恩田陸著『祝祭と予感』(2019年10月1日幻冬舎発行)を読む
幻冬舎の宣伝は以下。
また彼らに、
会える。
待望の『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編小説集!!
【内容】
大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。
入賞者ツアーのはざまで亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。
芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。
作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった忘れ得ぬ一人の教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。
ジュリアード音楽院に留学したマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。
楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏に天啓を伝える「鈴蘭と階段」。
ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。
全6編。
参考までに、恩田陸著『蜜蜂と遠雷』の私のブログでの本編に関連する人物紹介を載せておく。
栄伝亜夜(えいでん・あや):天才少女ピアニストだったが、13歳で母を亡くし、引退。
マサル・カルロス・アナトール:出場者。ジュリアードの王子様。ペルーの日系三世。188cm
風間塵(じん):ホフマンが推薦状を遺し、音楽の神様の愛されていると称される。父が養蜂家で「蜜蜂王子」とあだ名される。
嵯峨三枝子:芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員。8歳年下の作曲家と暮らす。ナサニエルは元夫。
ナサニエル・シルヴァーバーグ:ジュリアード音楽院教授。三枝子の元夫。数少ないホフマンの弟子の一人。
ユウジ・フォン・ホフマン:伝説的巨匠ピアニスト。
菱沼忠明:作曲家。大文豪と大政治家が祖父。
浜崎奏(かなで):有名私立音大の学長の次女。ヴァイオリン(ヴィオラ)。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
個々の話は面白く読めるのだが、前作『蜜蜂と遠雷』を思い出さないと背景がわからず深く楽しめない。
前作での登場の人物の、昔と将来の出来事を書いているので、記憶力の優れた人ならいざしらず、『蜜蜂と遠雷』を読み返さないと面白味が半減する。おまけに、話の時代が前後するので、巨匠が新人になったりして、よけいに混乱する。
メモ
掃苔(そうたい):墓参り。確かにたまに墓参りするとコケを掃除する。
芍薬:シャクヤク
鞦韆:ブランコ、ふらここ、しゅうせん