角田光代著『かなたの子』2011年12月文藝春秋発行、を読んだ。
水子、間引かれた子、即身仏、子供の頃殺めてしまった友達など日常の中の恐ろしい出来事を描いた8編の短編集。
過去の闇が現在を縛り未来を萎縮させる。
スーツケースに入って遊んでいるうちに鍵が開かなくなり仲間が・・・、妻が分けのわからない言葉を発するようになり、やがて夫・・・、心ない別れを告げた女性に8年ぶりに合うが、相手は・・・。
そして、間引きのために殺された子、それは私なのか? 流れてしまった子は居なかったことにする慣習に逆らおうとするが・・・。気が付かないうちに虐待してしまった罪を負って・・・。
表紙の装画は、気味悪いほど写真みたいな具象画を書く諏訪敦氏による女性の横顔。描かれた髪の毛を見ていると恐いくらいで、なんとなく不気味な雰囲気がある。
初出:「文学界」や「オール読物」の2008年から2011年
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
気味悪い話が多いが、おどろおどろしくはなく、全体としてはやわらかなトーンだ。
そうせざるを得なかった過去の罪に捉えられていても、なお生きようともがき、生き続けても過去に苦しめられてしまう。しかし、この小説では、相手の方は苦しむ自分をすでに赦していると暗示させ、幾分すくわれる。
ちょっと大げさに言えば、筆さばきの達人の角田さんが、人間の深層心理に迫った作品達と言えるだろう。
角田光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
90年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞を受賞しデビュー。
96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、
98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、
「キッドナップ・ツアー」で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、
2000年路傍の石文学賞を受賞。
2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞を受賞。
2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞。
2006年「ロック母」で川端康成文学賞を受賞。
2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞をいずれも受賞
2009年ミュージシャン河野丈洋と再婚。習い事は英会話とボクシング。趣味は旅行で30ヶ国以上に行った。
その他、
「水曜日の神さま」「森に眠る魚」「何も持たず存在するということ」「マザコン」「予定日はジミーペイジ」「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」「私たちには物語がある 」「 愛がなんだ 」「 ひそやかな花園 」「 よなかの散歩園 」「 さがしもの 」
「 彼女のこんだて帖 」
水子、間引かれた子、即身仏、子供の頃殺めてしまった友達など日常の中の恐ろしい出来事を描いた8編の短編集。
過去の闇が現在を縛り未来を萎縮させる。
スーツケースに入って遊んでいるうちに鍵が開かなくなり仲間が・・・、妻が分けのわからない言葉を発するようになり、やがて夫・・・、心ない別れを告げた女性に8年ぶりに合うが、相手は・・・。
そして、間引きのために殺された子、それは私なのか? 流れてしまった子は居なかったことにする慣習に逆らおうとするが・・・。気が付かないうちに虐待してしまった罪を負って・・・。
表紙の装画は、気味悪いほど写真みたいな具象画を書く諏訪敦氏による女性の横顔。描かれた髪の毛を見ていると恐いくらいで、なんとなく不気味な雰囲気がある。
初出:「文学界」や「オール読物」の2008年から2011年
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
気味悪い話が多いが、おどろおどろしくはなく、全体としてはやわらかなトーンだ。
そうせざるを得なかった過去の罪に捉えられていても、なお生きようともがき、生き続けても過去に苦しめられてしまう。しかし、この小説では、相手の方は苦しむ自分をすでに赦していると暗示させ、幾分すくわれる。
ちょっと大げさに言えば、筆さばきの達人の角田さんが、人間の深層心理に迫った作品達と言えるだろう。
角田光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
90年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞を受賞しデビュー。
96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、
98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、
「キッドナップ・ツアー」で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、
2000年路傍の石文学賞を受賞。
2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞を受賞。
2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞。
2006年「ロック母」で川端康成文学賞を受賞。
2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞をいずれも受賞
2009年ミュージシャン河野丈洋と再婚。習い事は英会話とボクシング。趣味は旅行で30ヶ国以上に行った。
その他、
「水曜日の神さま」「森に眠る魚」「何も持たず存在するということ」「マザコン」「予定日はジミーペイジ」「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」「私たちには物語がある 」「 愛がなんだ 」「 ひそやかな花園 」「 よなかの散歩園 」「 さがしもの 」
「 彼女のこんだて帖 」