「elements - 秋山 泉・玉利 美里 二人展」 日本橋高島屋美術画廊X

高島屋東京店 美術画廊X中央区日本橋2-4-1 6階)
「elements - 秋山 泉・玉利 美里 二人展」
8/19-9/7



1982年と1983年生まれの若い世代の女性画家を紹介します。日本橋高島屋美術画廊Xで開催中の「elements - 秋山 泉・玉利 美里 二人展」へ行ってきました。

出品作家は以下の2名です。展示カタログの作家プロフィールを一部転載します。

秋山泉(1982年山梨県生まれ):紙に鉛筆で何度も線を重ね、ぼかしながた、広い空間に器が佇む静寂の世界を表現。
玉利美里(1983年千葉県生まれ):キャンバスに鮮やかな色彩のコントラストで、日常と空想が混雑するかのような世界を作り上げる。



寡黙な鉛筆画の秋山と、時に帯状となった色彩が景色を生み出す玉利の油彩は、その対照的な作風を通り越して意外と調和していますが、私が断然におすすめしたいのは前者の秋山です。あえて言ってしまえば、秋山のモノクロームには伊庭靖子にも通じるような魅力が存在しています。失礼ながらも、本展示には特別の下調べもなく、ただぶらりと寄っただけのつもりでいましたが、その美しさに心惹かれ、思わぬほど長居してしまいました。



繊細な鉛筆によって表現された食器の縁の絶妙な陰影、そして仄かにあたる光の痕跡など、一見するところリアルのようでも、どこか心地よい揺らぎが感じられるのもまた興味深い点ではないでしょうか。ケント紙の虚空の中で時に上から、あるいは横からの視点にて捉えられた、ただの一つの食器は、白に由来する清潔感を醸し出しながらも、それこそ靄に包まれて消え失せてしまうかのような細い存在感をもって示されています。ひょっとするとこれは掴んでも掴みきれない幻であるのかもしれません。確かにあるようでも、決して主張しない寡黙さもまた魅力でした。

9月7日まで開催されています。おすすめします。
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