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当方は2015年にぶらりと立ち寄ってNO-MA美術館を知ってアールブリュットの魅力にとりつかれて以来、沢山の作家さんの素晴らしい作品に出会うことが出来ました。
今回の企画展はキュレーターだった「はたよしこ」さんに同行していたカメラマンで、現NO-MA館長の大西暢夫さん始めとする方々の作家との出会い・再会の軌跡でもあります。
かつて出会い撮影した作家たちが20年の間どのように過ごしてきたかを聞きたいと企画た本展では、過去に取り上げられてきた7人の作家の現在と過去を見つめます。
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館内は1F・2F・蔵の3ヶ所に分かれていて、それぞれの作家がブースのようにコーナーを構えて、作品展示やプライベート的な写真が展示されています。
入ってすぐの場所にブースのある宮間英次郎さんは自分自身が作品と化すパフォーマーといえます。
またガラクタ(愛着があるモノなのでしょう)を集めて並べたオブジェの数々。
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大きな帽子にド派手な衣装。人形やら花やらを付けて横浜の街を疾走する姿は、街を歩く人の度肝を抜くような存在感があります。
それは人を驚かせて奇をてらいつつも、すれ違う人が思わず微笑んで思わず和ませるようなパフォーマンスのように感じられます。
今回の取材では89歳になられた宮間さんのインタビューをされているが、高齢になられた宮間さんはもうパフォーマンスを卒業されているそうです。
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吉澤健さんは街で見た企業名や看板をノートに記録しながら歩かれているという。
ノートはかつては表と裏表紙に雑誌誌や新聞・広告などの切り抜きでコラージュしてセロハンテープで封印していたといいます。
現在はコラージュも封印もされていないとのことですが、作品の制作は続けられているようです。
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ノートを埋め尽くすように書かれている文字は何て書いてあるか読めないが、吉澤さんには意味が分かっているはず。
吉澤さんはもう還暦近いはずですが、両親と暮らしながら30年近く仕事も制作も続けられているという。
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喜舎場盛也さんはカラフルなドットで紙一面を埋め尽くします。
喜舎場さんも吉澤さんのように最初はアルファベットや漢字を書き込んでおられたそうですが、その後にカラフルなドット画に変わっていったそうです。
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喜舎場さんに取材で会いに行かれた沖縄は4月にも関わらず25度を超えていたという暑さだったそうです。
制作現場での喜舎場さんは、急に姿が見えなくなったり、気が付くと自分の席で描いていたりするらしい。
毎日新聞を取りに行くのが日課で、図書館に行くと熱心に本に見入っておられたとか。
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佐々木早苗さんには制作のブームがあり、紙に書かれた丸や四角、縫い込まれた刺繍作品などバラエティに富む。
2017年頃からは“丸”をモチーフにした作品が多いそうですが、多様な変化は続いているという。
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佐々木さんを訪問された時の様子に“佐々木さんの制作風景を観察していて、喜舎場さんがそれに気づくと手は止まってしまう。”
“見ていた人たちは一斉に目を逸らして、他の人の作品を見たり、空を見たりする。そんな光景がおもしろかった。”とある。
その言葉だけでもシャイな佐々木さんと訪問者の暗黙のやりとりが目に浮かぶように思います。
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西本政敏さんは札幌市内を走る実在のバスを木材で製作されていて、そのバスは細部に至るまで現物を再現しています。
バスの車体の側面にゴジラこと松井秀喜の応援の言葉が書かれていましたが、今なら大谷翔平なんでしょうね。
ちなみにバスは2005年の作品でしたのでニューヨーク・ヤンキース時代のゴジラ松井への応援です。
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西本さんのバスの模型も面白かったのですが、個人的には腕や足、指などの関節まで動かせるほど精巧に作られた女の子の人形に魅かれます。
人形にはそれぞれフルネームで名前が付けられていて、調べるとタレントや声優など実在する人物がモデルになっているようです。
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以前の人形作品は関節まで動くように作られていたとのことですが、現在は一枚板で製作されているようです。
髪の毛も以前は糸を骨組に編み込んでいたようですが、今は彫刻刀で彫られています。
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2Fには西本さんの作品が展示されていて、次は蔵へというところだったのですが、外は雨足が強くなってきた。
焦って雨の中、中庭を歩いていく必要もありませんので、展覧会カタログや専門書籍などが置いてあるライブラリーで一休み。
ライブラリーにも宮間さんのコレクションが展示されてありました。
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そうこうしているうちに雨が小降りになりましたので中庭を通って蔵の中へ。
蔵の中には伊藤喜彦さんの粘土作品が展示されています。
伊藤さんは信楽青年寮で約60年生活し、30年に渡って粘土作品を制作されていた方だそうです。
伊藤さんは松茸を取りに山へ行って、山の中で亡くなられたといい、それは2005年のことだったそうです。
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最近、アールブリュット作品とコラボした商品やパッケージをお店やネットで目にする機会が増えました。
それは斬新なデザイン性や色彩の組み合わせの美しさが商品にマッチして、目にした人が興味深く魅かれるということなのではと感じています。
また、自分の作品が世に出ることで、新たな作品作りへの意欲につながるといいですね。