「彫刻 労働と不意打ち」 東京藝術大学大学美術館陳列館

東京藝術大学大学美術館陳列館台東区上野公園12-8
「彫刻 労働と不意打ち」
8/8-23



東京藝術大学大学美術館陳列館で開催中の「彫刻 労働と不意打ち」へ行ってきました。

出品作家は以下の8名です。

大竹利絵子、小俣英彦、今野健太、下川慎六、西尾康之、原真一、深谷直之、森靖

この展覧会は芸大彫刻科が97年から隔年で開催している彫刻作家のグループ展です。陳列館の二層のフロアはそう広いわけではありませんが、一階、二階、そして屋外と、比較的サイズの大きな作品が約10点ほど紹介されていました。なお会場内は一部作品(西尾康之)を除いて撮影が可能です。以下、写真と合わせ、印象深い作品を挙げてみました。

【屋外】



「二重絶縁」下川慎六(2009/御影石・水・ヒーター)



御影石の上部には水がたまり、それがヒーターによって熱せられている。近くに寄ると湯気が揺らめいてるのを確かに見ることが出来た。(残念ながら写真には捉えられず。)彫刻に物理的なエネルギーがこめられた瞬間が示される。

【一階】

「大地の循環・Horn」深谷直之(2009/花崗岩)



四角形の花崗岩の板が連なり、山々が連なる鳥瞰的な光景が生み出される。床面に近づいて見るとなかなかの迫力。

「Room」大竹利絵子(2009/樟)



妙に取り澄ました表情でダイニングテーブルに座る大人と子ども。組み合わさらない視線が冷めた空気を呼び込む。全てに無関心なような子どもの様子が少し怖い。

「田んぼ」原真一(2009/石膏)

 

田植えをする農婦の姿を捉えたトルソー。水田のぬかるみに足を取られながらも、前へと進む女性の足取りは力強い。まるで泥をそのままに取りつけたような質感が面白かった。

【二階】



「Much ado about love-Kappa」森靖(2009/樟)

 

マリリン・モンローの似姿を再現。とは言え、その様子はおおよそリアルではなく、タイトルにもある通り『河童化』して示されている。スカートを押さえたモンローの躍動感がそのまま怪物となる様は凄みすらあった。

コンセプトはやや学究色が濃く、あまり取っ付き易い内容ではありませんが、全て本年の新作で構成された『旬』の彫刻展であることは相違ありません。比較的若い世代の作家が目立ちました。

23日までの開催です。なお入場は無料でした。
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