一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

長岡六段、驚異の勝利

2024-11-08 12:29:57 | 男性棋士
最近ビックリしたのは、長岡裕也六段である。10月29日、第10期叡王戦六段戦2回戦で、服部慎一郎六段に勝ったのだ。
服部六段はいま売り出し中の若手棋士で、10月21日対局の第55期新人王戦第2局では、高田明浩五段に勝って、当棋戦2度目の優勝を果たした。
新人王戦は若手棋士の登竜門で、優勝すれば明るい未来が保証されている。第55期まで複数回優勝は服部六段で11人目になるが、過去10人中9人がA級に昇っている。
服部六段は25日の対局にも勝ち、今年度22勝2敗。勝率.917という凄まじさであった。
対して長岡六段は棋士生活20年目の中堅だが、デビューの年は順位戦C級2組でいきなり降級点を取るという離れ業をやった。以後、2個目の降級点を取っては消去を繰り返し、現在は2個の降級点を持っている。今年度の成績はここまで8勝8敗で、順位戦は2勝3敗で微妙なところ。そんなふたりが対局すれば、ふつうは服部六段が勝つと思う。服部六段自身も、ここは勝ちを計算に入れていたのではないか。ところが結果はかくのごとくであった。
私はネットを駆使し、記譜を鑑賞した。将棋は服部六段の先手。長岡六段の注文で、力戦形の角換わりになった。長岡六段は筋違いに角を打ち、9筋を攻める。
その後長岡六段が飛車の丸損になった。私は勝敗を知っているから安心して?見ているが、同時進行で見ていたら、やっぱり服部六段の快勝か……と思ったことだろう。
しかし長岡六段は桂香を使って巧みに攻める。金がいつでも取れるのだが、慌てて取らないのがプロの技である。
寄せも華麗で、最後は即詰みで幕。いやはや、驚いた。
いや、驚いたのは本局だけではない。叡王戦予選は1日に2局行われるが、実は長岡六段、午前に行われた1回戦で、出口若武六段にも勝っていたのだ。
出口六段も期待の若手棋士だが、やはりデビューの年に順位戦で降級点を取ってしまった。だが第7期叡王戦では堂々の挑戦者になり、藤井聡太叡王とタイトル戦を戦った。
今年度はここまで、12勝5敗だった。
本局は長岡六段の先手で、四間飛車。長岡六段には居飛車党のイメージがあるが、若手のころは振り飛車党だったのだ。
本局、高美濃囲いで持久戦になったが、長岡六段は穴熊に組み替える。銀冠穴熊でなく、▲2八銀とハッチを閉める正調穴熊である。ここに長岡六段のセンスを感じるのだ。
四枚穴熊に組んでからは、穴熊らしくバリバリ攻めて、快勝。勝ち将棋鬼のごとし、とはよくいったもので、長岡六段が最強ではないかと思った。
長岡六段といえば、羽生善治九段の研究相手を長く務めていることで知られる。八王子将棋クラブのOBということもあるが、長岡六段の将棋のセンスを、羽生九段が買っていたからだろう。
さてこうなったら長岡六段は、叡王戦六段戦を抜けなればならないが、まだ2局残っている。どうなるか。
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