最近ちょっとびっくりしたのが、羽生善治九段の連敗だ。羽生九段は今年度8勝2敗と好調のすべり出しだったが、そこからまさかの6連敗。そのうちの1敗—NHK杯でのトン死は、8月27日の記事でも紹介した。
その後羽生九段は第50期棋王戦で梶浦宏孝七段に勝ち、ようやく一息ついた。
だがそこからまた連敗ロードが始まり、5連敗。晩年の加藤一二三九段や桐山清澄九段のような星取りで、ちょっと損じられなかった。
詳しく見てみよう。1敗目の第83期B級1組順位戦6回戦・三浦弘行九段戦。羽生九段は三浦九段に相性がよく、ここまで40勝11敗。本局も、まあ勝つんだろうなと思った。
戦型は相掛かりの後手番になった。中盤で三浦九段がうまく指し、相手の角を歩で殺せそうな感じ。羽生九段は何とか逃れたが、三浦九段は飛角交換をし、その角で王手飛車を掛けた。これは素人目にも勝負ありである。
最後はお手本のような詰み手筋で幕。
続いては第74期王将戦・西田拓也五段とのリーグ戦である。後手番西田五段の四間飛車に、羽生九段の銀冠穴熊。
昭和のようなごちゃごちゃした戦いになったが、終盤、羽生九段が西田陣に肉薄し、そこで西田五段の指し手が注目された。
西田五段は王手と金を捨てる。エッ!? なんと、羽生玉を詰ましにいったのだ。以下、面白いように王手が続き、最後は桂打ちまで羽生九段の投了となった。金捨てから桂打ちまで23手。その後も詰み手順は続くから、かなり長い。私は、1982年6月28日に指された第41期昇降級リーグ3組(現在のC級1組)・安恵照剛六段(当時)VS南芳一五段(当時)戦で、安恵六段が南玉を追い回し、詰ましてしまった将棋を思い出した。
本局は西田五段の読み筋だったかもしれないが、羽生九段も面食らったのではないか。
続く第50期棋王戦本戦トーナメント・斎藤明日斗五段との一戦は、先手番で角換わり。これは羽生九段が例の桂捨てから飛を切り、以下も快調に攻めた。アマ同士なら、先手が8割方勝つところ。
だが斎藤五段はしぶとく受け、スキを見て徐々に反撃する。最後は綺麗な詰みで幕。羽生九段は勝てばベスト4で、挑戦者が視野に入ってきたところだったが、残念だった。
続いてB級1組順位戦7回戦・近藤誠也七段との一戦。先手羽生九段が矢倉、後手近藤七段が雁木。先手が矢倉を志向しても、後手が中住まいに組む現在、両者の陣立てが早くも懐かしい。
将棋は重厚な攻め合いになったが、近藤七段がリードしているか。最後、羽生九段が金を受けた手に、近藤七段は手筋の銀打ち。以下、教科書通りの寄せが炸裂し、羽生九段投了。こんな形になる前に、もっとなんとかならなかったのかと思う。
そして5連敗目は、菅井竜也八段との王将戦リーグ。先手菅井八段の三間飛車で、相穴熊になった。
中盤、羽生九段が飛車取りに銀を打つ。そこで菅井八段が飛車の下にいた角を切り、その空間に飛車を引いて銀取りとした。これで打った銀がスカタンになった。
あれは久保利明九段だったか、大駒が取りになったとき、そのタイミングで大駒を切るのがいい、と言っていた。
今回の場合は、当たりになった大駒を切ったわけではないが、心は同じだろう。
本局は以下、菅井八段が難しい将棋を勝ち切った。
以上5連敗。負けたから言うわけではないが、負け方が羽生九段らしくないというか、ちょっとあっけない負け方が多かったように思う。
12局を戦って1勝11敗は、羽生九段の長い棋士人生で初めてのはずである。そして今回はその中にB級1組順位戦での5敗が含まれているのが痛い。リーグ13名中11位で、降級エリアに入っているのが怖い。羽生九段、54歳でついにガソリンが切れたか。
と思いきや、その後羽生九段は、広瀬章人九段との王将戦リーグ、第10期叡王戦予選で連勝した。
だが、おととい行われた近藤七段との王将戦リーグは、また負け。
