一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第37期竜王戦第4局・2日目

2024-11-17 22:51:55 | 男性棋戦
第37期竜王戦第4局(主催:読売新聞社、日本将棋連盟)2日目である。藤井聡太竜王の封じ手は、何と端に香を成る手だった。
藤井竜王に限らず、プロは盤面を見る視野が広い。盤の隅々まで、よく駒を見ている。
その伝でいけば、この香成もなるほど……となるのだが、私にはいい手とは思えなかった。
この香成自体は、なんでもない。次に桂を取って一人前。しかもその桂に有効な活用があるとは思えない。なんでこんな手を藤井竜王は指してしまったのだろう……。
天下の七冠王にヘボがダメ出しをするのもなんだが、本音だから仕方ない。
佐々木勇気八段は銀交換を果たしたあと、馬が出る。この将棋は佐々木八段の馬の存在感が大きい。
藤井竜王は銀を受ける。交換した銀を手放すのはバカバカしいが、やむを得ない。
ここで佐々木八段は4筋の歩を突いた。これが筋中の筋、という手で、抜群に味がいい。上はトッププロから下は奨励会員まで、100人が100人、この局面でこの手を指す。アマでも二段くらいまでなら、やはりこの手を指す。オーバーにいえば、これで佐々木八段の勝ちが決まった。
藤井竜王は角を活用するが、佐々木八段は香損をいとわず、飛車を浮く。さらに馬取りに来られた手には、あれだけ奉公した馬を見捨て、その見返りに2筋を突破した。これがいい決断で、このあたり、佐々木八段は考えていて楽しかっただろう。
以下、藤井竜王も必死に反撃するが、佐々木八段はキッチリ見切る。緩みなく寄せて、藤井竜王が投了した。時に15時45分。藤井竜王には珍しい、早い時刻での投了だった。
本局、佐々木八段の構想が光った。これがAI発なら、銀出から腰掛け銀に変換する手を誰かが知っていたと思う。だが大多数の棋士が衝撃を受けていたことから、これは佐々木八段のオリジナルといえる。藤井竜王もさすがに初見のはずで、うまく対応できなかった。
藤井竜王には珍しい完敗だったが、そういう将棋もままある。ただ、藤井竜王は第2局でも完敗していた。最近ちょっと、完敗の将棋が多くないか? 藤井竜王も人間なのか。この影響は小さくなく、棋士の藤井竜王に対する「おそれ」が薄くなるのは痛い。
局後、藤井竜王は「早い段階から苦しい将棋にしてしまった」と述べた。
また佐々木八段は「これで12月までシリーズを楽しむことができます」と、相変わらず謙虚なコメントだった。しかし、その謙虚さが不気味でもある。
第5局は27日、28日。文字通り天王山の一戦となる。
コメント (2)
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