか(自画像)」
作家自身が普段、身につけている衣装をモチーフとして描いたという自画像群。とは言え、闇に覆われた画面に洋服などが浮かび上がる姿は、おおよそ一般的な自画像のイメージとはほど遠い。(それが非常に面白い。)メゾチントの深い質感には驚かされた。ただならぬ雰囲気を感じる。
高木仁美「日々を繋ぐ」
買い物などで得られたレシートをそのまま壁に貼っただけかと思いきや、それ自体に作家の手が加えられた作品、つまりは刺繍だった。生活の記録でもあるレシートへ能動的に働きかけることで、より日々の記憶と経験を呼び覚まそうとしているのかもしれない。コンセプチュアルな要素と手仕事的な部分がうまく釣り合っている。
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小路由希子「蓮歩」
金属を思わせる黒い板の上に並ぶ皿のような陶のオブジェ。表面に皺の入り、また重なり合って並ぶ様は、まさに池に浮かぶ蓮の花のイメージだった。白地にうっすらと青みを帯びた色彩感も美しい。
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また上記の他、この春に東京駅の行幸ギャラリーで開催された「アート アワード トーキョー」に展示のあった数名の作家も登場していました。(なお作品は同一です。)その際に賞を得た神馬啓佑、寺村利規の作品も出ているので、見逃された方は本展で確認するのも良いかもしれません。
「アート アワード トーキョー 丸の内2009」 行幸地下ギャラリー
9日間限定の愉しいグループショーです。8日の土曜日まで開催されています。
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