高田郁著『みをつくし献立帖』時代小説文庫た19-9、2012年5月角川春樹事務所発行、を読んだ。
例えば、8ページには「はてなの飯」の写真にシリーズから一言「良いか、道はひとつきり。」が加えられ、9、10ページにはそのレシピ、11~13ページには内緒噺があるという構成だ。
22のレシピと20の内緒噺、さらにレシピがシリーズ本に掲載されている料理は写真と一言だけ載っている。その他、新旧「つる家」の間取り図と盛り沢山。
巻末の書き下ろし短編小説「貝寄風(かいよせ)」には、大店の三人娘のこいさん(末娘)で気が強いがやさしい野江と、塗師の娘でおとなしい澪(みお)が、あの蛤の貝合わせの遊びをするなど幼き日の思い出が描かれている。
9月22日(土)21時からテレビ朝日で「みおつくし料理帖」を放映する。北川景子が澪を演じるというが、違和感がある。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
「みをつくし料理帖シリーズ」の愛読者には是非お勧めしたい。料理は作ることはもちろん、食べることにも情熱を持たない私でもこの献立帖は、内緒噺だけでも十分楽しめた。
著者はB5サイズのスケッチブックに登場人物のスケッチを書いているという。澪の顔、髪、着物、そして身長は145センチ、体重43キロ。新旧「つる家」の間取りイラストには人物も書き込まれ、色々想像をかき立てる。
料理の写真に添えられたシリーズから抜き出された一言。どんな場面だったか思いを馳せるのも良い。
「お澪坊、こいつぁいけねえ、いけねぇよう。」種市「花散らしの雨」26頁
「信じて寄り添ってくれる誰かが居れば、そいつのために幾らでも生き直せる。ひとってのは、そうしたもんだ。」種市「小夜しぐれ」48頁
この本もシリーズも表紙は卯月みゆき(うげつ)作の版画。
著者の高田さんが「漫画原作から時代小説へ転身を決めた直接の要因は、両目の網膜に孔があいたからでした。」もう時間がないと思ったのでしょう。
江戸時代に関する知識、素養を身につけるため図書館へ通うが、預金は減って生活は逼迫し、怖くて不安になる。そんな中、温かく見守る1通のメールで勇気をもらう。そして、「読み手の心の中で光になるような、そんな言葉を紡げる作家になりたい。」と高田さんは思う。
著者の読者へのサービス精神に感謝。
高田郁(たかだ・かおる)は兵庫県宝塚市生れ。中央大学法学部卒。
1993年、川富士立夏の名前で漫画原作者としてデビュー。
2006年、短編「志乃の桜」で北区 内田康夫ミステリー文学賞区長賞受賞。
2007年、短編「出世花」で小説NON短編時代小説賞奨励賞受賞。
2009年~2010年、『『みをつくし料理帖』シリーズ第1弾~第3弾』
第1弾「八朔の雪」で「歴史・時代小説ベスト10」、「最高に面白い本大賞!文庫・時代部門」、「R-40本屋さん大賞第一位」を獲得。
2010年『銀二貫』『みをつくし料理帖シリーズ第4弾の「今朝の春」』
2011年『みをつくし料理帖シリーズ第5弾の「小夜しぐれ」』
『みをつくし料理帖シリーズ第6弾の「心星ひとつ」』『みをつくし料理帖シリーズ第7弾の「夏天の虹」』
例えば、8ページには「はてなの飯」の写真にシリーズから一言「良いか、道はひとつきり。」が加えられ、9、10ページにはそのレシピ、11~13ページには内緒噺があるという構成だ。
22のレシピと20の内緒噺、さらにレシピがシリーズ本に掲載されている料理は写真と一言だけ載っている。その他、新旧「つる家」の間取り図と盛り沢山。
巻末の書き下ろし短編小説「貝寄風(かいよせ)」には、大店の三人娘のこいさん(末娘)で気が強いがやさしい野江と、塗師の娘でおとなしい澪(みお)が、あの蛤の貝合わせの遊びをするなど幼き日の思い出が描かれている。
風に吹き飛ばされそうになっている澪に、野江が手を差し伸べる。澪がその手を取ると、野江はぎゅっと握り返した。・・・両の目を固く閉じ、風に負けまい、とふたりの少女は足を踏ん張る。・・・
9月22日(土)21時からテレビ朝日で「みおつくし料理帖」を放映する。北川景子が澪を演じるというが、違和感がある。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
「みをつくし料理帖シリーズ」の愛読者には是非お勧めしたい。料理は作ることはもちろん、食べることにも情熱を持たない私でもこの献立帖は、内緒噺だけでも十分楽しめた。
著者はB5サイズのスケッチブックに登場人物のスケッチを書いているという。澪の顔、髪、着物、そして身長は145センチ、体重43キロ。新旧「つる家」の間取りイラストには人物も書き込まれ、色々想像をかき立てる。
料理の写真に添えられたシリーズから抜き出された一言。どんな場面だったか思いを馳せるのも良い。
「お澪坊、こいつぁいけねえ、いけねぇよう。」種市「花散らしの雨」26頁
「信じて寄り添ってくれる誰かが居れば、そいつのために幾らでも生き直せる。ひとってのは、そうしたもんだ。」種市「小夜しぐれ」48頁
この本もシリーズも表紙は卯月みゆき(うげつ)作の版画。
著者の高田さんが「漫画原作から時代小説へ転身を決めた直接の要因は、両目の網膜に孔があいたからでした。」もう時間がないと思ったのでしょう。
江戸時代に関する知識、素養を身につけるため図書館へ通うが、預金は減って生活は逼迫し、怖くて不安になる。そんな中、温かく見守る1通のメールで勇気をもらう。そして、「読み手の心の中で光になるような、そんな言葉を紡げる作家になりたい。」と高田さんは思う。
著者の読者へのサービス精神に感謝。
高田郁(たかだ・かおる)は兵庫県宝塚市生れ。中央大学法学部卒。
1993年、川富士立夏の名前で漫画原作者としてデビュー。
2006年、短編「志乃の桜」で北区 内田康夫ミステリー文学賞区長賞受賞。
2007年、短編「出世花」で小説NON短編時代小説賞奨励賞受賞。
2009年~2010年、『『みをつくし料理帖』シリーズ第1弾~第3弾』
第1弾「八朔の雪」で「歴史・時代小説ベスト10」、「最高に面白い本大賞!文庫・時代部門」、「R-40本屋さん大賞第一位」を獲得。
2010年『銀二貫』『みをつくし料理帖シリーズ第4弾の「今朝の春」』
2011年『みをつくし料理帖シリーズ第5弾の「小夜しぐれ」』
『みをつくし料理帖シリーズ第6弾の「心星ひとつ」』『みをつくし料理帖シリーズ第7弾の「夏天の虹」』