hiyamizu's blog

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川村裕子『図説 王朝生活が見えてくる 枕草子』を読む

2015年09月03日 | 読書2

 

 

川村裕子監修『図説 王朝生活が見えてくる! 枕草子』(青春新書、2015年7月15日青春出版社発行)を読んだ。

 

『枕草子』の紹介というよりは、宮仕え・物忌・後朝の歌・噂話など平安貴族の日々の暮らしぶりと、清少納言の心うちを描き出す。『枕草子』は日本初のエッセイであるが、著者によれば、手紙の書き方、ファッション、恋の作法など王朝のマナー集でもあるという。

 

巻頭のカラー口絵4ページと、随所に挿入された図版、そして挿入されたマンガで、王朝の生活が目に浮かぶ。

 

 

序章 『枕草子』とは何か

 

1001(長保3)年頃成立。著者は一条天皇の中宮定子(ていし)(藤原定子)に仕えた女房・清少納言。

 

第一章 四季折々の華やかな暮らし

「二つ三つばかりなるちごの、いそぎて這ひ来る道に、いと小さき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなる指(および)にとれへて、大人ごとに見せたる」(第145段)

(ハイハイする赤ん坊が、大人が気がつかない床の小さなゴミを見つけ、摘み上げて大人に示す。今でもあるある! 1000年前も人間なんて変わらないね)

 

清少納言は歌が苦手であり、約50首と少ない。しかし、百人一首の歌「夜をこめて鳥のそら音ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ」など伝統的な形にのっとった和歌とは異なる洒脱なものが多い。

 

第二章 宮中のマナーとしきたり

「人の悪口を怒る人は、本当に困ってしまう。どうして言わないでいられようか」

「たまたま他人の噂話などをして悪口を言ったのを、幼い子が耳にしていて、その人も前で口に出す」

(清少納言は噂好きであったらしい。いかにも)

 

第三章 色鮮やかに描かれた恋模様
第四章 清少納言をめぐる人々

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

「枕草子」の引用部は少なく、王朝生活の紹介が多い。「枕草子」を一部でも、概要でも知りたいとこの本を手に取った人は(それは私です)、がっかりだ。

 

しかし、王朝での女性の生活の実態は、解りやすい図版も多く実感しやすい。千年も前の人の人柄まで浮かび上がってくるなんて、何か不思議。

 

 

 

川村裕子(かわむら・ゆうこ)

1956年2月東京生まれ。国文学者、武蔵野大学教授。

1978年立教大学日本文学科卒、85年同大学院博士課程後期課程修了

1988年活水女子大学助教授、92年新潟産業大学教授、2009年武蔵野大学教授。

2005年「蜻蛉日記の表現と和歌」で立大文学博士。

主な著書、『平安女子の楽しい!生活』『王朝文学入門』『王朝生活の基礎知識―古典のなかの女性たち』

 

 

 

 

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