都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「生誕150年 ルネ・ラリック」 国立新美術館
国立新美術館(港区六本木7-22-2)
「生誕150年 ルネ・ラリック - 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ - 」
6/24-9/7
19世紀末より20世紀半ばにかけ、アール・ヌーヴォーのジュエリー制作者として、またアール・デコのガラス工芸家としてそれぞれに活躍したルネ・ラリックの創作を紹介します。(公式HPより引用。一部改変。)国立新美術館で開催中の「生誕150年 ルネ・ラリック - 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ - 」へ行ってきました。
国立新美の広大なフロアをパーティションにて仕切り、前半はジュエリー、そして後半部はガラス工芸を展示するオーソドックスな構成の展覧会です。いつもながらに私の趣味の問題もあってか、不思議とラリックがあまり心に響かなかったのですが、以下、簡単に印象深かった作品を挙げてみました。
「ハット・ピン『ケシ』」(1897年/オルセー美術館)
ラリックのジュエリーの代表作とも言うべき名品。薄い花弁の中には艶かしい雄しべと雌しべが所狭しとひしめき合う。実際の花のように生気を帯びながらも、一方で萎れていくような儚さも感じられた。
「ティアラ『雄鶏の頭』」(1897年頃/カルースト・グルベンキアン美術館)
輝かしいワイン色にも光るアメシストを口に、雄鶏が鶏冠を震わせて猛々しく叫んでいる。透かし彫り的に組み合わされた造形には圧倒された。じろりと睨む目の様子もまた力強い。
「花瓶『蛇』」(1924年/個人蔵)
蛇がとぐろを巻いて花瓶を象る。一体どのような発想でこうした作品を作るのだろうか。ガラスの美しさを通り越して不気味だった。
「三足鉢『シレーヌ』」(1920年/個人蔵)
鉢の中にシレーヌの肉体がまさに流れるように埋め込まれている。髪の毛が靡きながら、そのまま水玉となって消え行く様が見事だった。
「テーブル・セット『ロータス』」(1924年/ギャルリー オルフェ)
テーブル上を水面に見立て、その上に蓮が咲き並ぶようにしてガラスの透明の食器を並べている。シンプルで幾何学的な造形が美しい。実は今回、一番惹かれたのはジュエリーでも大きな鉢などでもなく、こうした食器の品々だった。
「手鏡 - 横たわるナルキッソス」(1912年/個人蔵)
手鏡の紋様にナルキッソスを描く。鏡を見るということはやはりナルシシズムそのものなのであろう。ラリックの機知に感心する。
「カーマスコット(各種)」(1928年他/トヨタ博物館他)
カーマスコットとは自動車のボンネットの先端の装飾品。まさかラリックの展示で自動車そのものが置いてあるとは思わなかったが、短い間ながらもラリックはこれらのガラスマスコットの制作に勤しんだことがあったらしい。先取性のあるアール・デコならではの作品かもしれない。
前半部のジュエリーは一部作品を除き、部屋の壁面に沿って並ぶケースに入っているため、少し混雑するだけで列が出来てしまうきらいはありましたが、後半の工芸はテーブルセットの再現をはじめ、前述の自動車など、メリハリの利いた展示で感心しました。またライティングの効果も見事なものがあり、作品とともに照明によって出来た『影』も必見ではないでしょうか。
私感ながら、例えばかつてのサントリーでのガレ展のように、もう少し個々のモチーフに突っ込んだ紹介があればなお理解が深まったような気がしました。
*こちらは東京都庭園美術館の正面玄関のレリーフ。もちろんラリックの制作です。
9月7日まで開催されています。
「生誕150年 ルネ・ラリック - 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ - 」
6/24-9/7
19世紀末より20世紀半ばにかけ、アール・ヌーヴォーのジュエリー制作者として、またアール・デコのガラス工芸家としてそれぞれに活躍したルネ・ラリックの創作を紹介します。(公式HPより引用。一部改変。)国立新美術館で開催中の「生誕150年 ルネ・ラリック - 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ - 」へ行ってきました。
国立新美の広大なフロアをパーティションにて仕切り、前半はジュエリー、そして後半部はガラス工芸を展示するオーソドックスな構成の展覧会です。いつもながらに私の趣味の問題もあってか、不思議とラリックがあまり心に響かなかったのですが、以下、簡単に印象深かった作品を挙げてみました。
「ハット・ピン『ケシ』」(1897年/オルセー美術館)
ラリックのジュエリーの代表作とも言うべき名品。薄い花弁の中には艶かしい雄しべと雌しべが所狭しとひしめき合う。実際の花のように生気を帯びながらも、一方で萎れていくような儚さも感じられた。
「ティアラ『雄鶏の頭』」(1897年頃/カルースト・グルベンキアン美術館)
輝かしいワイン色にも光るアメシストを口に、雄鶏が鶏冠を震わせて猛々しく叫んでいる。透かし彫り的に組み合わされた造形には圧倒された。じろりと睨む目の様子もまた力強い。
「花瓶『蛇』」(1924年/個人蔵)
蛇がとぐろを巻いて花瓶を象る。一体どのような発想でこうした作品を作るのだろうか。ガラスの美しさを通り越して不気味だった。
「三足鉢『シレーヌ』」(1920年/個人蔵)
鉢の中にシレーヌの肉体がまさに流れるように埋め込まれている。髪の毛が靡きながら、そのまま水玉となって消え行く様が見事だった。
「テーブル・セット『ロータス』」(1924年/ギャルリー オルフェ)
テーブル上を水面に見立て、その上に蓮が咲き並ぶようにしてガラスの透明の食器を並べている。シンプルで幾何学的な造形が美しい。実は今回、一番惹かれたのはジュエリーでも大きな鉢などでもなく、こうした食器の品々だった。
「手鏡 - 横たわるナルキッソス」(1912年/個人蔵)
手鏡の紋様にナルキッソスを描く。鏡を見るということはやはりナルシシズムそのものなのであろう。ラリックの機知に感心する。
「カーマスコット(各種)」(1928年他/トヨタ博物館他)
カーマスコットとは自動車のボンネットの先端の装飾品。まさかラリックの展示で自動車そのものが置いてあるとは思わなかったが、短い間ながらもラリックはこれらのガラスマスコットの制作に勤しんだことがあったらしい。先取性のあるアール・デコならではの作品かもしれない。
前半部のジュエリーは一部作品を除き、部屋の壁面に沿って並ぶケースに入っているため、少し混雑するだけで列が出来てしまうきらいはありましたが、後半の工芸はテーブルセットの再現をはじめ、前述の自動車など、メリハリの利いた展示で感心しました。またライティングの効果も見事なものがあり、作品とともに照明によって出来た『影』も必見ではないでしょうか。
私感ながら、例えばかつてのサントリーでのガレ展のように、もう少し個々のモチーフに突っ込んだ紹介があればなお理解が深まったような気がしました。
*こちらは東京都庭園美術館の正面玄関のレリーフ。もちろんラリックの制作です。
9月7日まで開催されています。
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