岸香里著『笑うナース(新装増補版)』2012年4月いそっぷ社発行、を読んだ。
第1章は、新人ナースがびっくりの連続から一人前になっていくまでのエピソード。
第2章は、著者を困らせた患者、医者、主任ナース。
第3章は、キャラクター豊かな患者とその人生の笑いと感動。
以上が文章と漫画、約半分づつで描かれる。
ナース・キャップを初めてつけるだけなのに、来賓式辞、ナイチンゲール誓詞など厳粛に行われる戴帽式。
患者さんの排泄物を、柔らかさ、色、大きさなど事細かく観察し、看護記録につける。
ナース・ステーションの片隅にある死後処置セットには、バケツ、タオル2、使い捨て手袋、新しい寝間着、さらし、綿、割り箸が入っている。身体を水(お湯は必要ない)で洗って、死後硬直前に形を整える。割り箸は、人体の中の分泌物などが出てこないようにあらゆる穴に綿を詰めるのに使用する。これらもナースの仕事。
そしてユニークな患者さん達との哀しい別れ。
本書は、1997年発行の旧版に第9話、第10話を加えている。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
サラッと読めるが、とくに冴は感じられない。看護師は、見えない仕事もあり大変だなと思った。病を得た患者さん、とくに個性的な病人との触れ合いは大変なものがある。しかし、医師や他のナースとの人間関係の苦労は、どんな仕事にもつきもので普通の範囲。
死が近くにある病院ではもっと厳しい雰囲気があると思うのだが、著者の性格か、兼職のためか、悲壮さが少ない。良いことでもあるのだが。
漫画が読み慣れないので読みづらい。吹き出しの手書き文字が読みにくいし、絵もゴチャゴチャして読む気が起きない。歳のせいもあるのだろう。
岸香里(きし・かおり)
広島県生まれ。誕生日は11月18日
高校卒業後、岡山県の旭川荘厚生専門学院第一看護科入学してナースを目指す。
在学中に「ちゃお」が小学館のマンガ大賞の佳作に入賞し、少女マンガデビュー。
マンガ家業をやりつつ老人病棟、精神科、整形外科、産婦人科、内科などでナースもつづけたが、5年でリタイヤ。
その後の実体験マンガ「天使のたまご」がきっかけで、マンガ&エッセイ作家になる。