hiyamizu's blog

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浅川マキ「幻の男たち」を読む

2010年04月04日 | 読書2
浅川マキ著「幻の男たち」1985年6月、講談社発行を読んだ。今年1月、突然講演先でなくなったマキさんを偲んで、古い本を読んでみた。

浅川マキがお付き合いのあった男性ミュージシャン、プロデューサー数人について語ったエッセイ8編からなる。
変人のミュージシャンについて、アンダーグラウンドの女王、こだわりの浅川マキが語るので、平凡極まりない私からすればとんでもない世界の翔んでいる話なので、よく分からないことが多い。おまけに、話があちこちに飛ぶし、男女のプライバシーへの配慮があるのだろう、何が何だか判然としないことも多い。

お酒とタバコと薬にまみれ、どうしようもない厚化粧して田舎のキャバレー回りの貧乏暮らしの中で、暗く、沈み込んで、しかし筋を曲げずに諦めきったマキさんの姿が浮かぶ。

歌手と演奏者の関係は、ときには、男と女のようなものかも知れない。優れた演奏者ほど、歌手をサポートするだけでは満足しない。故意にではなくて、歌手がはみ出してしまったり、どこか強くないとおもしろくはないらしい。


通常の場合は歌手の方が圧倒的に強いと思うのだが、男と女の関係と似ていると言われても??

ジャズ歌手の伴奏をしていたピアノ弾きが、そのまま寝てしまったり、ドアから出て行ってしまう。どうしようもないが、才能溢れる男たちが登場し、マキさんがまともに見える。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

浅川マキのファンはすでの読んだか、読みたいだろうが、もともと浅川マキの名前を知っている人はそう多くないだろう。

ときどき誰のことを言っているのかわからなくなるところがある。プライバシーへの配慮もあるのだろうが、思考の自由さや、感覚的で思わせぶりな文章のためなのだが、それにしても、はっきり言って文章はヘタ。

新しくできた会社の歌手第一号としてマキさんを売り出す話がおかしくなったとき、中年の宣伝担当の男が言う。
「あんた、もう少し、顔さえよければねえ」
最初はまだそんな調子であったので、わたしも苦笑していた。


自分の声をはじめて録音で聞くとき、こんな声ではない筈だ、と感じる。・・・「他の人が自然に聞こえるのに、自分だけが違うように録音されている」・・・そして、ほんとうはわたし自身20年近く経ったいまでも、録音された自分の声に馴染めないでいるのだからと思う。


これは私も最初「自分の声はこんなではない」と思った。自分の声は外から耳に入る音波よりも骨伝導で頭の中を伝わって聞こえる方が強いから、外へ出て行った録音された声とは違うのだと訳は解っているのだが。それにしても、歌手であるマキさんも録音した自分の声に馴染めないとは。



浅川 マキは、1942年1月石川県現白山市生れ。 米軍キャンプやキャバレーなどで歌手として活動を始める。1968年、寺山修司に見出され新宿のアンダー・グラウンド・シアター「蠍座」で初のワンマン公演を三日間に渡り催行、口コミで徐々に知名度が上がる。
2010年1月17日、ライブ公演で愛知県名古屋市に滞在中、宿泊先ホテルで亡くなる。
独自の美意識を貫き「時代に合わせて呼吸をするつもりはない」と言っていたという。

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