有川浩著『キケン』(新潮文庫2013年7月新潮社発行)を読んだ。
男子校率99%の 成南電気工科大学に、サークル「機械制御研究部」略して「機研(キケン)」があった。その機研の伝説の黄金期を作った、バカで、元気で、危険な連中の話。
危険人物に率いられた盛り上がった集団の活動はさまざまな伝説を生み、犯罪スレスレの破壊的行為から、「キケン」と畏れられていた。
10年後、その一人が妻にあの黄金期を語る。再会のときは?
上野直也:二回生。部長。危険人物で「成南のユナ・ボナー」と呼ばれる。
大神宏明:二回生。副部長。迫力で右に出る者のない「大魔神」。
元山高彦:一回生。常識人。自宅が喫茶店で、偶然できる「奇跡のラーメン」のレシピを完成。
池谷悟 :一回生。おおらかな大器。
第一話:上野の火薬遊び
第二話:柄にもなく大神に春?
第三話:学祭のラーメン屋で30万円を3倍にする命令
第四話:例年、偶然の「奇跡のラーメン」を初日から最終日まで実現
第五話:第一回ロボット相撲大会
第六話:落ち着け。そして、今。
初出:2010年1月新潮社より刊行。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
男の子の滅茶ぶり競争の話だが、大学というより高校レベルのような気が・・・。
上野の両親は母屋を壊されるまでの危惧を持っていた、ということである。小学校三年生の我が子のいたずらで!
「まさか、母屋まで壊せるわけないだろう。せいぜい子供部屋の天井をぶち抜くくらいだよ」
いや、やる。小学生とはいえあんたならやる、絶対やる。
こんな、著者ノリノリの会話についていける人でないと、楽しく読めない。
「もうなくなってしまったのではないかと恐れていたこの場所へ、もう一度来る勇気が持てた。」のは、「お前が喜んで聞いてくれたからだ」と彼は妻に感謝する。
これって、有川さんが旦那さんの話を楽しげに聞いていたというノロケ?
いずれにしても、一番楽しんでいるのは著者って、それで良いの? エンタテイメントってそうなの? よく笑う漫才師みたい。