hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

米澤穂信『ふたりの距離の概算』を読む

2012年09月26日 | 読書2

米澤穂信著『ふたりの距離の概算』角川文庫よ23-5、2012年6月角川書店発行、を読んだ。

高校の部活である古典部シリーズの第5弾。
奉太郎等4人がメンバーの何をやっているのか本人達も説明できない古典部。その古典部に新入生の大日向友子が仮入部する。しかし、楽しそうだった彼女は本入部直前、急に辞めると言う。
奉太郎は、あいつが誰かを傷つけるなんて、俺は信じないと、真相を探る。翌日、入部締切日に行われるマラソン大会20キロの途中で、部員たちを待ちぶせて話を聞き、何があったのかを推理し、問題を解決しようとする。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

高校生活を描いているので、半世紀以上の差を埋められず、付いて行くのにくたびれた。そもそも冗長だ。例えば、新入生勧誘会で、前の部のテーブルがなぜ大きいのかの推理に32頁も費やすのだ(八つ当たり)。しょっちゅう殺人事件が起こるのも絵空事になるが、日常の中であえて疑問をひねり出して長々と推理するのには、忙しい身には(忙しくないが)付き合いきれない。

マラソン大会で走りながら、ゴールまでに謎を解決するという設定は、探偵にとって制約が大きく面白い。しかし、謎解きの過程や、結果は驚くほどのものでもない。笑いがもっとあれば楽しく読めるのだが。

学園物を愛する世代でとくにこのシリーズを楽しみにしている人には面白いのかも。
前シリーズを私は読んでいないのだが、里志と伊原がなんとなくいい感じになってきている雰囲気が感じられ、奉太郎と千反田は意識しているのにまだまだ距離が詰まっていない。そんなまどろっこしい関係の歩みも、シリーズものの楽しみの一つなのだろう。



米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年岐阜県生まれ。金沢大学文学部卒業。
大学卒業後、2年間だけという約束で書店員をしながら執筆を続ける。
2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞受賞しデビュー。
その他、『遠まわりする雛』『さよなら妖精』『春期限定いちごタルト事件』『愚者のエンドロール』『犬はどこだ』『ボトルネック』『インシミテル 』『儚い羊たちの祝宴』など



シリーズものなので、基本的キャラ、人間関係は頭に入っているほうが読みやすい。

以下、神山高校2年生で古典部部員(大日向以外)

折木奉太郎(おれき・ほうたろう):探偵役、余計なことはしないエコ人間、姉は共恵
福部里志(ふくべ・さとし):奉太郎の親友。奉太郎と鏑矢中学で一緒。総務委員でマラソンの監視役。何をやらしても無難にこなす。
千反田える(ちたんだ・える):古典部部長、真面目、名家の娘、お嬢様で美人。奉太郎との距離は?
伊原摩耶花(いばら・まやか):奉太郎と小中一緒。ズバズバ言う、小学生に見える。里志と近接か?
大日向友子(おおひなた・ともこ):1年生、仮入部、一見明るい


コメント
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