平成元年(1989)に上皇陛下と香淳皇后(上皇の母)により、皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈された。令和5年(2023)には「皇居三の丸尚蔵館」の名称で一部を開館し、令和8年(2026)度に全館開館を予定している。
場所は東京駅丸の内北口から皇居・大手門を経て、徒歩約15分。
「開館記念展 第1期」、「開館記念展 第2期」と2回訪れたが、その後はパスした。
今回の9月10日~10月20日の「水の情景・月の風景」では、帝室技芸員の工芸品と、川合玉堂、橋本関雪園らの日本画、特に伊藤若冲の国宝「動植綵絵」、上村松園「雪月花」など近代日本美術の粋が公開される。
朝10時開門前に大手門へ着く。
左が江戸時代、右が現代
簡単な手荷物検査を受けて、見るからに頑丈そうな大手門をくぐる
それにしても、こんな大きな石を削って、人力だけできちんとくみ上げるのは大変そう。
直ぐに尚蔵館。右手が工事中の新館部分。
一般は1000円だが、70歳以上は無料なのがうれしい。
大手町駅から15分程度歩いて汗だらけなので、むかいのお土産小屋に入って、しばらく涼む。日本人は誰もおらず、欧米系の観光客が一杯で、彼らも思いは同じで、ベンチに座って水を飲むなど一休み。厳しい香水の香りが充満。
最初の展示は「近江八景蒔絵棚」。
蒔絵で、棚上部引戸には「満月と石山寺」の光景、写真では見えない上部には「三井晩鐘」「堅田落雁」など。
「塩瀬友禅に刺繍嵐山渡月橋図掛副」
木の幹などは刺繍で、友禅染と自然に合わさっている染織。
木の根元に見える人力車には傘をさした人がいて、遠く渡月橋の上にも人が見える。
「石山寺蒔絵文台・硯箱」
石山寺で琵琶湖に浮かぶ月を見て「源氏物語・須磨の帖」の着想を得た紫式部(真ん中の黒い点が髪の毛)を硯箱に、
湖面に映る月を文台に表した。パリ万国博覧会へ出品。
「夕月」藤井浩祐 大正11年
古代風の薄衣を身に着けた女性が、長柄の団扇を持ってたたずむ。視線の先を見ると、
壁に月が映し出されていました。
「雨後」 川合玉堂 大正13年
雨上がりの、移り行く大気を捉えている。
「夏山蒼翠・寒山一路・霜崖飛瀑」 佐川華谷 大正9年
我家には飾りようがない高さのある作品
「国宝 動植綵絵 梅花皓月図」 伊藤若冲 江戸時代18世紀
伊藤若冲が10年をかけて制作した動植綵絵30編のうちの1幅
(現場で撮った写真が酷かったので、パンフレットから写しました)
「朝露」6曲1双 平福百穂 大正4年
「暮韻」 橋本関雪 昭和9年
叢(くさむら)に立つ水牛。日暮れ時。
「雪月花」 上村松園 昭和12年
春の桜、秋の月、冬の雪の3幅。作者が20年以上かけて完成させた。
「冬の雪」の捧げ持つ御簾の細竹(?)も見事に描かれていた。
「近江八景和歌」 近衛家煕 江戸時代
琵琶湖南岸の景勝地を題として詠まれた和歌を、江戸中期に能書で知られた近衛家煕が色とりどりの料紙に端正な字で書写した1巻。以下の写真は解説のある部分のみ。
このあと、東京駅まで歩いて、「東京ステーションギャラリー」でジャン=ミシェル・フォロンの「空想旅行案内人」展を観た。次回報告。