「1勝11敗」は、たまたま負けが込んでいただけなのか、それとも加齢による衰えなのか。今後の戦いに注目したい。
その後羽生九段は第50期棋王戦で梶浦宏孝七段に勝ち、ようやく一息ついた。
だがそこからまた連敗ロードが始まり、5連敗。晩年の加藤一二三九段や桐山清澄九段のような星取りで、ちょっと損じられなかった。
詳しく見てみよう。1敗目の第83期B級1組順位戦6回戦・三浦弘行九段戦。羽生九段は三浦九段に相性がよく、ここまで40勝11敗。本局も、まあ勝つんだろうなと思った。
戦型は相掛かりの後手番になった。中盤で三浦九段がうまく指し、相手の角を歩で殺せそうな感じ。羽生九段は何とか逃れたが、三浦九段は飛角交換をし、その角で王手飛車を掛けた。これは素人目にも勝負ありである。
最後はお手本のような詰み手筋で幕。
続いては第74期王将戦・西田拓也五段とのリーグ戦である。後手番西田五段の四間飛車に、羽生九段の銀冠穴熊。
昭和のようなごちゃごちゃした戦いになったが、終盤、羽生九段が西田陣に肉薄し、そこで西田五段の指し手が注目された。
西田五段は王手と金を捨てる。エッ!? なんと、羽生玉を詰ましにいったのだ。以下、面白いように王手が続き、最後は桂打ちまで羽生九段の投了となった。金捨てから桂打ちまで23手。その後も詰み手順は続くから、かなり長い。私は、1982年6月28日に指された第41期昇降級リーグ3組(現在のC級1組)・安恵照剛六段(当時)VS南芳一五段(当時)戦で、安恵六段が南玉を追い回し、詰ましてしまった将棋を思い出した。
本局は西田五段の読み筋だったかもしれないが、羽生九段も面食らったのではないか。
続く第50期棋王戦本戦トーナメント・斎藤明日斗五段との一戦は、先手番で角換わり。これは羽生九段が例の桂捨てから飛を切り、以下も快調に攻めた。アマ同士なら、先手が8割方勝つところ。
だが斎藤五段はしぶとく受け、スキを見て徐々に反撃する。最後は綺麗な詰みで幕。羽生九段は勝てばベスト4で、挑戦者が視野に入ってきたところだったが、残念だった。
続いてB級1組順位戦7回戦・近藤誠也七段との一戦。先手羽生九段が矢倉、後手近藤七段が雁木。先手が矢倉を志向しても、後手が中住まいに組む現在、両者の陣立てが早くも懐かしい。
将棋は重厚な攻め合いになったが、近藤七段がリードしているか。最後、羽生九段が金を受けた手に、近藤七段は手筋の銀打ち。以下、教科書通りの寄せが炸裂し、羽生九段投了。こんな形になる前に、もっとなんとかならなかったのかと思う。
そして5連敗目は、菅井竜也八段との王将戦リーグ。先手菅井八段の三間飛車で、相穴熊になった。
中盤、羽生九段が飛車取りに銀を打つ。そこで菅井八段が飛車の下にいた角を切り、その空間に飛車を引いて銀取りとした。これで打った銀がスカタンになった。
あれは久保利明九段だったか、大駒が取りになったとき、そのタイミングで大駒を切るのがいい、と言っていた。
今回の場合は、当たりになった大駒を切ったわけではないが、心は同じだろう。
本局は以下、菅井八段が難しい将棋を勝ち切った。
以上5連敗。負けたから言うわけではないが、負け方が羽生九段らしくないというか、ちょっとあっけない負け方が多かったように思う。
12局を戦って1勝11敗は、羽生九段の長い棋士人生で初めてのはずである。そして今回はその中にB級1組順位戦での5敗が含まれているのが痛い。リーグ13名中11位で、降級エリアに入っているのが怖い。羽生九段、54歳でついにガソリンが切れたか。
と思いきや、その後羽生九段は、広瀬章人九段との王将戦リーグ、第10期叡王戦予選で連勝した。
だが、おととい行われた近藤七段との王将戦リーグは、また負け。
「1勝11敗」は、たまたま負けが込んでいただけなのか、それとも加齢による衰えなのか。今後の戦いに注目したい。